エンジニアが法人化するメリットとデメリット
Switch広報担当です。
エンジニアとして会社勤めでスキルを磨きながら、フリーランスとしての独立を考えている方も多いでしょう。
さらにフリーランスとして活動を始めた後、次のステップとして「法人化」を検討する人も少なくありません。
法人化にはさまざまなメリットがありますが、同時に注意すべきデメリットも存在します。本記事では、フリーランスエンジニアが法人化する際のメリットとデメリットを詳しく解説します。
法人化のメリット
1.税務上のメリット
法人化の大きな利点の一つは、税務面での優遇です。
個人事業主でも経費計上は可能ですが、法人にすることで、経費計上の幅が広がり、節税効果を高めることができます。
パソコンやソフトウェア、オフィスの賃料、業務に関連する書籍や交通費など、多岐にわたる費用を経費として計上でき、課税所得を減らせるためです。
また、個人事業主は累進課税である所得税が適用されるため、収入が多くなるほど税率が高くなりますが、法人税は一律の税率で課税されます。さらに、役員報酬を設定することで所得を分散させ、効率的な節税が可能になります。
2.社会保険と年金の選択肢が広がる
法人化すると、役員報酬が「給与所得」として扱われるため、給与所得控除が適用されます。これにより、所得に対する税金負担を軽減できます。個人事業主の場合は国民健康保険と国民年金に加入することになりますが、法人化により社会保険への加入義務が発生します。
一見、負担が増えるように感じるかもしれませんが、一定の所得を超える場合、法人化し役員報酬を調整することで、トータルの社会保険料を抑えられるケースもあります。特に高所得者にとっては、法人化によるメリットが大きいでしょう。
3.社会的な信用と仕事の幅
法人化することで、取引先やクライアントからの信用力が向上します。
法人格を持つことで、特に大企業との取引や長期契約の交渉がスムーズになることが多いです。クライアントが法人に対して抱く安心感や信頼感は、個人事業主に対するそれよりも高いとされています。
また、銀行からの融資やビジネス用クレジットカードの取得も法人の方が容易です。ビジネスの拡大や新たな投資を考える際には、法人化は強力なサポートとなるかと思います。
4.リスクの分散と資産保護
法人化すると、有限責任の原則により、会社の負債や損失が発生した場合でも、個人の資産が守られる点が大きなメリットです。個人事業主の場合、事業上のリスクがすべて個人の財産に直結しますが、法人化することで、個人と法人の財産が分離され、リスクを分散することができます。
5.事業の成長とスケーラビリティ
法人化することで、事業の拡大や成長に対応しやすくなります。例えば、社員を雇用したり、複数の事業を展開したりする際、法人としての枠組みを持っている方が管理がしやすく、ビジネスのスケーラビリティを高められます。共同事業やパートナーシップも、法人であれば柔軟に対応できるため、将来的にビジネスを大きくしたいと考えている場合には、法人化が有利に働くかと思います。
法人化のデメリット
1.設立コストと運営コストがかかる
法人を設立するには、設立費用(登録免許税や定款の認証費用など)がかかります。また、法人を維持するためのランニングコストも必要です。例えば、税理士や会計士に依頼する会計や税務処理の費用、社会保険料の負担、決算書の作成費用などです。これらのコストは、個人事業主としての運営費よりも高額になる可能性があります。
2.事務作業の増加
法人化すると、事務作業が増えるというデメリットもあります。法人には決算報告書の作成、法人税の申告、定期的な会議や記録の作成義務など、個人事業主にはない多くの手続きや報告義務が課されます。これらの業務を自分でこなすのは時間がかかり、本業に集中できないリスクがあります。そのため、多くの法人が税理士や会計士に業務を依頼しますが、それも追加コストとなります。
3.社会保険の強制加入
法人化すると、社会保険への加入が義務となり、その分の保険料負担が増えます。個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金への加入義務がありますが、法人化すると、従業員だけでなく経営者自身も社会保険に加入しなければならなくなります。場合によっては、社会保険料の負担が大きくなることもあります。
4.損失が発生しても一定の税負担が発生する
個人事業主の場合、赤字であれば所得税がかからない一方、法人の場合は赤字でも一定の税負担(住民税や法人事業税の均等割など)が発生します。したがって、安定した収入が見込めない場合、法人化は必ずしも有利とは言えません。
まとめ
会社勤めのエンジニアがフリーランスとして独立し、さらに法人化を検討する際には、上記のようなメリットとデメリットの両方を理解することが重要です。法人化は、節税効果や信用力の向上、リスク分散といった多くのメリットをもたらしますが、設立や維持にかかるコストや、増える事務作業、社会保険料の負担増加といったデメリットも考慮しなければなりません。
フリーランスとしての収入が安定し、将来的にビジネスを拡大する意欲がある場合、法人化は非常に有効な手段となり得ます。しかし、安易に法人化を選択するのではなく、自分のビジネスの規模、成長戦略、リスク許容度を慎重に考えた上で判断することが大切です。
ぜひ参考にしてみてくださいね。