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アルトデウス:BC感想

結論:非常に楽しく、没入感を持った新しい体験が出来た!満足!!!

※注意
本文後半にはネタバレが含まれます。
素人の駄文(全文約5800字)です。笑って流せる心持ちでお読みください。

コロナ禍極まる今日この頃、Oculus Quest 2を半ば衝動買いし、いざ何をやろうかと思った時、一つの名前が頭をよぎった。

「アルトデウス」

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友人がプレイ体験をSNSにて報告、結構な好評だった。
ジャンルはアクション、アドベンチャー、物語
アドベンチャーを主軸に、ライブとロボの操縦が挟まるようだ。

結論としては、初めてのVR体験として申し分ないものだったと思っている。
VR機器を持っていて本作をやっていない人には是非やって欲しいほどに。

だれが見てるかも不明ではあるが、一応ネタバレ配慮の観点から区切りを設けておく。
とはいえ、漏れ出てしまうことも十分に考えられるため、その点はお許しいただきたい。

また、当然ながら個人の感想であり、事実とは異なる可能性、他の意見を否定する意図はない。間違っていたら滑稽だと笑うくらいの感じで見てほしい。

ネタバレなしの感想

ゲーム体験

物語を読み進めながら、選択肢を選んでいき、途中途中で、戦闘パートが挟まる。戦闘は本作における特徴と言えるだろう。
主人公と同じ目線で目の前にいるキャラクターと会話をし、彼らを生きた存在として認識することができた。これは、立体音響の影響も大きかった。例えば誰かが会話に割り込む場面、振り向くと声の主はその方向にいるのだ。
彼らは基本、プレイエリア内に入り込んでくることはないが、一部シーンでは手を取り合ったり、至近距離での会話が可能となる。
まさしくキャラと触れ合っているといえよう。
画面や液晶を意識せず、会話することの没入感についてはVRならではの表現だし、「新しい表現方法の一つ」だと感動を覚えた。
会話内容の選択についても、世界観による補完がされ、意識が物語から引き剥がされることはない。

ロボ操作パート

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↑本作で操縦するロボット:マキア

良い意味で簡単で、物語を楽しむ上で必要なギミックとして機能している。
機動シークエンスから、シールド展開、レールガン射出とロボ操作としても十分な内容を満たしている。
序盤は慣れないながらも操作をする楽しさ、後半になると熱い展開に合わせてノリノリで操作できたので非常に満足できた。
また、ロボと言っても重火力特化の戦車のようなもので激しく揺れることはない。コックピットも広く、酔い防止となっているのでひどく酔うことも少ないと思う。

ストーリー

まず、私は前作「東京クロノス」を未プレイ状態のまま物語を進めたが、最後まで困るような要素はなかった。
一部それっぽいなと感じることはあったが、決してゲーム体験を損なうものではない。

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あらすじは公式サイトで確認していただきたいため、割愛する。
主人公「クロエ」となり、「コーコ」と呼ばれる親友(↑画像)を巡る物語だ。登場人物との掛け合いや、回想の中でコーコと触れ合いながら、一連の流れの大元へ迫っていく。
序盤は正直なところクロエへの感情移入度は低めのため、いまいち乗り切れなかった。しかし、コーコとは誰なのか、なぜクロエは彼女に固執するのか等の謎が物語の奥へと手を引いてくれる。
そして、判明する二人を含む登場人物の感情や関係性が私の心を掴み、3周目には苦悩するクロエに自らを重ね、決断の一つ一つが重くなっていった。
マルチエンディングである今作は、ルートごとにそれぞれのキャラの根幹を見せてくれるため、新しいルートに進む時、既読の内容ですら捉え方は変化し、思わずニヤリとする。
また、それぞれのエンディングは一つの終わりとして説得力があり、トゥルーエンドへ向かうまで程よく謎を提供してくれるため、どんどん背中を押してくる。

最後の伏線回収は怒涛の勢いで、目が離せず、本体の充電が尽きる以外では止まらなかった。

魅力的なキャラクターも揃っており、主要人数も8人と把握しやすかった。彼らと一対一で話す場面も多々あり、意見のぶつかり合いや、談笑の中から好きになっていく。
私はその中でもクロエのサポートを行うノア(↓画像)、同僚のヤマトの二人がお気に入りだ。

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その他

良いことはいっぱい書いたので、少し私のわがままを挟みたい。
といっても、2280点に対する-2点くらいなので些細な内容ではあるが

ライブパートについては一つ一つのクオリティは高く、VRライブを楽しむことができた。そのため、せっかく素敵な曲、歌手の方が揃っていたので、DLCとかでも良いので他の曲を見たい気持ちが強い。
スキップ機能やチャプター機能は世界観を優先するあまり、少し使いにくい印象が残った。ここは好みの差が出るが、トゥルー後にチャプター一覧が欲しかった。

