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R.I.P. 2022

 年が明けましたね、2023年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 てことで、当然ですが、2022年も沢山の有名人芸能人があちらに召されていきました。多くのミュージシャンも召されていきました。生まれてくる子もいれば、召されていく人もいる、これは言ってしまえば当然なのですが、これからは更に更に増えていく印象になるでしょう。なぜなら「元コーラスグループ**の」「元バンド**の」「元アイドルグループ**の」という括りの人がこれからどんどん召されていく訳ですから。数十年後を想像してみてください。「元***48の」なんて括りになるだけで毎日誰かが召されていくことが想像されますよね。

 でもそれはいいことだとも思ってます。これまでの資本主義社会は「安全」「安心」などを商売道具にして、本来すぐそこにある「死」を遠ざけてきてましたからね。資本主義社会が遠ざけてきた「死」が、資本社会主義の果てに「死」を身近なところに呼び戻してる訳です。これは前向きに捉えましょう。年齢や健康状態に関わらず、誰にでもすぐそこに「死」はある。それを認識できて初めて「生」へのビジョン、欲求が明確になってくるんですから。

 あ、前置きが長くなっちゃいましたが、そんな訳で多くの大好きな人が召された2022年、逐一追悼記事を書いていたら申し訳ないですがキリがない。なので、2022年に召された中で、個人的に思い入れのある人を、レコードジャケットと共に紹介していこうと思います。

Ramsey Lewis : pianist 9.12.2022/享年87歳

"Mayden Voyage" Ramsey Lewis 1968

大好きなピアニスト #RamseyLewis 、大好きな証拠に2011年の45名義のアルバムで"I Remember Ramsey"と言う曲を発表したりしてます。俺のライブでも人気曲。

彼の何が好きかって、そのメロディアスなピアノのスタイル、そしてエゴが控えめだと言うこと。彼は決して日本のジャズディスクガイドには出てきません。月日が経って、クラブ的な視点から60-70年代の作品を中心に再評価された人という印象。個人的には1965年の大ヒット作"The In Cloud"がファーストコンタクト。大学の先輩に「そんなの聞いてんのか?」と笑われた覚えがあります。理由は「そんなのジャズじゃない、イージーリスニングだよ」。

彼のLPは20枚ほど持ってますが、それでもキャリアの1/3ですかね。彼は「エゴが控えめ」と言いましたが、その証拠に、いろんなプロデューサー・アレンジャーに乗っかり上手なんです。特にこの写真の"Mayden Voyage"の頃の、 #CharlesStepney と組んだ作品群は素晴らしい。プログレッシブソウルジャズとでもいいでしょうか、B-1"Les Fleur"などはCharles Stepney自身もお気に入りだったのか、 #MinnieRiperton のソロデビュー作でも再度取り上げてます。宇宙的とでも言うべき世界観の中、「お仕事」感なこなすピアノではなく、楽しそうにコロコロ転がるピアノを弾くRamsey Lewis。キャリアが一段落してくると今度は弟子がフックアップしてくれて再びヒット!みたいなキャリアの積み重ねが素敵でした。いい人だったんでしょうね。同じく2022年に94歳で召された黒人役者の #シドニーポワチエ とも同じ空気感を感じます。


Thom Bell : songwriter/producer 12.22.2022/享年79歳

"La La Means I Love You" The Delfonics 1968

こらまた大好きなソングライター・アレンジャー・プロデューサーの #ThomBell も召されちゃいましたね。彼の作品は大ヒット連発全盛期もその後も大好きだったのでどれを選ぶか迷いましたが、なんなら変化球で #EltonJohn と組んだ曲を紹介しようか迷いましたが、やはりこれでしょう。今でも歌い継ぐ人サンプリングする人が後を絶たない名曲です。


Patrick Adams : songwriter/producer /6.22.2022/享年72

"Atmosphere Strut" Cloud One (1976)

 ディスコプロデューサーとして有名な #PatrickAdams 彼は雑誌 #waxpoetics の特集などを読んで認識しましたね。同じディスコでも彼の手にかかったものはエバーグリーンな面白さがあることに驚いた覚えがあります。初期の #BlackIvory の仕事も素晴らしいですしね。

彼の魅力はメロディセンス、そして何より楽器のフレージングのセンスが素晴らしいことがこのソロプロジェクト作でよくわかります。タイトル曲含めて、このアルバムに何度も出てくるビートは俺も大好きになって、 #45trio 名義の作品でも使用させてもらいました。壮大なメロディセンスがThom Bellならば、Patrick Adamsはフレージングのセンスが秀逸でした。


Lamont Dozier songwriter/singer /8.8.2022/享年81歳

"Peddin' Music On The Side" Lamont Dozier (1977)

 #LamontDozier はHolland-Dozier-HollandとしてのMotown期の名曲の数々を紹介し始めるとキリがないので、Motownを独立してソロになってからのこのアルバムを紹介しておきます。このアルバムのB-1に収録の"Going Back To My Roots"、この曲が大好きでしてね。この曲を知ったのは #Jazzanova のDJ Alexや #沖野修也 さんがかけていたりしたことがきっかけです。この、ニューオーリンズスタイルの影響を受けたピアノで始まるアフリカンな感じ、そして歌詞、そしてこの歪んだシャウトにやられます。


