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【SXLP7期 Day6&7 レポート】プロトタイピング

みなさん、こんにちは!SXIコミュニケーションチームです。6月末から始まったSports X Leaders Program(以下SXLP)7期のDay6&Day7のレポートをお届けします。

Phase1では、SXLPのコアである「システムデザイン思考(システムズエンジニアリング&デザイン思考)」を体得し、物事を多視点で捉えていきます。3-4日に1講義のハイペースで進み、毎回新たな概念を頭にも身体にも染み込ませていきます。新しい概念を学ぶPhase1もいよいよ後半戦となります。

■本講義のテーマ
ソリューションコンセプト

■Day6の講義内容
今回の講義で取り扱うプロトタイピングは、Day1〜5まで学んだことを総動員して実践することになります。よって下記のチャート図で示すと広範囲となります。

Day1〜5まで学んだことを総動員する”プロトタイピング”

プロトタイピングについては2日に渡って講義が行われました。1日目のDay6ではプロトタイピングについてレクチャーがあり、その後グループでの対話にて、実際にプロトタイピングの計画を立てることを実施しました。2日目のDay7では、計画に基づいて実際にプロトタイピングを実践しました。

◯SXLP6期 余吾さんによるレクチャー
はじめにDay6についてのレポートです。
Day6の冒頭では、昨年(SXLP6期)の受講生である余吾さんからレクチャーがありました。それは昨年の最終課題において、一連のワークをどのように考えて実践したのか、具体的な体験談を話してもらいました。
レクチャーの中では、余吾さんから以下のようなメッセージがありました。
・フレームワークでの気づきを、次ステップのフレームワークで活かすこと
・問いのリフレーミングが重要。「主語を変える」「軸を変える」ことで分析範囲を意図的に変えること。
・課題はリアルで、手触り感があるもの、かつ当事者意識があるものを選ぶこと。(一般論からは具体的な課題は生まれない。)
・ワーク中の気づきやインサイトを大切にして、質より量を意識すること。
・疑問に思ったことは、自身で調べたり人に聞いてみること。
・インサイトから考えられる問いを意識して考えること
などなど、昨年のワークの経験を踏まえたお話は、一つ一つの言葉に重みのあるものでした。何より、Phase1でシステム思考を学ぶ7期生に向けて、ワークの全体像を知る良い機会になりました。

SXLP6期(2023年)でのワークの様子

続きまして、プロトタイピングについてのレクチャーです。
Day6のレクチャーでのポイントは2つ。
①V&V(VerificationとValidation)
②Prototypingを実施する上で大切なこと

それぞれについて、説明していきます。

◯プロトタイピングには明確な目的を持たせること
①V&V(VerificationとValidation)
プロトタイピングを日本語にすると「検証」、「実証」、「試作」などの言葉が調べると出てきます。今回はそれを明確に整理するために「Verification(検証)」と「Validation(妥当性)」の2つの”V”から始まる単語を用いてレクチャーが展開されていきました。

Verification(検証)・・・ Do the thing right(”正しく”)
Validation(妥当性)・・・Do the right thing(”正しい”)

これだけだと何を言ってるかよくわかりませんね…苦笑

Verificationは、製品の機能や性能の検証をすることであり、検証した結果さらに製品の質をブラッシュアップしていくことを指します。まさに”Do the thing right”を確かめることです。

Validationは、「本当に求められているものか?」「つくるものが共感を得られるものか?」というような、「そもそも…」に立ち返って考えることです。すなわち”Do the right thing”を確かめること。

両者ともプロトタイピングのことを指しますが、目的によって検証することが異なります。つまり何を確認するためにプロトタイピングを実施するのか、目的の設定が重要となります。言い換えると、プロトタイピングの目的を達成するためには何を確認すればいいのか、事前に整理した上で臨むことが重要です。(レクチャーではドッグフードの開発プロジェクトの事例を引用した話がありました。)

ドッグフードを開発する目的は?それに応じたプロトタイプは?

◯Prototypingを実施する上で大切なこと
プロトタイピングの手法については、様々な事例を用いてレクチャーがありました。多種多様な手法が存在するプロトタイピング、実際にプロトタイピングを計画して実施する上で気をつけるべきことや重視すべき点について、講師の方からレクチャーがありました。
計画&実施する上で気をつけるべき点は、端的に言うと下記3点です。
a. クイック&ダーティ:手軽に実施する!
b. やり方は自由。確かめたいことを確かめる!
c. 事実と解釈を分けて考える!

a. クイック&ダーティ:手軽に実施する!
プロトタイピングにはたくさんの方法や形があること、またそれぞれの方法に得意(不得意)があります。どんな方法を用いて重要なことは「目的次第」です。何を確認したいのか、どんな結果が欲しいのかといった仮説を立てた上で手法を選ぶことが重要です。

b. やり方は自由。確かめたいことを確かめる!
目的を設定したら、プロトタイピングを実施することになります。そのやり方はキレイである必要はありません。身近にあるリソース(所有物はもちろん、手軽に借りられるもの)を活用してクイックに実施することが重要です。レクチャーでは、実際にコンビニで段ボールを借りて実施した事例、洗濯ばさみやハサミをつかって模式的に道具に見立てた事例など、テクノロジーに頼らず実施してたものなどが紹介されました。

c. 事実と解釈を分けて考える!
様々な手法を駆使して実施したプロトタイピングについて、得られた結果についての扱い方についてレクチャーがありました。重要なことは事実と解釈を分けて考えることです。

