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言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。

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Thun 湖と牛が大好きな、スイスラボ所属の言語学者による、言語学小咄。 日々の雑感を、言語学に(むりやり)絡めながら綴る予定です。
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#言葉

蜜のはなし

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 私はひょんなことからリトアニア語の歴史に興味を持って、大学院の修士課程からリトアニア語の勉強を始めました。今回は、リトアニア語と日本語が古くから共有していた「みつ」という言葉について、思い出話とともに綴ろうと思います。 学部3回生のときに言語学研究室への配属を選び、印欧語比較歴史言語学というのに出会いました。地理的にある程度つながりのある地域で、体系的な類似性が相互に観察できる言語たちがあります。ヨーロッパで古

お茶のはなし

こんにちは。 Yamayoyamです。 今回は、大好きなお茶のはなしをしたいと思います。 Yamayoyam は小さい頃からお茶が好きで、たいていの日本人が親しむお茶を普通に飲んできました。緑茶、焙じ茶、麦茶などなど。でも今日するのは、もうちょっと特別なお茶との出会いのはなしです。 大学進学を機に京都に引越し、実家のフトコロ事情により、安かろう・ボロかろうな寮に入寮しました。どのくらいボロいかというと、約20年前当時で木造築35年、随時アップデートされる建築基準法や水道法

ストックホルムの思い出話の続き~ Ideophone のこと

こんにちは。 Yamayoyamです。 小咄を披露するブログのはずなんですが、ここのところ思い出話が続いております。今回もちょっと思い出話&たまに思うこと、です。 思えば2012年にスウェーデンに渡ってから10年近く、主に英語を話す日常を送っています。 スウェーデンに渡ったのに、スウェーデン語じゃなくて「英語」とは、どういうことか?と思うでしょう。ええ、私もそう思いますし、スウェーデンでお世話になった方達もそう思っていることでしょう。 ストックホルム大学のバルト語学科

スウェーデンにて、「Saft」を普通のジュースの事だと思って、少し辛いめに遭った話

みなさんこんにちは。 Yamayoyamです。 今回はスウェーデンの思い出話をしようと思います。 2012年の8月に一念発起してスウェーデンに渡り、ストックホルム大学バルト語学科で博士課程を始めました。 学校ではみなさんあたたかく迎えてくれたし、諸々準備万端にしてくれていたのであまり困ったことはありませんでした。今でも感謝。学校で困ったことと言えば、病的な方向音痴なので、広い学校の中で迷子になりがちで恥ずかしかったこと、くらいです。 すごく困ったのは移民局と税務局で

休暇にかじるスイスドイツ語方言学

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 2021年の夏休み、明けてからもうだいぶ過ぎてしまいましたが、みなさまはどんな夏休みを過ごされましたか?時節柄、旅行が難しかった方もいらっしゃるかと思います。ベルン在住の私たち家族(夫+私)は、スイスの人口密度の低さに運を任せて、8月初旬にお隣ヴァリス州へ、プチ旅行に行きました。 行き先は、Binntal という、ベルン州のお隣ヴァリス州にある、谷深い村落。そこに、Hotel Ofenhorn Binn という