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スイスラボの「スイスの社会保障制度セミナー」レポ3~質疑応答まとめ

みなさん、こんにちは!
Swiss Lab. Go for it ↗︎
通称【スイスラボ】です!

2022年3月6日に開催されたスイスラボ主催「スイスの社会保障制度セミナー」。
チューリッヒで税理士としてご活躍のモック・華先生と、
主にスイスの年金制度について学びました。

レポート1はこちらからどうぞ

レポート2はこちらからどうぞ

その様子をお伝えするレポートも、今回が最終回。
モック先生に年金制度のきほんをレクチャーしていただいた後、
みなさまから出た質問とモック先生の答えのまとめを
レポートします。

個人年金のもらい方

Yさん:個人年金の積立を始めるのは「早ければ早いほど良い」ことを説明するシミュレーションで、92000フラン(レポート1「個人年金」の節参照)とありましたが、年間受給額が92000フランということですか?

先生:いえ、年間ではなくて、受給総額が92000フランということです。
月々貰いたい場合は、92000フランを分割してもらうことになります。契約するときに、受給形態は月々にしたいと伝える必要があります。

Yさん:フリーランスの AHV について質問です。昨年2300フランの収入(年収)があったけれど、フリーランスの登録をしそびれました・・・。今からでもできますか?

先生今からでも、いつでも登録できます!(地元の年金局をこちらでチェック!)金額によりますが、年収2000~3000フランで継続した収入が見込めない場合は、入らなくても良いかも。でも年間の収入が10000フラン以上なら、個人事業主の登録をしてAHVを払わないといけませんね。

Yさん:入らないと罰則とかありますか?

先生:AHVについては、収入が少ないので大目に見てもらえます。でも、課税所得として申請しないと脱税になりますので注意してくださいね。

お勤めと自営業を掛け持ちしている場合、年金の掛金はどうするの?

Mさん:お勤めの傍ら○▲教室も主宰しています。
お勤めを通して AHV は払込済みです。それでも○▲教室の分も AHV を払わないといけないですか?

先生:収入が年間2300フランを越えるなら、○▲教室の分も、個人事業者の申請をして払い込むことが必要です。

Mさん:3aについてなんですが、65才の前から受給可能ですよね。入るときに繰り上げで受給するなど決めないといけないですか?

先生:大丈夫。引き出すときに決めることができます。
ところで、3aは、3つの口座に分けるのがお勧めです。つまり、3aの口座を三つの銀行にそれぞれ開く、ということですね。そうすると、時期をずらして解約したり、受け取り方の指定を変えたりなどできます。
保険会社で3aを積み立てる場合、毎月年金の形でもできます
スイスには「死神と税金からは逃れられない」という諺がありますけど、
受給する年金にも課税されます。
こうして一度に受けとる年金の額を少なくすることで、節税することができます。

国民年金についてもっと詳しく!

Yさん:国民年金は、受給するための最低払込額とかありますか?

先生:ないです。受給条件を満たしていれば、もらえます。

例えばスイスで1~2年働いて、今はドイツで暮らして年金を受給している方を知っていますが、だいたい月100フランほどスイスの国民年金を受け取っています。

Yさん:3a、3bも受給条件はないですか?

先生:ないです。例えば、スイス国外に転出するするときなど、全額引き出せます。

日本の年金とスイスの年金、両方もらえるの?

Rさん日本とスイスの年金のつながりについて質問です。日本で5年くらい働いて年金をかけ、その後スイスに移住しました。日本だとたった5年しか年金をかけていないと、いわゆる「払い損」ですよね。
ただ、最近法律が変わって、日本で年金に10年間加入してたら、受給できることになった、と聞きました。スイスと日本の間で社会保険条約が結ばれ、「日本での年金加入期間+スイスでの年金加入期間 >10年」になれば、日本でも年金がもらえることになった、ということでしょうか?

先生:部分的には日本の年金も受給できると思います。
ただし、もし受給時に日本に住んでいなかったらどうなんでしょう?ちょっと不確定です。でもスイスの分は確実に貰えます。金額もスイスの方が高いです。
もし日本に完全帰国してしまえば、日本の年金をもらえて、スイスの年金も送ってもらえます。

Rさん:もし日本に完全帰国の場合、スイスからの年金受給額にかかる税金はどうなりますか?

