他人が他人のままであること、絶対に分かり合えないのに分かってほしいと思うこと、その全てが苦しい。 人間ってなんだ。人間が、人間として生きているというのはどういう状態なんだ。 もしも今意識がある私以外が、私が認識しているときにだけ存在するような世界だったとして、つまり私以外は、何か高精度なAIの出力でできているようなものだったとして、その世界を生きる人生は幸せだろうか。 誰とも関わらずに生きることはできないのに、悩みの大半は人と関わっているからこそ生まれるものだと思う。 それが
寝不足で、口の中が乾いて、とても良い目覚めとは言えなかった。 それでもなんとか起きて、出勤して、仕事して、くたくたになって終えた。 意味もなく歩きたくなって、散歩に出かけた。 昼はあんなに晴れてたのに、陽がほとんど沈んでいる空は厚い雲がかかっていた。 近くのパン屋さんで、メロンパンを買って、スーパーで生ハムを買って、サラリーマンの間を通り抜けて帰った。 窓を開けて、メロンパンと生ハムを食べた。 ほんの少しだけ、幸せな気持ちになった。 ツンと湿った香りがして、雨が降りだしたこと
スマホ１つで、どんな情報にも簡単にアクセスできるようになった。そのおかげで、これまでできなかったことが沢山できるようになって、縁がなかったはずの人とも繋がることができるようになった。偶然の範囲すらも広げてくれた。 確かに不自由はないけど、どこか宙に浮いているような感覚がするのは私だけじゃないはず。画面ばかりじゃなくて、もっと自分に向き合いたい。メモはスマホでできるけど、紙に文字を描きたい。友達がアップした写真にいいねばかりをするんじゃなくて、いろんな場所を旅して、そこでの出
自分、何がしたいんだろう。何になりたいんだろう。 溺れているわけではないけれど、私は本当に何にもなりたくない。何物でもない存在でいられるなら、それがいいと思う。 苦しい世界に居座り続けたくない。誰かに貼られたレッテルを背負って生きたくない。でも、私が私であるために、何かにならないといけない。 私は女だ、俺は男だ、そうやって年の数だけ生きてきた。当たり前で、その区別が世の中の常識で、疑ったことなどない。 自分を規定するものは何か、名前？出身地？血液型？誕生日？ それは、人間