Vernon Burch : guitar/singer 9.22.2022/享年67歳

"When I Get Back Home" Vernon Burch 1977

 #VernonBurch はディスコヒット"Get Up"がDee-Lite"Groove In The Heart"元ネタの一つと言うことで知られてたりしますが、個人的にはこのアルバムに収録のA-2"Mr.Sin"なんです。限りなく #StevieWonder なこの曲、よくよく聴くと、"Overjoyed"を先取りしていたようにも聞こえてきますよね。ただ、彼は歌が少し弱かったので惜しいですねぇ。

彼は14歳くらいでギタリストとして仕事を始めて、雑誌waxpoeticsの記事で見ましたが、 #IsaacHayes "Shaft"のあのワウギターは彼だという話もありました。職人として早咲きだったからでしょうね、まだ60代だったのは驚きました。


Janis Gaye (Marvin Gayeの2番目の妻) 12.10.2022/享年66歳

"Live" Marvin Gaye (1974)

最初の妻は17歳年上の #AnnaGordy 、2番目が17歳年下のこの #JanisHunter 、つくづく面白い「男」です、 #MarvinGaye 、このライブ盤で「新曲」として紹介された"Jan"はもちろんこのJanisのこと。それまで絶叫だった女性観客は、この曲になるとシーンとしちゃう。その様子がこのレコードに収められています。YouTubeを調べてみるとこの頃の映像も残ってましたね。これは歓声なのかブーイングなのか??

ちなみに90年代にデビューした #NonaGaye はMarvinとJanisの娘です。


Gal Costa : singer 9.9.2022/享年77歳

"Baby" Gal Costa (1980)

ブラジルの歌姫 #GalCosta はブラジル音楽を掘り始めてすぐに出会いました。そして"India"1973と言うアルバムのジャケに衝撃を受けてジャケ買いしちゃいました。作品的には初期のはサイケデリックだったりロックだったりして面白くはあるんですが、声もキャリアも脂が乗ってきてる1980年前後はどれも素晴らしいです。強く歌うものもソフトに歌うものも、実に心地よい倍音を持っているシンガーですね。

が、とりあえずこの日本独自のベスト盤にも入ってる、その衝撃(笑)だったジャケのアルバムに収録のこの曲をどうぞ


Christine McVie singer / 11.30.2022/ 享年79歳

"Rumours"Fleetwood Mac (1977)

#ChristineMcVie はもちろん #FleetwoodMac で知りました。個人的には1987年の"Tango In The Night"からですね。強烈なボーカルの #StevieNicks#LindsayBuckingham と比べるとすごくソフトで暖かいボーカルで、かつ彼女の曲がどれも素晴らしくて気に入っちゃいました。"Little Lies""Everywhere"などが実際当時ヒットしてましたしね。

キャリアを総合するならば、、、やはりこの大ヒットアルバム"Rumours"収録の"Don't Stop"ですかね。彼女のソフトだけでも強く生きてきた感じは改めて素敵だなと思います。なにせ最初のキャリアが #ChickenShack と言うブルースバンドで #EttaJames のカバーですからねぇ。


Pharoah Sanders : saxophone / 9.22.2022 / 享年81歳

"Izipho Zam(My Gifts) " Pharoah Sanders 1969

 2000年代俺自身クラブジャズにハマってて、そういうバンドも結成したりしてたので当然 #PharoahSanders に辿り着きましたね。これはもちろんアシッドジャズ期の大ヒットバンド #Galliano がカバーしていて知りました。しかもUKチャートに昇るほどの大ヒットを記録してましたからね。

そして気づけばクラブジャズを代表する日本のユニット #KyotoJazzMassive のライブセットでピアニストとして呼んでいただくようになったり、そうこうしてるうちに、茨城で息子の Tomoki Sandersと出会ってジャムセッションすることもあり、、、いろんな現場で Pharoahの"You've Got To Have Freedom""Love Is Everywhere""The Creator Has A Master Plan"をジャムらせていただいてきました。改めて聴き直したく思います。


小坂忠 : シンガーソングライター /4.29.2022/享年73歳

"HORO"小坂忠 1975

 #小坂忠 さん、、、まあまあ近いところに俺もいたんですけどねぇ、マネジャーさんとも知り合いだったり、、、そうこうしてるうちに接触機会を得ないまま、召されてしまいました。

レコードは色々持ってますが、まぁ何はともあれこちらですね。最近再再発でも発売されてたので、カラーヴァイナルでも買っちゃいました。どの曲も大好きですが、個人的にはやはりA-2"機関車"ですね。


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ヒューーっ、駆け足でまとめるだけでも数時間かかっちゃいました。他にもラッパーの #Coolio だったり、ソウル系でも #SylJohnson#BettyDavis 、フラッシュダンスな #IreneCara 、美しき歌姫 #OliviaNewtonJohn 、"In The Night Time"などが大好きなMilesバンド出身ベーシスト #MichaelHenderson 、「炎のランナー」 #Vangelis 、日本のレジェンドベーシストで俺の周囲のミュージシャンとも交流のあった #鈴木勲 さん、俺の身近でもドラマーの #KantaTakimoto 、、、キリがないですねぇ、、、あ、映画監督まで話を広げると #ジャン =リュック・ゴダール も召されましたしねぇ、、、

この調子で今年もたくさん召されていくんだろうな、、、いや俺の周囲でも、いや俺自身もいつ何があるか分かったもんじゃない。そう思うと、より日々学び、やりたいことは挑戦していき、楽しめるように頑張りたいものですね。

2023年も精一杯音楽をしていこうと思います。

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