先生:源泉徴収されたあとの金額が振り込まれます。

Mさん:あの~、送金されてくる年金にも税金が源泉徴収される、とのことですけど、税金は何%くらいかかるのでしょうか?

先生:金額にもよりますが、2022年現在は20%ですね。

Mさん:スイス国籍をもっていないと国民年金をEU圏外で受けられないと思っていたんですけど、違うんですね・・・?

先生:ええ、もうそんなことないんですよ。スイス国籍が無くても、EU圏外の人でも受けとれるんです。以前よくあったケースは、イタリア移民ですよね。スイスで働いて、老後はイタリアに帰国してスイスの年金を受給しながら暮らすというパターン。
昔日本とスイスの間で社会保険条約が無かったときは、例えば日本ではもらえませんでした。でも、今は社会保険条約のお陰で、日本でも受給できるようになりました。

離別に備えてしておいたほうが良いことって、ある?

Mさん夫が生きているうちにしておいたほうが良い手続きなどありますか?
たとえば、家族カードなどでアクセスできるようにしておかないと夫の銀行口座が、凍結されてしまって何もできなくなる、といったトラブルを聞いたのですが…

先生:年金に関しては、心配はいりません。結婚していれば、死亡報告すると社会保険会社から年金が支給されます。
ただし銀行口座については凍結されますので、
夫の口座を各種固定費の引き落とし口座にしていた場合、
困りますよね。
できれば二人の名義の口座を持っていたほうが良いでしょう。

Mさん:それ以外に二人名義にしておいたほうが良いものはありますか?

先生:特別な契約書(婚前契約書など)がなければ、結婚中に得た財産は折半になるので、心配しなくて良いです。お子さんがいる場合も、心配しなくて大丈夫ですよ。ただ、パートナーシップで同居しているのであれば、調整したほうが良いこともあります

年金暮らしになったら、税金が低い州に引っ越した方が良い??

Kさん:すべての年金についてなんですけど、スイスでは州によって税率が違うので、年金受給時に税率が低い州に転居したほうが良いでしょうか?

先生年金くらいだったら、税率の違いがそんなに大きく影響しないと思います。引っ越すほどではないのでは・・・?場合によっては、近場であれば引っ越しても良いかもしれませんが。

Kさん:受給時、部分的に受け取ることも、一括も可能ですか?いつ指定する必要がありますか?

先生:(月々支給のプランで保険会社で積み立てている場合を除くと)3aは一括じゃないといけないです。
逆に国民年金は一括受給はできません
ところで、企業年金は一括受給も可、分割受給も可です。例えば、50%は一括、残り50%は月々支給などできます。

Kさん:3aの場合(例えば3つの3a口座を作っている場合)は、いくつかの段階に分けて(3つの段階に分けて)受け取れて、そうすることによって所得税を節税できる、という理解で良いですか?

先生:そうです。

個人年金、今更始めてももう遅い?

Sさん:個人年金について、今まで何も知らず無対策です。何歳からだともう始めても無益、など開始年齢の目安はありますか?

先生基本的に何才からでも始めた方が良いです。ただ目安として、退職まで10年以上あれば有益、と言えます。定年退職の年も年々上がっていますので、特に個人事業主で定年がないのであれば、何才からでも始めた方が良いと思います。
ところで、年金計画に不安があるのでしたら、個人年金計画のエキスパートに相談するのがお勧めです。私は Kien Thai (Jason) さん(レポ2に情報を載せてます)にお願いしています。

一同:モック先生、ありがとうございました!

結び

3回に渡って「スイスの社会保障制度セミナー」の模様をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

思ったより、日本と似ていてわかりやすかった?
それともあまりのフクザツさにちょっとゲンナリ?

でも、モック先生もセミナー中に再三強調されていたように、
年金計画は早めに立てるのが吉!
思い立ったら吉日!
このセミナーやブログ記事をきっかけに、
一人でも多くの皆様が年金計画に
ヤル気を出していただけたら
スイスラボ一同、本望です。

それでは、また次のイベントでお会いしましょう!

スイスラボ

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