そして、本作の本質からは逸れるが、話に夢中になるあまり腰が痛くなってくる弊害が発生したため、椅子などを併用してのプレイをお勧めしたい。

総評として

丁寧なストーリー展開にVRとしてのキャラクターの存在感が合わさり、通常のアドベンチャーやノベルゲームとは異なった体験を得ることができた。
会話などの中で行う決断の数々は物語を進める中でその重みを増し、その場で悩むことで自分がその世界に入り込んでいたことを自覚させてくれる。
物語を読むだけでなく、ロボの操縦による緩急がつくことでメリハリのある展開も楽しむことができた。
ロボットものや近未来SFとしてはもちろん、成長物語としても満足のいくゲームであったことは間違いない。

次回作も発表されており、今後シリーズ展開されていくことが発表されている。今のうちにこの流れに乗ってみるのも一興ではないだろうか。

「この光景は、夢じゃないーーー」


ネタバレ感想

続いてネタバレ有りでの全体の感想を述べて行きたい。
主にストーリー面の感想となる。
DLCはまだ未着手。(あの場面のヤマトくんを見る覚悟ができていない。)

「停滞」と「進展」

いきなりトゥルーエンドについて
数々のエンディングがクロエが停滞を選択する中、コーコを撃つエンディング、それが本作にとって最も美しい終わり方だと感じている。
メテオラ、ノア、アニマそれぞれにコーコを重ね、停滞すること、それは我儘を通すクロエの「人」の部分でもある。しかし、最後にコーコの我儘を盲目的ではなく、一つの意志として聞き入れ、送り出されることで「人形」から「人」になる最後のピースが埋まったのではないだろうか。
プレイヤーとしても、もう一方のエンディングも、美しい余韻に満ちたものであったが、残された仲間のことを思うと辛いものがあった。あの後、ノアやアニマはどうなるのか、ジュリィは戻ってきたのか等、それほどにあの世界が私は好きになっていた。

↓最も重くクロエに投げかけられる言葉、罪作りなお方だ。

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「人」と「人形」、「外見」と「中身」

人を人たらしめるのは外見か中身か

人形という表現が多くの登場人物に適用されていた。人という外見とそれに伴った中身になることがクロエやノアの本作における成長の軸だろう。
コーコがクロエを人にしたように、クロエもまたノア、アニマを人にしていく描写、その関係性の繋がりが美しい。好き。

これらは、ヤマトへの問いかけやジュリィの話でもあった、人間がその人を人間と認識するのは外見か中身か、という主張があることでより意識しやすくなった。
そして、プレイヤーとして対マキアやメテオラ時には容赦なくレールキャノンをぶっ放していたのに対し、コーコやアニマへはフリとはいえ銃の引き金を引けなかったことに気がついた時、「ハッ」とさせられた。

状況こそ違えど、自分もまた、外見で判断していたのかと痛感した。
自分の中で世界が生きていた証だった。

皮一枚の世界

テクスチャが剥がれれば真っ白な街という世界観の中、テクスチャーレベルによってクロエの孤独や寂しさが視覚的に表現されていた。
今日鮮やかなコンテンツが多い現代、真っ白な背景は私に対しても不安感を煽ってくる要素となっており、先述にもある外見の重要性が際立った。

クロエにとってノアは街と同じように、コーコのテクスチャを被った虚無だと捉えていたために彼女への当たりが強いのだろうか?
テクスチャーレベルを普段から低くしている彼女にとっては街がより薄っぺらく見え、その認識が加速していたのではないか?など考えは尽きない。

Noa

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本作において、最も私の心を揺さぶったキャラクター、それはノアだった。
トゥルーエンドも素晴らしかったがノアエンドも同程度に私は好きだ。
最初から突き放しているクロエに対して、やけに親身になってくれる存在が不可解だった。なぜクロエに構うのか、自分がクロエ視点だからこそ彼女が照れ隠しとしてノアに接しているとは考えにくかったから余計だ。
AIだから人の感情にうといのかなとも思った。

違った。

ノアルートで彼女の記憶を探る時、その一つ一つが、重い拳となって襲いかかってきた。
彼女はすでに人になっていたのだ。
クロエに拒絶されたあの時から、悩み考え、しかし、自分では決して彼女を笑顔にできないと理解し、彼女が笑える日が来るまで守ると。半ば諦めに近い感情を得ていた。
純粋に奉仕の精神だけならば、身を引くことはなかっただろうし、
人形として使い捨てられることに自覚があれば、大人しく身を引き、極力関わらないことも可能であっただろうに。

