陶酔

深くて優しい夜の海に溺れてゆく

どれだけ手脚をバタつかせても

もう戻れることは無いよ



深く抉られた傷が

ほろく苦い果実によって癒えてゆき

枷となっていた過去のしがらみが

甘味の酸によって溶けてゆく

"虚ろだったこの実は解け、継る"


(葡萄が生った)

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