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まさかの場面で見つけた門徒総代式章

門徒式章とは

僧侶や寺に住む者ではない信者の方を浄土真宗では門徒(もんと)といいます。
僧侶は普段は輪袈裟(わげさ、宗派によっては畳袈裟という)をつけますが、門徒は似たようなもので門徒式章(もんとしきしょう、宗派によっては略肩衣などという)をつけます。
式章は輪袈裟に似てはいますが、袈裟ではなく肩衣(かたぎぬ)が由来です。江戸時代に武家の大人とかが羽織っているようなアレです。近代は洋服文化の流入により日常にも次第に普及していき、特に戦後になって和洋とも似合うように肩衣が形を変えていったものです。

コレ
肩衣

門徒総代式章とは

そんな門徒式章ですが、僧侶の輪袈裟と同じように役職限定の生地デザインもあり、わかる人にはわかるようになっています。
例えば、浄土真宗本願寺派(西本願寺)では門徒総代限定の門徒式章があります。この式章は本願寺派宗務所に届け出ている現職の門徒総代しか着けることを許されていません。また、門徒総代式章は宗務所に住職から申請しないと入手できません。詳しくは浄土真宗本願寺派門信徒教化部(門徒総代会担当)へ尋ねてみてください。

意外なところで発見

ところがあるとき、私はとんでもないところで門徒総代式章を見つけてしまいました。それはなんとメルカリ?!

西本願寺在家袈裟として販売中であることと価格も表示されていたが、明らかに総代の式章であった
メルカリ出品のイメージ

所有されていた方に尋ねてみますと、その方はあるお寺の門徒総代をされていたご門徒のお子様で、総代限定とは知らずに掲載していたということでした。なんとかこのことを説明して出品は取りやめとなりましたが、門徒総代ではない人がそれを着けてしまう事態になりかねない状況でした。


メルカリに親の仏具を売る前に

門徒式章、ましてや門徒総代式章がネットフリマに出される事態は皮肉にも仏事が次世代に繋がらず疎かにしてしまった僧侶の責任でもあります。そこで、この記事では結びに変えて読者の皆様にお願い申しあげます。
まず、仏教は死んでからの宗教ではなく、生きている私たちに向けられた仏様の願いです。その心に出遇わせていただきたいですね。室町時代には当時の本願寺のご住職であった蓮如上人も若いうちから仏法に嗜むようにと教諭されています。仏事は親まかせにせず、積極的に親やお手次のお寺に尋ねてみましょう。そして、休日にお寺で法話会などあるときは、親と一緒にお参りしてお話を聞いてみましょう
悲しくも親の遺品を片付けるとき、仏具などについてはどのようにすればいいか。どれも大切ですが、なかには特に大切なものもあります。基本はきちんと引き継いでいただきたいものですが、様々な理由で手放そうと思うときはお手次のお寺に尋ねてみましょう。お寺に聞くのが恥ずかしい、失礼でないかなぁと思う方もいらっしゃることでしょうが、私だったら遠慮なく尋ねていただけると嬉しいです。どうかよろしくお願いいたします。

称名