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Herbie Mannが再評価される時は来るんだろうか? #2

 そもそも時代と共にスタイルを変えていくと言うのは、決して悪いことではないと俺は思う。例えば #HerbieHancock だって #DonaldByrd だって時代と共にどんどんスタイルを模索し、変遷していったプレーヤーだし、アレンジャー/プロデューサー寄りだと #QuincyJones#EumirDeodato だってじ60年代70年代80年代それぞれでスタイルを変えているし、各自ディスコにも手を出している。

 考えてみるに、上記の4人はアレンジャー資質が強くもあるから、ジャンルやスタイルこそ変わっても、まとめ方にちゃんと一筋通ってると言う言い方が出来るかもしれない。例えば #HerbieHancock がブラジル人アーティスト #MiltonNascimento とコラボしてるこの曲なんて、ジャンルどうこうではなくもうハンコックでしかない素敵な音選びとグルーヴだ。 #MilesDavis のバンドメンバーの時とファンキーな時代とちゃんと一筋繋がっていると言っていいだろう。

 あ、そう言う意味では #MilesDavis こそ変遷のミュージシャン〜アーティストの代表と言えるだろう。が、マイルスの場合はなんというか、彼の脳内フィルターを通したものしか作品として発表されていない感じがある、そこが素敵であり時に難解であり、結果として支持者が後を絶たないし研究対象にもなり続けている所以だろう。だって1972年当時、若い子たちが盛り上がってるのはファンクだと知ってから彼が作ったのがこれだよ。

 いくら #SlyAndTheFamilyStone#JimiHendrix が流行ってたからって、それを参考にしたと本人が言ったからって、これは同じジャンル、同じスタイルと果たして言っていいものかどうか?でもここにはファンクから得たエッセンスや出汁に溢れているのは確かで、マイルスの脳みそフィルターをちゃんと通過した音がある、要は哲学がここにはあるのだ。

 そんな、評価をすでにされている人と比べた時にやはり #HerbieMann は弱い。白人だったからと言うのも少なからず関係しているのかもしれない。演奏旅行をしながら、各地で受けた刺激をそのまま曲にしたり、セッションに取り入れて作品にしたりというキャリアの羅列。船旅をしながらミュージカルの曲をどんどん書いていた #ColePorter などと同じ匂いがしなくもない。富裕層アングロサクソン系で才能もある人というのは、なんというかハングリーさにかけるとでもいうか、言い方を変えると貧民国からの搾取ビジネススタイルの匂いがするんだよね。(以前映画 #アメリカンユートピア 評でそのようなことを記しました、よかったら)

 とケチョンケチョンに言っちゃってますが、視点を変えましょう。

 何はともあれ #HerbieMann は素晴らしき世界中のミュージシャンとコラボをして来ているし、なんなら60年代のラテン〜ブラジルものは今聴いても悪くないものが数多ある。例えば廉価盤コーナーでよく見かけるこのアルバムも、よくみると #EduLobo の"Upa Neguinho"のカバーをしていて、意外と良い。これはDJでもかけれるじゃないか。この曲は同業flute奏者の #HubertLaws と絡んだりもしている。

 70年代のディスコものは個人的には好きじゃないが、ある種のDJは好きかもしれないしね。あ、例えばディスコ寄りだと、1977年のこの作品は好き。 #PhillySoul#Salsoul あたりを意識したようなサウンドでまとめられたこのアルバムは個人的にはギリ好きな部類だ。間に入る女性コーラスもいい感じだし、なんならfluteも真面目に素敵に吹いている(笑)。

そう、ある種のファンク・ディスコものだと、あんなに上手いはずの人がなんだか適当に吹いちゃってて残念な曲もあったりするんだよね、、、そこら辺かなぁ、場当たり主義で筋の通ってなさを感じちゃうのは。

 なにせ何度も言うように多作なので掘り出し物はどなたでもすぐ見つけられるだろう。最近聞き直して個人的に「え、これええやん!」と思ってDJでもちょいちょいかけてるのはこちら。 #RobertaFlack & #DonnyHathaway で有名な"The Closer I Get To You"のカバーね。これは好き。クレジットでは彼はWhistleとあるが、口笛のことかな?後ろのシンセサイザーのあんばいといい、いい感じです。

 こうしたラウンジーな感じのものからラテン・ボッサ調なものなら、いくらでも発掘・再発見ができる可能性を秘めている。しかも安いからね。てことは他のDJと被ることがあまりないだろうと言えるかもしれない。そう、若き貧乏DJにはHerbie Mannは狙い目ってことが言えるのかもしれない。Hip Hopでサンプリングされてきたレコードはすなわち #ゴミレコ とも言われるような、捨て値で売られている中からお宝を発見して再評価に繋げてきたものがほとんどなわけだからね。今こそチャンスかもよ?(笑)

 俺もそんなマインドで色々と掘っていたら「なんだこれ!」ってのを見つけた。いやこれは超問題作と言っていいんじゃないかな?

長くなったので #3 に続きますw


Herbie Mann "Sunbelt" 1978


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