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言語学者だからって外国語が得意なわけじゃない。

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Thun 湖と牛が大好きな、スイスラボ所属の言語学者による、言語学小咄。 日々の雑感を、言語学に(むりやり)絡めながら綴る予定です。
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#スイス

スウェーデンで作る、スイス+スウェーデンな秋の献立

こんにちは。 Yamayoyamです。 今回は語学や言語学関連のトピックはお休みして、秋の味覚について書こうと思います。 去年もこの時期、食べ物について書いた記憶があります。 そうだ、栗のピザだった! 今年は、スイスで出会ったドイツのJägersauce [イェーゲルソーセ](+スウェーデンの水餃子的 kroppkakor [クロップカーコル])について書きたいと思います。 始めに告白しておきますと、ズボラですのでイチから作ったのはJägersauce だけです。 Kr

水の咄

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 久しぶりにストックホルムに帰ってきて、外食事情がスイスとちょいちょい違うことを思い出しつつあります。 何よりお値段がスイスに比べたら、まとも。 そして、スウェーデンでは基本的にキャッシュレス。現金払いしたいというと、むしろ店員さんがビックリするかも。 そして、お冷事情が違います。 今回は、スウェーデンで思い出した、スイスのレストランでの水事情のうち、ちょっとみみっちいお咄をしたいと思います。 まず衝撃の事実から。 スイス

Gratis と grattis の咄

みなさん、こんにちは。 Yamayoyamです。 クリスマスがあっけなく過ぎてしまって、もうすぐお正月です。時間が経つのが年々早くなってる気がして、今後が不安でしかたないです。 以前の記事で、ドイツ語とスウェーデン語には、綴りが同じで発音も似ているのに意味が違う言葉があってややこしい、という小咄をしました。Gift やsaft が槍玉に上がってましたね。今回の小咄では gratis と grattis の咄をしようと思います。 スイスの住宅街を歩いているとよく見かける光景

スイスで栗のピザを作ってみたよ。

こんにちは。スイスラボの言語学者、Yamayoyam です。 このマガジンでは言語学ネタを綴ると概要にも書いてあるのですが、今回は言語関係はちょっとお休み。代わりに、最近試した秋レシピについて書きたいと思います。 秋になって、スーパーにも剥き栗(日本の天津甘栗のようなの、但し甘くない)が並ぶようになりました。ふと、剥き栗をピザにして食べたいと思いついてやってみたら、自分で言うのもナンだけど意外とうまくいったのでした。写真写りは微妙ですけど、味はけっこうイケてました! 嬉

Ghost words – 幽霊のように漂う実在しない言葉たち

こんにちは。スイスラボの言語学者、Yamayoyam です。 食欲の秋がやってきました!美味しいものを食べるのに欠かせないのは美味しい飲み物。みなさん、ビールはお好きですか?苦味があるので、好き嫌いが分かれるかもしれません。私も若いころはビールがあまり好きではありませんでした。ところが、10年ほど前にスウェーデンに移住して、すごく苦いけどホップの香りが爽やかなビールをいくつか飲んで、すっかりビールの虜になりました。IPAと呼ばれる系譜のビールだったようです。当時スウェーデン

休暇にかじるスイスドイツ語方言学

こんにちは。スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 2021年の夏休み、明けてからもうだいぶ過ぎてしまいましたが、みなさまはどんな夏休みを過ごされましたか?時節柄、旅行が難しかった方もいらっしゃるかと思います。ベルン在住の私たち家族(夫+私)は、スイスの人口密度の低さに運を任せて、8月初旬にお隣ヴァリス州へ、プチ旅行に行きました。 行き先は、Binntal という、ベルン州のお隣ヴァリス州にある、谷深い村落。そこに、Hotel Ofenhorn Binn という

大好きな湖の語源を調べてみたら・・・

こんにちは。 スイスラボの言語学者 Yamayoyam です。 運営メンバー紹介の記事にざっくりとした自己紹介はありますが、 話し足りないなと思い、この記事では続きを書きたいと思います。 わたしがスイスでThun湖に出逢うまで日本にいたときから言語学が好きで、 歴史言語学というのを勉強していました。 特にリトアニア語に興味を惹かれ、 リトアニア語をはじめとするバルト諸語や、 さらにバルト諸語が属する印欧語の歴史言語学を専攻しました。 偶然学会で知り合ったストックホルム大