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朝日新聞デジタルで読める私の観戦記

タイトル画像は全然関係ないNIFRELの写真で、写っているのは母親(友達)からいつでも掲載OKと了解もらっている子です。

緊急事態宣言であじゃじゃーこじゃじゃーな日々ですが、4月8日(水)に朝日新聞デジタルが期間限定でほぼ全記事を無料公開しました。

もともと無料会員登録をすれば1日1記事だけ読めましたが、当面たくさんの記事を読めます!

過去記事を読めるので、将棋の観戦記も読み放題です。
今日(4/8)時点で2015年4月以降の記事が読めるみたいです。
もしかしたらちょうど5年前、かもしれませんが。

というわけで今回は、朝日新聞デジタルに掲載されている記事のうち、私が執筆した将棋観戦記を紹介します。(また有料に戻ったときは有料会員になって読んでください…!)
記憶違いの記述があればご容赦のほどを。また気づいた方はご連絡ください。
肩書は対局当時のものです。

第73期将棋名人戦プレーオフ1回戦 ▲広瀬章人八段-△久保利明九段(2015.3.5)

掲載日 2015.4.17~20 1 2 3 4

23期ぶりの4人プレーオフの1回戦です。このときで「いやー、4人のプレーオフって大変だねぇ」なんて言ってたのに、わずか3年後に6人でプレーオフするとは。
私、まだA級最終局の観戦記を担当したことがなくて、このときは3/1に最終局が行われたのに3/5の対局でした。
2人や3人のプレーオフになった場合は3/5に対局はなく、その場合は私の観戦記担当もありませんでした。A級最終局で関係する対局が3局あり、その3局で「こちらが勝った場合」がぴったりはまらないと4人プレーオフにはならなかったので、まぁ仕事ないやろと油断していましたが、仕事が発生してびっくりしました。
記録係が古森初段ですね。

第73期将棋名人戦七番勝負 第3局 ▲行方尚史八段(挑戦者)-△羽生善治名人(2015.5.7-8)

掲載日 2015.5.27~6.8 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

初めての名人戦七番勝負観戦記担当でした。当時、「女性が名人戦の観戦記を書くのは初めてでは」という話でしたが、後に「著名人の女性が書いたのが毎日新聞に載ったのを見たことがある気がする」と言われたことがあります。まあ、どっちでもいいです。
タイトル戦自体2回目(1回目も羽生-行方だった)でした。
対局にあたって様々な方が関わっていることを紹介したいし、準備や工夫、なんでこの地で対局が行われているのとか、盤外のことをたくさん書きたい。でも最高峰の舞台・最長の持ち時間で指されている将棋の内容も伝えたい。タイトル戦では登場人物を多めにすることも意識しています。結局、スペースが足りない。
第2譜がうまく収まってガッツポーズでした。第6譜の情報を垂れ込んだのはIさんです。第7譜は当時のガンバの選手を具体的に浮かべて書きました。でも当時はまだ万博でそんなに見に行ってなかったのでちょっとあやふや。第13譜の最後は、朝日新聞の方とたくさんやりとりして、私が言いたいことがうまく伝わるように直していただきました。(自力でどうにもできなかった…)

第74期将棋名人戦B級1組順位戦3回戦 ▲豊島将之七段-△阿久津主税八段(2015.7.23)

掲載日2015.8.31~9.4 1 2 3 4 5

豊島不調説。今は名人(と竜王)だけど、本局はいいところまで行くけど結果を残せないキャラになりつつある時期の対局でした。でもそんなところで指している時点で不調じゃないけどなぁ(第3譜)。
確か感想戦自体すごく短くて、そのあとも、後日ももやもやしっぱなしでした。真相は先生の心の内にだけ、ということで。

第74期将棋名人戦A級順位戦 ▲久保利明九段-△郷田真隆王将(2015.10.2)

