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異論を封じる「正義」―「性自認」法令化の危うさ—2022.10.30 産経新聞あて寄稿文

 当会の防波堤役・事務局の滝本太郎弁護士が産経新聞に寄稿した文章が、大きく「The考」という所の記事になりました。
 産経新聞のネット記事は以下です。
https://www.sankei.com/article/20221025-DROZ4DILKRJF5FZMIW2UIOWE2Y/

 様々なことが分かりやすく書かれていますので、是非ご参考までに。文章部分のPDFも添付します。

 滝本弁護士は、この寄稿を当会noteに載せるにあたり、空中浮揚の写真にあわせ次の通りを会に寄稿しました。

 性別セックスは現生人類になる前から、女と男だけです。性別は変更できません。性別と、時代や地域で変わるジェンダーとを混同しては困ります。スカートをはくのも、女性と認識するのも男の中の多様性であり個人の自由・個性です。女にあっても同じ。性の多様性はあるも、性別の多様性はありません。2003年特例法は身体違和がきつい人の救済のために、性別適合手術の上で、他の性別のものと「みなす」という法的性別の変更にとどまります。

 この寄稿文は、私作成の文章資料としては、下記の「25のQ&A」とともに広く読んで普及して欲しい内容です。
https://note.com/sws_jp/n/nb22323ac4f7b

 私は、オウム真理教からの脱会カウンセリングのために、自分の空中浮揚写真を撮りました。麻原彰晃の空中浮揚はしょせん写真どまり、最終解脱の証明になる筈もないというために。写真として嘘・偽りはありません。これがオウム真理教による1994.5.9滝本サリン事件の最大の動機になりました。
 女と男以外の性別があるなら、性別が真に変更できるならば、自分は15秒間、空中浮揚します。

 以下に、記事になった滝本弁護士の寄稿文を転載します。
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異論を封じる「正義」
―LGBT法令化「性自認」の危うさ


弁護士・滝本太郎


 LGBT(性的少数者)の法令化問題は議論を呼んでいる。全国の自治体で「性的指向と性自認」の少数者への差別禁止や同性婚に準じる同性パートナーシップ導入を定めた条例が制定されているが、私が問題だと思うのはT(トランスジェンダー)の性自認の法令化だ。これは、男女の性別は生まれつきの体で決まるものではなく、自分の認識で後に変更できて良いはずだという「トランスジェンダリズム思想」を背景としている。

 男性器があっても「女性」という性自認だから女性として遇されるべしとなれば、女性トイレなどに怪しげな男までも入りやすくなり、女性の安心・安全が害される。「トランス女性」(生まれは男性、性自認は女性)が女性スポーツで優勝し、女性がトップに立てないという混乱は、すでに世界で起きている。

 昨年5月、自民党で「LGBT理解増進法案」の提出が見送られた際、少なくないメディアは、あたかも自民党の「反動勢力」が反対したのが理由のように報じていたが、それは違う。市井の女性らが「性自認は危うい」と必死の想いで自民党議員に要請して回ったからである。

 私自身は同性婚は当事者同士の問題だから導入すべきと考えるし、トランス女性・男性の権利も守るべきだが、それは揶揄や仕事で差別されてはならないということで、「女性として遇せよ」の意味ではない。そうなれば「女性の権利法益、公平性の簒奪」や「性の無政府主義社会」につながり得るからである。

弁護士は女性トイレを守らないのか


 「男性器はあっても女性と認識する人は女性として遇せよ」というトランスジェンダリズムの思想運動は、キリスト教文化圏を中心に、深く浸透してきた。日本にも性同一性障害(性別不合)にかかる特例法があるが、これはイコールではない。T(トランスジェンダー)と呼ばれる中でも、自分の性別に対し医療を必要とするほど「身体違和」がきつい人にかぎって性別適合手術の道を開き、その上で「他の性別に変わったものとみなす」という法律である。

 ところが、2020年9月、日本学術会議は「性的自己決定」を重要とし、法律上の性別変更について単純に「性別適合手術」要件を外すべきだとした。21年9月、関東弁護士会連合会も同様の大会宣言を出した。関弁連は、身体違和はないトランス女性につき「トイレの利用についても、支障なく性自認に基づいた利用ができるよう、トイレを利用する全ての者への理解を促し」とも明言した。

 驚愕した。

  後の歴史には女性に対する宣戦布告だと位置づけられよう。女性トイレは日本では明治の女工哀史の時代からの女性の要請だった。弁護士であれば女性トイレでの事件に遭う。女装しての事件もある。死亡に至らないわいせつ、強姦等の事件はほとんど報道されないが、少女や知的障害女性の悲しい事件も多い。「女性と認識する」という理由で入れることになれば、怪しげな男も女装して入り易くなるのは容易に分かる。

