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発達支援コラム 「笑われたと怒る人へ」

※前半、とってもふつうのことを書いています。

 後半、今回の本題となっています。


1 笑われるのがキライ


「可愛いらしい仕草」

「この子が言いそう(考えそう)だなぁ。」

というような

愛情からくる笑い。


笑われている側にとっても

こそばゆいような、

でも嬉しいような、

ほこらしいような感覚。


愛情からくる笑いは

愛情がつたわります。


ですが、

愛情であっても

伝わりづらいこともあります。


笑われることがとてもキライなお子さんがいます。


馬鹿にされているような

いやーな気持ちになって

怒ったり、落ち込んだり、

相手をきらいになったり。


愛情であっても伝わるときと

そうでない時があります。


ほほほほほ♡

ふふふふふ♡


それを見た途端。

聞いた途端。

まさかの事態。


「ばかにしたな〜!」


と急に怒り出す。


「かわいくてわらっただけよ。」

といっても聞いちゃいない。


「もったいないねぇ。」と大人はなります。


保護者の皆様、

可愛さのあまり笑みが溢れる回数も

おおいことでしょう。

そういうこと、よくありませんか?


つい先日も小学生のお子さんをお持ちの

保護者さんからのご相談で

そんな話になったところでした。

「もったいないよねぇ」と。



2 感情理解でなくカテゴライズ法?


自閉っ子の場合、

特性からくるものだし、

「感情をわかろう!!」

などというような、無茶振りではなく、

一歩ひいて客観的に

この笑いは、


悪意がある笑いか

愛ゆえの笑いか


論理的にわけて考えられるように

なったらいいな、

というか

その方が向いているんじゃないかと

私は思っています。


わぁ〜っと感情に任せて怒るだけでなく、

怒りをコントロールの訓練だ!でもなく

(コントロールできたら困っていない)


客観的に、俯瞰的に、ひいてカテゴライズ。

つまりは感情だけで終えずに、

経験と一緒に思考すること。

そして、カテゴライズを手伝ってくれるような

存在がいるかどうかは大切じゃないかな。

と思うのです。

ようするにお子さんの味方です。



3 実際結構できる


自分で自分を理解したいと思う気持ちからでしょうか。

中学生くらいになると、

色々と普段の困ったことや

理解しがたいと感じることを

お話ししてくれることもしばしば。


指導中、お子さんから、

笑いの種類について

尋ねられることがあります。


「先生、今日な、〇〇で□□で△×?!○でな、

笑われてん。むかつく。むかつくわ〜!」

起こった出来事を話してくれます。


そして、それは、突然やってくる。


フラッシュバック的にポンと思い出したので

話がはじまる感じ。


そのフラッシュバックも、

今起こっているかのように感じて

話すので、だんだん興奮していきます。


「そっかそっかー」


から始まりますが

さすが中学生。

落ち着くのも早いものです。


「それは、Sちゃんが好きで起こった笑いかもね。」

(ただし本人は、感情的には嫌なままなので嬉しくはないご様子。)


「それは、先生も嫌な気持ちになるなぁ。」

(ちょっと嬉しそうなご様子。共感ってそうだよね。)


ちなみになのですが、

こういう時、一般論では話さない

と自分で決めています。

必ず私は私の意見としてのみ、お話します。

そうでないと、深くは伝わらないからです。


そんな感じで2人で

「怒り」について「仲良く」お話していると

怒らなくていい笑いか。(愛を向けられた系)

正当な怒りか。(自尊心傷つけられた系)