掲載日2015.10.25~31 1 2 3 4 5 6 7

観戦記って、2次元情報じゃないですか。私はそれを3次元、4次元にしたいなぁと思って書いているんです。
読んだときに読者の時の流れと対局の時の流れが絡み合うような。
例えば1つの譜で昼食休憩明けから夕食休憩までの棋譜が載っていたら、自分が昼食から夕食の間にやったことを思い返して、その間ずっと将棋の指し手を、それも1手か2手選ぶだけのことを考えているって非日常的で、それだけで棋士という仕事がどんなものか伝わると考えています。
そんな感じの第1譜。最終譜は、あれですな、きっと私は眠かったと暗に言いたいんだな。

第74期将棋名人戦B級2組順位戦7回戦 指し直し局 ▲藤井猛九段-△菅井竜也七段(2015.12.24)

掲載日2016.1.25~30 1 2 3 4 5 6

千日手だったのは、記事を見直すまで忘れていました。
この対局で印象に残っているのは、後日藤井九段宅に取材の電話をかけたとき。ご家族が出て不在とのことで「では○時頃にかけ直します!」と切り、私は何か用事で電車で出かけました。
帰りの電車の中でこのままでは○時に家に着かないことに気づき、JR大阪駅で下車。あまり周囲に会話を聞かれても困るので、時空の広場のカフェで隅の席を選び、電話したのでした。「せ、せんせ、先日22日で藤井システム20周年だったらしいですよ。K滴さんがTwitterに書いてましたよ…(以下略)」
今年12月は藤井システム25周年になるわけですね。

第74期将棋名人戦A級順位戦8回戦 ▲佐藤天彦八段-△久保利明九段(2016.2.1)

掲載日2016.3.13~17 1 2 3 4 5

「ラス前」の対局です。朝、対局室に行ったら、まずここにはいないはずの人がいてびっくりしました。
将棋はほとんど覚えていないけど、千田五段に指し初め式のときに解説を頼んだのは覚えているぞ。当時はソフトを使っている人が少なかったので、千田五段の解説がすごく新鮮で楽しかったってのは覚えている。
……将棋は覚えていないけど……。
「ラス前」は同日に5局行われる都合で、書く前に掲載順を教えていただいて、まだ載っていない対局の結果がわからないように配慮しています。最終譜が思わせぶりになっているのは、次に掲載される対局へのバトンパスです。

第74期将棋名人戦七番勝負第4局 ▲佐藤天彦八段(挑戦者)-△羽生善治名人(2016.5.25-26)

掲載日2016.6.6~6.20 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
※第13譜は見つかりませんでした。

この時点で羽生名人の1勝2敗ということもあって、初めて羽生名人に逆風が吹いていると感じたシリーズでした。それまではどのタイトル戦に行っても「将棋とは最後に羽生が勝つゲーム」の雰囲気があったものでしたが。
ま、この年、名人を取られたあとに三冠を防衛しているんですけど。
対局の福寿会館が本当に素敵な建物だったのと、山崎、片上、糸谷、室谷と(ほかにもいらっしゃるんですが)わいわいがやがや仕事した楽しい思い出が残る地です。お互いタメ口でしゃべる唯一の棋士であるdaichanと、対局関係では初めて一緒に仕事しました。(このときに「結婚した」って写真見せてもらいました)
佐藤八段の着物は「蘇芳(すおう)色」。
和服の色をカタカナ(外来語)で書くのは違和感があります。日本のものだから和名で書けるはずなんですよ。「グレー」「オレンジ」は、私にはとてもじゃないけど書けません。(って、どこかに書いてたりして…)
私はこれがすごく引っかかるんですが、なんとも思わない人もいるみたいで。そこを「個性」で済ませていいとは思わないのですが……。ぐにゅぐにゅ。しかし反対に私が無頓着なところで本来はこだわらないといけないところもあるのかも。
このときは佐藤八段ご自身が「蘇芳色と伺いました!」と教えてくれたのでよかったですが、わからないときは大変です。だからタイトル戦には「色の名前」という本を持っていきます。