  しかし関弁連は、ただ「女性として遇する」を是とした。女性トイレはそのままに、男性トイレの構造を変えつつ男女共用トイレにするなども考えられたのに、女性トイレにこだわった。

  弁護士の公的団体なのに歴史に残る恥たる宣言だと私は考える。

 背景には、国際的な潮流があるのだろうが、キリスト教文化圏には、近年まで同性愛を嫌悪し、その行為や異性装を処罰するソドミー法があったために、その反動でLGBT運動が「マイノリティーのため」の運動として行われた歴史がある。しかし、日本ではソドミー法はなかった。事情が大きく異なるのに、影響されているのだ。

女性へ激しい攻撃


 昨年9月、私は、ネット上で知り合った市井の女性らと「女性スペースを守る会」を作った。彼女らは、一部のG(ゲイ)やTのトランス女性、そして男性支援者から、身バレさせつつ「黙れ」「差別だ」と糾弾されることを怖がっていたので、同会の所在を当事務所とし「防波堤役事務局」弁護士になった。L(レズビアン)の専門店に、男性器ある人が「女性だ」と入ってくることなどに弱り果てたLの女性多数も賛同してきた。今、LGBの性的少数者団体、Tの中でも性別不合の当事者団体そして性犯罪被害者支援の方々の団体とともに、様々な活動をしている。

 スタッフの多くは、本来はいわば左翼の女性だが、左派野党が女性の声を軽視し、男性器あるトランス女性の女性トイレ利用を公認する効果を持つ統一法案を提出したこと、「男性器ある女性もあり得る」と考えたことに疑問を抱く。その1点で共闘するだけで、保守系も多いが、一部マスコミが批判するように旧統一教会や宗教右派はいない。

 これに対しトランスジェンダリズム推進側の攻撃は激しい。私に対しては、一市民から「トランスジェダーに対する差別扇動だ」と弁護士の懲戒請求が起こされた。ある弁護士は、著名なヘイトスピーチ団体と同様の「トランスヘイト団体だ」などと、根も葉もないツイートをした。

 私たちは逆に、この弁護士の懲戒請求を起こし、この8月、弁護士会は名誉毀損等で懲戒相当とし懲戒委員会に回した。私に対する懲戒請求については早期に棄却された。弁護士会は関弁連の一単位会として「性自認の法令化」を推奨しているが、綱紀委員会はかろうじて常識コモンセンスを失っていなかった。

カルト対策の教訓


 しかし、日本メディアは、推進側の報道ばかりを重ねている。米国女子大学水泳選手権では、男子としては数百番台だった選手が、男性器あるまま女性だとし女子の部に出て優勝を続けているが、この報道はほとんどない。

 トランス女性を女性刑務所に収容していた英国では、刑務所での強姦事件など多くの事件と混乱を受けこの4月、女性刑務所やスポーツの正常化に舵を切り、いったん共用トイレばかりとなっていたところを再び女性専用トイレを作るなどもしているが、この報道もない。

 一部の国では、子どもに対しても本人のためとしてホルモン治療、乳房切除・性別適合手術が行われ、後に間違っていた、戻りたいという悲劇が続発しているが、これも報じられない。

 トランスジェンダリズムについては、今、左派を中心に「正義だ」と確信した方々による「ポリティカルコレクトネス」が異常である。疑義を呈すれば差別だと糾弾し、疑義を書いた書籍やブログは読むな、誰々をブロックすべしとすることもある。議論は正義のためと称し、学問の自由、表現の自由も一部制約されて良いとまでいう東大教授までいる。かつての中国の文化大革命と類似する。

 女性の法益を守るはずのフェミニズム学者・弁護士の多くも、「生まれつきの女性はトランス女性に比べればマジョリティーとして女性特権がある」との「教え」を叩き込まれたか、「女性スペースを守ってほしい」という女性の声を弱者の声として聞かず、耳を傾ける論者に対しては「キャンセル・カルチャー」で排除しようとする。

 私は、長い間、弁護士として旧統一教会やオウム真理教問題の被害者対策に取り組んできた。もっぱら信者さん対応をしてきた。カルト宗教は、外部の情報や異論を何としても遮断する。一つの考えを正しいとして、反論や異論を聞こうとしないのならば、それは思想ではなく、「どこまでも信じる」を本質とする宗教教義と同じではないか。

 このことに、右も左もない。しっかりと議論して定めないとまずいと考える。

(産経新聞2022.10.30の記事より、滝本太郎弁護士の寄稿文)

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