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勇気を与えたいという傲慢、あるいは自己啓発本作家の言い訳について

 長年ファンをやらせてもらっているGrapevineの田中和将氏がコラムを書いていて、「『勇気を与えたい』『聴いた(観た)人を元気にさせたい』という、烏滸がましく傲慢な動機でものを作ることを今も自分に禁じている」と非常に正しいことを仰っていた。

 とても良いコラムで、確かにその通りだ。僕もそういった創作物を随分長いこと嫌ってきた気がする。「読めば元気になる」みたいな宣伝文句は正直、あまり好きではない。まして「読めば勇気が出る」みたいなものになってくると僕自身、完全に忌避して生きて来た気がする。それはなんというか、ドリンク剤の宣伝みたいで良質な文章の広告という感じがしなかった。大体が、一つの目的のためだけにチューンされた文章というのは好みになれない。「カフェインがいっぱい入っていて目が覚める」みたいな文章を書きたいとはやはり思えなかった。そして、僕は現在「仕事術」とか「サバイバルガイド」を売る自己啓発本作家である。人生は本当にままならない。

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2,178字
発達障害ライフハックのような実用文章ではなく、僕がライフワークとして書きたい散文、あるいは詩に寄っていくような文章を書いております。いろいろあって、「善い文章」を目指して書くようになりました。ご興味ありましたら是非。

玉雑記

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