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部下に腹を立てる上司、腹を立てない上司

コラム_はじめに

世の中にはバカな人と、賢い人がいる。「バカ」もしくは「賢い」のどちらかしかいない、という二元論ではない。この間にはグラデーションがあって、「中途半端に賢い」人もいる。

「人に対して腹が立つかどうか」はこの「賢さの度合い」が関係している、ということを書く。ここで言う「賢い」とは、話しているテーマについての知識があるということ。

少し分かりにくいと思うので、「上司と部下」を具体例として話を進める。

結論を先に伝えるとこんな感じだ。

①バカな上司は、部下に対して腹が立たない
②中途半端に賢い上司は、部下に対して腹が立つ
③賢い上司は、部下に対して腹が立たない

どういうことなのかを、1つずつ解説する。

わかりやすくするため、ここでいう「腹が立つ」というのは仕事上のことに限定する。

■バカな上司は、部下に対して腹が立たない

一般的に、人が相手に腹を立てるのは、相手の「良くない」行動に気付いた時だ。

では、仕事の上で「良くない」こととはどんなことだろうか。場面によって変わるのでたくさんあるが、いくつか例をあげてみる。

・仕事の効率が悪い
・上司が依頼した仕事を勝手に放置する
・期限を守らない、集中しないなど、仕事に対する姿勢が悪い

例えば、上記の3つの振る舞いを普段から続けている部下がいたとする。それでも、バカな上司はこの部下に腹を立てない。

なぜか?

バカな上司は、これらが「良くないこと」と分からないからだ。この場面では「良い」仕事のやり方を知識として知らない、ということだ。「正しいこと」が分からないから「良くないこと」が分からない。

だから腹が立たない。

要するに「良くない」部下と同じレベルだから腹が立たない、ということ。

この状態にいる上司は大きな危機感を持って欲しい。厳しい言い方だが、上司でいる資格はない、と言わなければならない。いますぐにでも、バカの壁を超えるための学びを始めて欲しい。

■中途半端に賢い上司は、部下に対して腹が立つ

上記は極端な例だ。

普通は部下を持った上司は悩むものだ。そして、その悩みを解決するために勉強する。

・どうすれば、部下と良いコミュニケーションが取れるだろうか?
・部下をマネジメントする良い方法はないだろうか?
・チームとしての業務を効率的に進めるにはどうすれば良いだろうか?

上司というのは常に悩み続ける。そして、悩みから開放されるために学び続ける。

問題は学び始めの頃だ。

「バカ」ではなくなって来たが、「賢い」状態にはなれていない頃のこと。「バカ」と「賢い」の間にある「中途半端に賢い」状態だ。

知識が付き始めると、今までは気にならなかった部下の「良くない」事が気になり始める。ところが、「良くない」ことは分かっても、どうすれば「良い」になるか分からない。

だから、イライラすることがあるし、部下に腹を立ててしまうこともある。

この状態にいる上司がやるべきことはたった一つだ。もっともっと勉強すること。中途半端に賢くなった後にバカに戻ることは不可能だ。だから、中途半端な状態を抜けて賢くなるしかない。そのためには学ぶ以外に方法はない。

■賢い上司は、部下に対して腹が立たない

ここまでの内容を理解できたならば、今から書くことは想像できると思う。

賢い上司というのは、「良くない」ことに気づいて、更にその解決方法も分かる。だから、「良くない」部下の行動にも腹が立たないのだ。

こんな思考方法になるからだ。

(1)部下のAさんは仕事の効率が悪い【良くないことに気づく】
 ↓
(2)効率が悪い理由は✕✕だ【良くないことの理由に気づく】
 ↓
(3)✕✕を解決するために◯◯をさせよう【解決方法に気づく】
 ↓
(4)◯◯◯をさせるために、こうしてみよう【解決への導き方に気づく】

「賢い」(知識が多い)とは、こういうことだ。

ただし、この状態にいる上司も気を抜かないで欲しい。VUCAの時代には、「当たり前の基準」がどんどん変化していく。ゆでガエルにならないように、学びを続けて欲しい。

◆◆◆

理解できただろうか。

ここまでは理解を簡単にするために、上司と部下を例にあげて書いてきた。でも、この話は同僚、顧客、プライベートの友人との間でも成り立つ。

だから、どんな場面でも「腹が立つ」と感じた時は、この話を思い出して欲しい。「良くない」ことをする相手が悪いのかも知れない。でも、それに「腹を立てる」のは、解決方法を思いつけない自分の知識不足が理由だ。

そのことを悔やんで欲しい。


追伸:

しつこいようだが、このメールはボクがみんなを評価する時の基準を示している。

「ああ、この人はいま腹を立てているな」

という状況を見たら、

「ああ、この人は知識が少ないんだな。学びが足りないんだな」

と評価する、ということだ。

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