第75期将棋名人戦A級順位戦1回戦 ▲屋敷伸之九段-△稲葉陽八段(2016.6.23)

掲載日2016.7.17~22 1 2 3 4 5
※第1譜、第3譜は見つかりませんでした。

稲葉八段の順位戦は終局が早いイメージがあるのですが、調べてみたらこの対局がずば抜けて早いだけでした。(あと稲葉-糸谷戦は早かったけど除外しとこう)
この対局の数日後に将棋ウォーズを指したら、流れに乗っていただけなのに第2譜の指了図と同じ局面になって「プロと同じ将棋!」と興奮しました。
稲葉八段の少年時代の話って「早指し」「右四間」しか聞かない。

第75期将棋名人戦B級2組順位戦5回戦 ▲菅井竜也七段-△戸辺誠七段(2016.9.21)

掲載日2016.10.15~21 1 2 3 4 5 6 7

この対局に関しては、観戦記の仕事を引き受けたことが失敗だったと告白します。仕事上、悔いの残ることはたくさんやらかしているけど、これが1番です。
実は、前日に京都であった王座戦五番勝負の取材を引き受けていたのです。そのあとにこの観戦記の依頼があり、引き受けました。
王座戦はタイトル戦で9時スタートとは言え、持ち時間が5時間で、感想戦の取材となると日付が替わります。さらにこのときは直後に記事を仕上げる必要があって、終わったのが午前3時だったか、4時だったか…。
(この王座戦っていうのは糸谷挑戦者が局後にマンゴープリンの感想を語ったあれです)
それで10時に(厳密には9時半ごろに)関西将棋会館でしょ?
眠いわけですよ。
というわけで対局室でうとうとしてしまったんですが、はたしてうとうとで済んでいたかどうか。
(対局者には「王座戦が指し直しになったら午後から行く」と伝えていたので、眠い理由は理解していただいたと思うのですが)
で、あっ!やばい!!と思って対局室を飛び出して、関西将棋会館向かいのジャンカラで昼食休憩をはさんで2時間くらい寝ました。そのあとは無事に仕事できましたが、初めに「まあ行けるやろ」と思って引き受けてしまった自己管理の甘さが出ました。
早い終局でしたが長手数で、中盤からはきびきびした指し手が続いて寝ている暇がないくらいで(本来、いつもそうです)、そもそも「やらかした!」と思っていたし背筋がぴーんと伸びていました。
特に負けた戸辺七段には後日取材も丁寧に応じていただき(いや、これも皆様いつもそうなのですが、このときは特に染み渡りまして)、なんとか仕上げられました。
最終譜の「耐えて、耐えて、…」って私、聞いていて心に響きました。棋士が棋士である限り、将棋から逃げられないんだなと。これを笑顔で言う棋士っていったい何なんですか、もぅ。

第75期将棋名人戦七番勝負第4局 ▲稲葉陽八段(挑戦者)-△佐藤天彦名人(2017.5.16-17)

