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偏見

ここには迚という程不似合いな鬱金香が一輪。

それもただ残骸と残響を遺した
何とも言えない不細工なものだった。


"一体御前は何をおぼし其れをここに植えたのか"

きっと誰にも分かるまい。


道行く童の憐れなことよ。

御前が何ものなのかも判らぬままで、
一体何を見つめようというのか。

底抜け、崩れ、渇いた筒に
一体何色の硝子を付けるというのか。
淡く曇って見えないだろうに。

 


道行く人の憐れなことよ。
堕落くゆらせ髑髏。

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