健気すぎないか?
報われてほしい

ノアルートの中でも、新ノアの存在が丁寧に扱われていたことも良かった。
こういった存在は割と雑に消えていく印象が強かったため、彼女自身の考えで、意志で協力してくれていた事実はより好きになる一因となった。
その新ノア自身もクロエたちと関わりながら、ノアを助け出すことに全力を尽くしてくれる。短期間ではあったものの成長した新ノアの人格は、本来のノアと近いものへ収束していったように感じる。

代償としてアニマ周りをほったらかしてしまってはいたが…

トゥルーエンドでのノア戦はようやく本音をぶつけられるようになったクロエの言葉、彼女の心を包む殻をぶっ壊すカタルシスがたまらなかった。

仲間達

ノア以外の仲間たちも語りきれないほど想いがあるが、あまりに長い、そのため、数行での吐露に留めておく。

ヤマト
クロエを理解しようと頑張る様、そして根っからの善人オーラ、好き。
その次で敵対、慟哭する彼を見て感情がぐちゃぐちゃになった。
本作は仲良くなったり、キャラの深掘りした直後にラストシーンが来るので、辛い。シナリオライターはさぞほくそ笑んでいることだろう。
結局私は彼を撃てなかったし、どうにかして生きてほしいと思うキャラクターになっていた。
DLCでは何をやらされるのか、今から非常に怖い。

アオバ
各エンドの最後で裏で起こっていたことを話してくれる。
何やってくれてるんだ。と思わなかったといえば嘘になるが…
クロエ視点だといい人すぎる。指令になってから過労で倒れそうな雰囲気がビンビンしている。一番人間できてると思う。

デイター
だいたいこいつが悪い①
初っ端のエンディング前で本性を表し、以後登場するたびに「うわ出た」の嵐を巻き起こした。
クロエにアニマの名前つけさせるところとか人の心がないのかな?
おかげでジュリィに対しての不信感が薄れはしたが…
ところで怪しげな人体実験について、今後わかる時は来るのだろうか。

ジュリィ
だいたいこいつが悪い②
デイターのやらかしのおかげで、真実を探求する純粋なマッドサイエンティストかなと思っていた

「なんでコーコが食われているんだ!」

はい。
怪しさはあったが、ノアルートで100%黒が確定したときは笑った。
動機が情緒に塗れたものというのは、面白かったが、だからと言って許されるわけではないのだ。ところで、彼女のせいで地上は壊滅したんですよね?なぁに平然としとるだぁぁ。

アニマ
情報が何もない状態からスタートする唯一プレイヤーとクロエの知識量がシンクロする登場人物であったのではないだろうか。ここで本作の没入感がうまくハマった。
庇護欲を掻き立てられ、コーコなのかそうで無いのかわからない状態は、判断を鈍らせてきた。
彼女はこれからクロエとノアたちによってメテオラから人へ変わっていく、そんな物語が続いていくことを願っている。

コーコ
まさかのクロエと運命共同体、輪廻転生しても一緒にいる様は、親友よりも深い仲と言えよう。そういうの大好物です。
最初は正直、クロエの思い入れに対して理解度が低く、彼女のことを不審に思っていた部分もあった。
その後、お茶をし、話をし、本を読み、徐々に彼女と仲良くなっていく体験ができた。特に彼女とは手を握ったり、手を添えたり、本当にそこにいることを実感できるタイミングが数多くあった。
クロエを人形から人にしていくその過程にも優しさと芯の強さが垣間見える。
こんなん好きになるやん

最後、引き金を引かせてくるシーン。本当に迷った。
しかし、それが彼女の願いならば未来へ進むしかないのだと、
それまでの回想から後押しをもらったかのように引き金を引いた。

クロエ
前世で何をしたらこんな業を背負わせられるのか…と思っていたら、生まれたことが罪だった。また、前世もそのまた前世もコーコと居たという事実。
コーコに似たメテオラの存在、アニマの名付け、ヤマトとの対峙などなど精神的にボコボコにされる。
そんな中で、ノアの思いに気がついたり、軽い冗談を言えるようになったり、コーコの意図を汲んだ決断ができるようになったりと、最初乖離していた彼女へ感情移入、後方腕組みプレイヤー感が止まらなくなっていく。

最後に

本作は良い意味で私の心に傷をつけた。人間と人外の存在の交流と成長がVRという一人称視点で描かれる。この没入感を体験できたことは、非常に有意義だったと感じている。

DLCプレイ後、東京クロノス、そして新作「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」をプレイしていく予定だ。
この没入体験がより広いVRコンテンツに広がっていくことを切に願うし、後を追うようなアドベンチャーゲームが出て欲しいと心から思う。

長文、駄文をここまで読んでくれたあなたには感謝しかない。
そして、この作品を生み出してくれたMyDearest 制作スタッフ一同への感謝の意を示して本文を締めたいと思う。

初めてのVRコンテンツが本作で本当によかった。
ありがとうございます。


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