掲載日2017.5.28~6.10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

岐阜市「十八楼」での初めてのタイトル戦。封じ手の際に佐藤名人が大長考し、盤側で待機していた糸谷副立会人がもだえ苦しむ様子がニコ生・Abemaで映し出されていたことで有名な対局です。
そのときは私も対局室にずーっと座っていたのですが、少し横を向くと悶える様子が視界に入り、これを見ては笑ってしまうと正面を向くと、今度は外が暗くなっているので窓ガラスにその様子が映っている。「笑ってはいけない対局室24時……!!」と思いながら耐え忍んでいました。
(対局後に稲葉八段に「あの時の糸谷先生の様子を見てどう思いました?」と尋ねたときの返答がめちゃくちゃ面白かったけどここには書けない)
(このときの映像を見返すことがあれば、もうひとりの副立会人はちゃっかりとカメラに映らない位置に座っていることも確認していただきたい)
(このとき本当にカメラに映らない位置でM社のY記者がずっと正座で待っていたことが関係者の間でかなり話題になった)
(私は正座椅子ユーザー…)
さて観戦記の内容ですが、観戦記って1譜ごとの小さな起承転結と、一局全体を見た起承転結と大小2つの波にうまく乗りたいです。
本局は、それがまあまあうまくいっているのではないかと。つまり、1譜ごと単体を読んでも読めるものだし、一気に読んでもすーっとつながって読めると思う。
この観戦記に限らず、細かいところは朝日新聞社の担当記者さんに直してもらったり、意見をいただいて修正したりはするけど、技術的には良い出来なんじゃないかと思います。
冒頭の「青葉の季節」は「若葉」と悩んだけど、歳時記を見たら青葉のほうが季節が合っていたので青葉にしました。

数人で岐阜城にロープウェイで登って、濃尾平野を見て「うわー! 美濃囲いっぽいー!!」と興奮して叫んでいたのですが、理解してもらえなかった。

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ほら!!

第76期将棋名人戦A級順位戦2回戦 ▲久保利明王将-△行方尚史八段(2017.7.12)

掲載日2017.8.15~19 1 2 3 4 5

大人の事情でA級に11人いたため対局数が増え、この年は1局あたりの譜数が少ないです。
関西のA級棋士が少ないので、必然的にずっとA級にいる(いた…)久保先生の対局を担当する機会が多いです。
久保先生は、終盤の読みの量がかなり多い。A級棋士は皆さんすごくたくさん読んでいるのだけど、深夜の秒読みの中、深いところまで読まれていることにいつも驚きます。特に、終盤の読みが深い棋士ってだいたい詰将棋作家ですし。久保先生は詰将棋作らないし。感想戦で解説してくださるけど、いつも「はー」とか「へー」しか返せないのが申し訳ないです。朝日新聞の観戦記は、棋士が解説についてくれるのであとで何を言っていたのか教えてもらうのですが、日本語の通訳を雇っている感じです。
この対局は終盤で劇的な幕切れを誘引する見落としがあり、最終譜の「6分間の沈黙」は話しかけていいのかわからず、戸惑いました。

第76期将棋名人戦A級順位戦6回戦 ▲豊島将之八段-△深浦康市九段(2017.11.16)

掲載日2017.12.6~12 1 2 3 4 5 6

観戦記を書くときはその対局のことをできるだけ理解して書きたいです。当たり前だけど残念ながらそれができないことがたまにあって、この対局がそのひとつでした。「▲9四銀不成」が成じゃない理由。なんとなく感覚としては不成のほうがよさそうな雰囲気はあるけど、そんなに言い切れるものなのか。解説の竹内四段にしつこく聞いた記憶があります。最後は、竹内四段の言葉をそのまま借りることになりましたが。

第76期将棋名人戦A級順位戦9回戦 ▲久保利明王将-△稲葉陽八段(2018.1.12)

掲載日2018.2.11~17 1 2 3 4 5 6 7

大人の事情で11回戦まであった年なので、9回戦ですが「ラス前前」です。
200手超えを7譜で書くのはきつかったですが、本当に大事なところだけをぎゅっと集めました。
当初、第1譜はもっと先で切ったのですが、紙面に収まらないということで限界の手数のところで切りました。収まらないとかあるんや。
第6譜前半の話は、私も年を取ったんやなぁと思いながら書きました。
対局が行われた時期の気候を表すのに気温を書くことが多いです。その日のうちにネットで調べて書き留めておくのですが、だいたいあとで担当者さんから「調べたら○度だったので直しました」と言われます。何なの、速報値なの?