事実(Fact):客観的方法で確認可能な記述
解釈(Opinion):客観的方法で検証ができない話し手の心情や判断による記述。

事実(Fact)と解釈(Opinion)に分類してインサイトを抽出

思いの外、人は過去の経験や思い込みで物事を解釈していることが多く、そのバイアスから一度離れた上で結果を整理することが重要となります。

■Day6のグループワーク
レクチャー後に、各グループに分かれてDay7に実施するプロトタイピングの計画を立てました。Phase1の共通テーマである「貧困世帯とスポーツの関係性をリデザインする」について、各グループがプロトタイピングの目的を設定し、目的を達成するためには何を確認すればいいのか、どの手法を用いるべきかといったことを事前に整理しました。

■Day7 フィールドワーク
水曜日の夜にDay6を実施した3日後の土曜日、Day7を実施しました。
Day7はDay6で立案したプロトタイプ計画を実行に移すべく、各チームでフィールドワークを実施しました。

あるチームのプロトタイプに映る前のメモ。Day6までのシステム思考を活用して漠然とした社会問題をシステムとして捉え、独自の切り口で問題を定義しようとするプロセスが垣間見えます

フィールドワークの内容は各チームによって多岐にわたっており、
あるチームでは貧困家庭が抱える課題の一つである「子どもの体験格差」に着目し、スポーツが適用できる範囲を確かめるべく当事者・当事者に近いソーシャルセクターの方々にヒアリングインタビューを行いました。
また、あるチームでは当事者の心情やコンテクストを理解すべく、事前インプットを踏まえてチーム内でのステークホルダーになりきってみて寸劇をやってみることで、ステークホルダー間の関係性や価値交換の流れを理解しようとする試みも展開されました。


■受講生の声
(山本千恵美さん)
Day1からの怒涛の如く続くインプットとモヤモヤを抱えながらアウトプットしてみるを繰り返しているうちに、あっという間にPhase1の折り返しに来てしまいました。
Day6ではプロトタイピングについて学びました。Day5ではIPSを仮でも置いてないとCVCAも WCAも分析がなかなか進まないことを感じていましたが、プロトタイピングまで来ると抽象度が高いIPSでは進めにくいどころか行き止まりという感覚でした。
6期生の余吾さんに共有いただいた実際のワークの進め方の中でIPSの主語を変えてみるというお話があったので、IPSの主語を意識しながらワークに取り組みましたが、これによってよりActionableなIPSの設定ができそうだなと感じることができました。
とは言え、まだまだ頭では何となく分かってはいるけれどいざ課題に向き合うとどう調理をして良いのか分からないという状態ですが、とにかく今はやってみる!の精神で取り組んでいきたいと思います。
皆さん、引き続きよろしくお願いします!

(NPO法人日本ブラインドサッカー協会・結城俊輔さん)
怒涛のインプットを消化しきれない中で迎えた「行動」の日。結果的に、これまでのインプットを俯瞰し直す気付きを得る1日となりました。
プロトタイピングの実践として、これまでのワークで導き出したソリューションコンセプトの検証。
私達のグループは皆が同じ”モヤモヤ”を抱えながら、プロセスを行き来しながら、時間ギリギリまでリフレーミングを行っていました。V&Vを通じて明確にさせたいものは何か、テーマに対して自分たちは誰でありたいか。喧々諤々、拘りながら何とか言語化したIPSを抱え、トライしたことは①疑似体験と②インタビューの2つです。
こども食堂を運営する方々を訪ね、本当にご丁寧に対応頂戴いただけたことも、私たちにとっては幸運でした。高い抽象度へのモヤモヤに対し、小さくとも、具体事例からのリアルな視点を1つ得たことで、光が差し込んだ気がしています。
フェーズ1も終盤ですが、もう一度来た道を戻ってみたいと思います。

■最後に

Day6までの講義ではシステム思考のフレームワークを習得し、Miro等のツールを用いてチーム内で思考実験することが多いのですが、
今回のDay7は対極的で、実際に街に出て、課題当事者の観察やステークホルダーを取り巻く環境に足を運ぶことでリアリティや当事者意識を高める内容となりました。
このプロセスを完遂することで、思考実験の結果と現状の差分を観察したり、これまでのシステム思考の見直しに繋がります。

今回のDay7までの一連の講義を通じて、受講生は「貧困世帯とスポーツの関係性をリデザインする」という抽象度の高い社会課題に対し、
独自の切り口でスコープを定義し、その中のステークホルダーの関係性や課題を捉え、問題定義と解決策を仮説的に作り上げ、それらを現実に照らし合わせることで具体と抽象を行き来する一連のプロセスを体験しました。
具体と抽象を行き来しつつ、観察結果や気づきから対象をより精緻にシステムとして捉えられるようになっていく感覚を受講生は体得したのではないでしょうか。

次回からのDay8からはPhase1のまとめに入っていきます。Phase1
もラストスパート。受講生の皆さん、頑張ってください!


■Sports X Leaders Program
「システムデザイン思考(システムズエンジニアリング&デザイン思考)」をコアに据え、物事を多視点から捉え、自らが直面する課題や取り組んでいるプロジェクトに当事者意識をもち主体的にアクションを起こせるリーダーを育成するプログラムです。

■Sports X Initiative
Sports X Initiativeは「スポーツ×〇〇」の様々な切り口から価値創造に取り組む人々のコミュニティであり活動プラットフォームでもあります。スポーツをシステムとして捉え、社会とのつながりをシステムとして捉え、その中で課題解決や価値創造に取り組む多様なメンバーの交差点でもあります。
日本のスポーツの未来をつくるために、私たちSports X Initiativeは「Sports X Leaders Program」「Sports X Conference」「Sports X Lab」の3つの活動に取り組んでおります。
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