客観的に理解しようと、

彼の中のカテゴリーボックスに

カテゴライズはしてくれています。

ありがとう。


こういう特性は、シングルフォーカスの中でも

ハイコントラスト(0・100思考)など、

もちろん深く関わってはいるとは思うのです。


と、まぁ、普通の話です。ここまでは。

ここから本編です。


4 岡田斗司夫さんのお話


YouTubeで岡田斗司夫さんが

「笑う」って何かを話されていて

「あぁぁ!ひょっとして?」となった話です。


岡田さんの動画は、

ロバート・A・ハインライン著の

「異星の客」という長編SFからのお話です。


火星に生まれ育って、

地球に来た主人公は

能力の高さから、

地球人より、地球でのことを

理解できるようになったのに


地球人の「笑い」だけがわからない。


そんなマイクは、

ある時、ガールフレンドに連れられて

冬の動物園に行きます。

檻に入れられたサルをみていると、

サルが自分より大きい猿に

餌を取られて殴られます。

殴られたサルは怒って、

自分より小さなさるを殴ります。

殴られた小さなさるは

捌け口がないので、怒って地面を叩く。


そんな様子を見て

主人公マイクは、

はじめて奇妙の笑い方で笑います。


ガールフレンドは、

猿たちの行動から、

悲しい気分や嫌な気分になるのはわかるけれど

なぜ笑うのか主人公に尋ねます。


主人公は、地球人がなぜ笑うのか

やっとわかったといいます。


笑うっていうのは「攻撃」なんだよね。


ガールフレンドは

笑うことは優しいものだといいますが


主人公は

地球人はそう思い込んでいるんだね。

自分の心の中をよく見てごらん。

笑うっていうのは、

何かに対する攻撃か、

その攻撃の裏返しでしかないから。

と言います。


それから主人公のマイクは正しい場所で

笑えるようになります。

冗談も言えるようになる。


この話を、岡田さん。

40年考察したそうです。

そして「この仮説に間違いはない」と

思われた岡田さんの考えが面白い。


笑いは攻撃性であって、

それが許される感じがするから笑う。

そのスレスレ間に笑うのだと。


本来なら攻撃性にみんなが

ビクッッ!!となるところが

なぁなぁな感じで許される。

この緊張の緩和でみんな笑う。


「笑われてることがキライ」

「冗談を面白いと思えない」

などの理由として、

「なるほどなぁ〜」と思いました。


5 なるほどポイント


「笑われてることがキライ」

「冗談を面白いと思えない」

笑われると、

責められているように感じてしまう。

だから防御で怒る。

原因ってなんだろう?と

いつも思っていました。


シングルフォーカス、ハイコントラスト、

そのあたりから、説明はできるにはできる。


けれど、人間本来の「笑う」ことの

意味を岡田さんの話をお聞きして

なんとな〜くふんわり繋がった気がします。

まだ、全然わかんないことだらけですが。


6 仮説ですが。


自閉っ子が、本質に気づいた時、

それをストレートにだすなぁ(表現するなぁ)

とよく感じます。

ものすんごく、ハッキリしている。


曖昧なスレスレ感はわかりにくい。(←特性上)


曖昧が苦手ゆえ、

レーザービームのように曖昧さを突き抜けて

本質、核に行きつきやすいのかもしれませんが。


「攻撃性」「攻撃性の裏返し」が

笑う時の原因だと本能的に感じている。


のだとすると、

愛情から起こる笑いは

そりゃわかりにくいわけだ。


「え?そのパターンもあるの?これはどっちよ?」

「そんな違いとか言われてもわかりにくいんですけど〜。」


って感じなのかもしれません。

だから、どっちパターンか

インストールするため、

「先生、これどっち?」と

聞いてくるのかもです。


6 これは趣味です。


ただ、もちろん、

全ての笑いがだめなわけでもなさそうですよ。

セーフももちろん存在します。


基本的に、

直接的に自分に向けられた笑いではない場合

結構、セーフ、じゃないでしょうか。


ただし、稀に

お母さんとか、お友達とか、先生とか

大好きな人に場合は、

代わりに怒ることもありますけれど。


例えば、

いつもきっちりしっかりしている

あらいさん。(仮名)

そんなあらいさん。

服にクリーニングのタグがついたまま。

「あらいさん、クリーニングのタグついてますよ〜。」

心の声:あらいさんでもそんなとこあるんだなぁ。

と、ほっとして親近感。(←緊張が緩和)

「1日ずっとつけっぱなしだった〜はずかしい!」

照れるあらいさん。

そこでうまれる打ち解けた笑い。


WAHAHAHAHA!!


だが、

それを見ていた

「あらいたろうくん」(息子)


タグがついている→失敗を笑われている

→お母さんがばかにされている!?


「お母さんを笑うな!!ばか!!」

となりました。とさ。


というように、

自分以外でも、大好きだから、

自分に近い感覚で

感情移入できる人に対しては、

笑う=怒ることも時々ありますね。


そんな感じで、

「アウトな笑い」と「セーフな笑い」が

存在するなぁということは

よく感じます。


どんな種類の笑いが平気なのかは、

人それぞれなので

ず〜っと、じ〜っと、観察しているところです。

地雷ばかり探すより、楽しいもんです。


もしも、

いつの日にか、

本人が「じぶんのセーフな笑い」について

聞いてくるようなことがあったなら

私が感じた「セーフな笑い」を

伝えてみようかと思っています。

答え合わせをして、

違ったら真顔で謝ろう。

笑ったら諭されそうだな。


最後まで読んでくださってありがとうございます。

















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