第77期将棋名人戦A級順位戦1回戦 ▲久保利明王将-△広瀬章人八段(2018.6.28)

掲載日2018.7.25~30 1 2 3 4 5 6

これもまた難しい将棋でした。このときの解説の平藤七段は「福崎さんは頭が悪いから棋士になった。僕は頭がいいから棋士になった」の名言を残したくらいの(※若手の頃の話だそうです)天才肌の棋士で、ふんわりした「雰囲気解説」です。大局をおおらかな表現で解説するのが得意な先生なので、私が細かぁーく聞くと「なんて言ったらいいんかなぁ」と困らせてしまいます。私が学生の頃からお世話になっている先生なので、聞きまくるのですが。先生、これからもよろしくお願いします☆
第5譜に書いた隣の対局の逆転した瞬間、私の席からは盤面が見えないのに「あ、逆転したんやな」とすぐわかりました。
ちなみに第1譜冒頭の地震の話は、1ヶ月経たないうちにすっかり忘れられつつあるのが住民として腹立たしかったのでねじこみました。ごりごり。唯一声かけてくれたI先生やさしい。

第77期将棋名人戦B級1組順位戦6回戦 ▲斎藤慎太郎七段-△畠山鎮七段(2018.9.25)

掲載日2018.10.27~11.1 1 2 3 4 5 6

師弟戦です。ところでA級順位戦の師弟対決って大山-有吉戦以外にあるのをご存知でしたか。私はこの観戦記を書くときに調べて初めて知りました。
この師弟は師弟になる前から知っているし(連盟道場で斎藤初段vsスワ2級とがあった)、本文にも書いたように15年前から見ているので、このふたりが順位戦で指すのかぁと私も感慨深かったです。この対局の観戦記を依頼されたのはとてもうれしかったです。
対局は思わぬ展開から師匠が圧倒することに。
第5譜後半に書いた師匠の思いを、数日後にたまたまお会いした名古屋の某師匠に「こんなことおっしゃってたんですよ~」と話したところ、「言っている意味がわからない」と首をひねっていました。私もわからなかったです、実は。

第77期将棋名人戦A級順位戦4回戦 ▲羽生善治竜王-△稲葉陽八段(2018.10.17)

掲載日2018.11.14 1 2 3 4 5

角換わりですが、このときはまだ▲2九飛ー▲4八金型じゃなくて「横歩取りの後手番が苦労しているから(消去法的に)角換わりが流行っている」って、いま振り返ると驚きですね。まだ1年半前なのに。
この日は藤井聡太新人王が誕生した日で、この対局は4階でひっそりと行われていました。みんなで「羽生先生は4階で対局したことあるんかなー」「誰が聞けるねん」って言っていたら、感想戦が終わったあとにM社のYさんがみんなを代表して聞いてくださいました。ありがとうございます。

第77期将棋名人戦A級順位戦7回戦 ▲久保利明王将-△深浦康市九段(2019.1.8)

掲載日2019.1.30~2.3 1 2 3 4 5

久保-深浦と言えば久保先生の「△1九と」で有名な2013年の第72期A級順位戦3回戦の観戦記を書かせていただいておりまして、ぜひご覧いただきたかったところですがデータが残っていないようで。
私レベルでもなんとなく経験がありますが、いい将棋を指せる相手、お互いの力を引き出せる相手という相性が将棋にはあると思います。久保-深浦は相性ばっちり、外れなしの好相性です!(「いや、そんなことないけど」と本人に言われたら困る)

第77期将棋名人戦A級順位戦8回戦 ▲羽生善治九段-△豊島将之二冠(2019.1.31)

