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ないのなら、制作しようじゃないか!

 ある時、私はハローワークの職業委託訓練校で介護講座を担当することになりました。

その中で日本の福祉制度(介護保険など)や福祉の歴史や法律などに関する部分を担当するミッションが下された。
正直、テキストを読んでいて


「こんな文字や活字ばっかりで つまらんテキストをどう教えるのか?」

と途方に暮れた。

  正直なところ私も、介護の現場で働きながらケアマネージャーの試験勉強をしていた時でさえも法律や制度系・歴史の分野は苦手な部分であった。

なぜなら、
「日本語で書いてあるのに、意味不明」

「馴染みのない専門用語のオンパレード」

テキスト読んで

「秒で」

本も瞳も閉じた。

というくちでした。


なおさら、高校を出たばかりで社会人経験がない幼児教育を学んでいた現役学生の頃は学校の授業も正直あまりピンとこないので福祉制度関係は現場に出てから少しずつ覚えていったという感じでした。
(こんなことなので、後になって改めて社会人になり再度大学へ入り直して編入した訳でもあります。)

これを、まったく福祉や医療に携わっていなくイメージが難しい受講生にどうやって興味を持ってもらうか?

しかも、自分もどうやったら楽しんで授業を進行できるか?
課題であった。

とてもじゃないが
限られた時間で
福祉制度などを含む内容を教えるには
短すぎるし
テキストの内容が濃すぎる!

これでは、消化不良で最終テストの関門突破させられないよ!

危機的状態だった。


介護スクールで教えている先生方
福祉や医療現場で研修・教育担当に
なったことがある管理者さんそう思いませんか?

ということで思いついたのが

「そうだ!京都へ行こう」
的なノリで思い浮かんだのが

「そうだ!人生ゲームで楽しく介護の仕事を知ろう!」
 という考えに至った。

 そうです!

今や「人生ゲーム」は名前ぐらいは聞いたことがあり、遊んだことがある世代も多いボードゲームです。
大人になって感じたことですが、あのゲームは「約束手形」や「紙幣」などのアイテムがありマス目には社会の仕組みやその時代の流れなどが組み込まれ、楽しく社会の仕組みのようなことを学べる知育玩具だったと思います。

なので、それをグループワークでできるように5~6グループ分作成。
そこで、100円均一でおもちゃの紙幣やサイコロ、模造紙などを購入して

夜な夜な、楽しく学ぶ受講生の姿を思い浮かべながら

「人生ゲーム~福祉の仕事バージョン~」を作成!

先ずは、各コマの1つ1つを

介護や医療現場あるある話しを盛り込んで作成。


 例えば私が担当していた講座は「介護職員実務者研修」であったので、職業カードは全プレイヤーが最初は「介護職員見習い」としてスタート。
ゲーム開始時の手持ちのお給料は一律いくらと決めて
途中で「介護福祉士資格試験」に挑戦するというコマを設ける。

そうだ、それならば

「介護福祉士の試験も作ろうじゃないか!」

ということで

講義で学んできた内容を振り返り
受講生が各自で考えて問題を作成。
その問題用紙をシャッフルして
何問中何割できたら昇給をして
「介護福祉士」とう職業カードがもらる。
そのうえで、給料アップという仕組みをつくったり

「利用者さんが、転倒。ヒヤリハットを書いて一回休み」

とか

「感染症で入院」傷病手当金が支給されて一回やすみ。
左右にいる者も3コマ戻り一回休み

など福祉や医療制度・福祉の仕事あるある話を
ふんだんに盛り込だ。

お陰様で、授業はみんな

飽きずに

寝ることなく
無事に終了。

「教材、作っていったかいがあった」

「良かった 良かった」

「めでたし」

「めでたし」

という訳で

 その後、テキスト読んで説明するだけでは眠気をさそうだろう福祉の制度や歴史の流れという授業に対しては
テキストに載っていた絶対に覚えてほしいキーワード「かるた」にしてあらかじめ作成。

「午前中の割と脳も頭もすっきりしている時間帯」はさらっテキストを読んで解説にあてる。

「昼食後の睡魔が襲う時間帯」は「かるた」大会開催!

と言うように
遊びながら覚える教材を作成して講義を乗り切った。

 読み手の札には、覚えにくいキーワードは「ダジャレ」で盛り込む。絵札もダジャレに関する挿絵を入れる。

例えば、権利擁護で言う専門用語の「アドボカシー」(生活に何らかの障壁があり、自分の意思を伝えることが困難な方々の思いを支援者が代弁するという内容)は


「アボカドじゃないよ!アドボカシー、権利擁護だよ」といった感じの読み札を用意。

はた目からすれば
「思い切り親父ギャグ」だ!

しかし、この際手段はどうでもよい!
とにかく、職業訓練の最終日にはこのキーワードたちは
テストで出すから覚えてほしい!

ということで

絵札は、アボカドの絵に✖(バツ印)を描いたものを用意。

視覚からのアプローチとアウトプット・インプットで記憶をしやすいものにする効果を意図した教材だ。

グループワークで、みんなでワイワイやれば
「自分が何かの形で体験したことは記憶に定着しやすい」
というトリプル効果を狙ったものだ。

お陰様で、受講生が毎日楽しく


「今日はどんなネタを仕込んでくるのか」
楽しみにしていくださる方が増えた。
こちらのモチベーションもあがり一石二鳥だ。

残念ながら、その教材たちは家の建て替えと引越業務のため保管が難しく、断腸の思いで手放しました。なので、こちらに写真として載せることができませんことをお許しください。

その代わりと言っては何ですが、もしこの記事を読んで少しでも興味を持たれたり、研修ネタとしてどういうアプローチをしたら良いかお悩みの福祉現場の教育担当者さん、介護スクールの運営者さん・介護や福祉教育の教材をつくりたいという企業さん、コメント欄にご連絡下されば一緒に考えますので遠慮なくどうぞご連絡ください。個別相談受け付けます。




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