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美御前社(京都・八坂神社内)【日本弁天巡礼】

日本で広く信仰されている女神・弁財天(インド名:サラスヴァティ)。日本各地の弁財天信仰の軌跡をたどるこのシリーズ、【日本弁天巡礼】。

今回は、古都・京都における代表的な神社、八坂(やさか)神社の境内にある、「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」をリポートする。

この美御前社は、弁財天と同一視されている女神、市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)を奉っている。明治維新までの日本では神仏習合が慣例であり、その時代においては弁財天と市杵島比売命と習合されることが常だった。

■女性たちの参拝が絶えない神社

八坂神社拝殿を奥に見る

いくつかある境内社の中でも、ひときわ女性たちの足が絶えない。そんな印象を受けたのがこの美御前社である。

美御前社を鳥居手前正面から見る

案内によれば、次の3女神を奉る。

市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)
多岐理毘売命(たぎりびめのみこと)
多岐津比売命(たぎつひめのみこと)

である。この3女神は「宗像三女神」と呼ばれ、「美人の誉れ高い」と記されている。記述によれば、このうち特に美しいとの評価が高かったのが市杵島比売命。弁財天はこの市杵島比売命と同一視されるが、実際、弁財天を「美の女神」とするケースもある。

さて美御前社の社殿前には「美容水」と呼ばれる水がしつらえられている。これを掬(すく)い数滴、肌につけると美しくなるとされる。

水という要素に着目すれば、この八坂神社の本殿の下部深くには底なし池があり、そこに青龍が住んでいるのだともされている。さらに言えば、池の水脈は風水の考え方で言う「龍脈」と見なされ、高いレベルの生命エネルギーをここに流しているのだという。

なお八坂神社は、京都を守る「四神」の「青龍」にもあたる。これは風水の四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)のひとつで、八坂神社内の社務所には、青龍にちなんだグッズも販売されている。

弁財天は先にも触れたように、美御前社が奉る市杵島比売命と同一視されることが多い。転じて弁財天を「美の女神」と崇めるケースもある。

サラスヴァティに由来する河川の神から転じて、様々な功徳をもたらす女神として深く信仰されている弁財天。美御前社はその存在感を象徴している神社と言えるだろう。

【データ】
美御前社、〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側625 八坂神社内

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