掲載日2019.2.25~3.1 1 2 3 4 5

初めて見る「羽生九段」です。わー、今までと変わらなーい(当たり前)。
この対局はラス前の1敗同士の大一番ということで、動画の中継が入っていました。
私はこの日、羽生九段がすごく正座しづらそうにしてらしたんですね。立ち上がるときにしびれているような。でも、しかし、棋士になってから35年近く経つ(←まじか)人が、急に足しびれます?
考えていたら思い至ったんです。そうだ、最近関西の座布団が新しいものに変わったもんな! タイトル戦のときいつも、「実は薄いほうがしびれなくていいんですよ~」って言ってたもんな! それって連盟の座布団が薄いから慣れているだけちゃうんって思ってたもんな! うわー関西の座布団が合ってないんやぁ、先生大変やわぁ。
……って確信していたら、数か月後。

下世話でした。すみません……。

第77期将棋名人戦七番勝負第3局 ▲佐藤天彦名人-△豊島将之二冠(挑戦者)(2019.5.7-8)

掲載日2019.5.24~6.6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

倉敷藤花戦の対局場としておなじみの岡山県倉敷市「芸文館」で行われた対局です。前年夏の西日本豪雨で被災した倉敷市の復興支援として行われました。といっても倉敷市内の「真備町」地域の被害が大きく、芸文館の周辺は大きな被害はなかったそうです。
この対局は、今までの名人戦以上に盤上も盤外も盛りだくさんで、取捨選択したくなかったのでどうやって全部入れるか大変悩みました。書くべきことを箇条書きにして、パズルのように組み合わせて、でも将棋の内容も伝えて。名人戦七番勝負では30譜ほしいです。書きたいことが多すぎる。佐藤名人におかれましてはもうちょっと短い作品名のものを気に入っていただきたかった。(大原美術館に作品名を電話で問い合わせたときに「それ、略したらダメですか?」って言ってしまった)
このときに「世界一かわいい立会人の写真」を撮りました。ご本人に「Twitterにあげていいですか?」って聞いたら「あかーん」って言われました。
でも直後からいろんな人に見せて大好評。なんと打ち上げでは伊東市長にまで見せびらかしました。なお被写体ご本人も「その写真、ちょうだい。送って」って、なんやかんや言って気に入ってくださったようです。
第6譜の「青空の下、柳並木に白壁の土蔵。対局者を載せた漆黒の人力車が映える。」は、自分で撮った↓の2枚目の雰囲気を伝えたくて書きました。最小限の文字で表現できてご満悦です。

これを書いているのが2020年4月10日。名人戦開幕が延期になってAbema TVでは過去の対局が再放送されていて、こないだ見ようとしたらいきなり自分が座っている対局室が映っていて、不思議な感覚でした。

以下は今期の対局で日が浅いため、リンクの紹介のみです。

第78期将棋名人戦A級順位戦2回戦 ▲久保利明九段-△広瀬章人竜王(2019.7.26)

掲載日2019.8.21~26 1 2 3 4 5 6

第78期将棋名人戦A級順位戦7回戦 ▲稲葉陽八段-△渡辺明三冠(2020.1.4)

掲載日2020.2.1~6 1 2 3 4 5 6

第78期将棋名人戦A級順位戦8回戦 ▲久保利明九段-△三浦弘行九段(2020.1.29)

掲載日20203.18~24 1 2 3 4 5 6 7

以上です!

ご感想があればコメントお送りください! (批判も歓迎です!)

観戦記者は対局風景に映り込む(写り込む)ことが多く、「見ました」とか「見てます」とお声がけいただくことはあるのですが、実際に新聞に掲載される観戦記の感想はほとんど聞いたことがありません。
以前、女流王位戦の観戦記で旭川に伺ったとき、運営を手伝っておられた旭川支部の方に王位戦・女流王位戦で私が過去に書いたほとんど全ての観戦記の感想を何も見ずにすらすらと語っていただき(というか、私が行くのを当日まで知らなかったらしい!)、感激しました。
お客様である読者にそこまでは要求できませんが、対局中は「取材」=「素材」を「取り入れる」作業をしているだけなので、ぜひ取材の成果物である「観戦記」を読んでいただければうれしく思います。

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