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正面至上主義からの脱却

▌バカの一つ覚え…「正面に入れ!」

 アメリカで日本人内野手が成功しない理由の一つはそこにあるのではないかと常々考えています。もちろん、内野が天然芝ではなく土の球場が多いこともあるのでしょうが、日本アマ野球の正面至上主義にはいい加減辟易とします。ちょっとでも右への打球を逆シングルで捕ろうものなら、バカの一つ覚えの如く「正面に入れ!楽をするな!」とドヤされます。たとえアウトにできなくても、正面で捕れば許されてしまうような空気感すらあるのは、果たしていかがなものでしょうか?

 無論、正面で股を割って捕球することは基本中の基本です。骨盤傾斜や姿勢も含めてそれができていないのであれば、まずはその反復練習が先決です。しかし、それ以外の捕り方も同じ基本であることに変わりありません。目的は一つ。ギリギリのアウトを増やすことです。ランダムに飛んでくるゴロに対して、最適な捕球方法とスローイングの選択が重要なのです。


▌ゴロ捕球の種類

 ゴロ捕球の基本は以下の6つ(右投げの内野手対象)。

 ① 正面で股を割って捕球(体の中心からやや左足寄り)
 ② 正面でシングルハンド捕球(ベアハンドキャッチも含む)
 ③ 左側の打球に対し正対したまま左足の前で捕球
 ④ さらに左側の打球に対し足をクロスさせ腕を伸ばして捕球
 ⑤ 右側の打球に対し正対したまま右足の前で逆シングル捕球
 ⑥ さらに右側の打球に対し足をクロスさせ腕を伸ばして逆シングル捕球

 ①および③~⑥は、下の動画も参照して下さい。

 まったくと言っていいほどやられていないのが⑤でしょう。⑤は罵声の対象となるため、無理やりでも①の体勢に持って行っているというのが大半だと思います。⑤は、①で体の中心より右足寄りで捕らなければならなくなった場合に使います。その方が早く送球の体勢に入れるからです。⑤の最大の利点と言えます。

 捕り方のバリエーションを増やすと共に、ゴロへの入り方のバリエーションも増やしましょう。右への打球には素早く入り、逆に左への打球には慌てて正面に入ろうとせず、上記の③を使います。送球の方向にもよりますが、左への打球にあまり早く正面に入りすぎてしまうと、捕球位置が中心線より右側にずれて送球が乱れやすくなるのです。さらに真正面のゴロは一旦右によけて、打球を斜めから見て線で捉えることがミスを減らす一手段です。


▌なるべく早く逆シングルの練習を始めよう

 無理やり正面に入るより、逆シングルの方が送球動作にスムーズに入れることも少なくないので、なるべく早い段階から逆シングル捕球の練習(特に⑤)を始めましょう。繰り返しますが、これも基本の一つです。決して楽をするための練習ではありません。

 上述のケースは以下の場合。
 ● ①で体の中心より右足寄りで捕らなければならなくなった場合で、1塁送球(2塁送球の場合はあえて右足寄りで捕る場合もある)
 ● ボテボテの前のゴロで、三塁手と遊撃手の1塁および本塁送球と、二塁手の3塁および本塁送球

 練習方法の一例は下図の通りです。まずは目安となる導線を引いておこなうと良いでしょう。

ゴロへの入り方と捕球練習

 また、逆シングル捕球後の足捌きの一例については下の動画を御覧下さい。

 逆シングル捕球の練習は、早ければ早いほど良く、「まだ子供だから」という言い訳はNGです。最初は遊び感覚でかまいません。高校生ではもう遅いくらいだと考えます。

 さらに逆シングル同様、送球のバリエーションとして、スナップスローも重要な技術です。基本はあくまでも上から強い送球をすることですが、スナップスローの方が速い場合は、肩や肘への負担を減らすためにも、練習しておくべきです。ランニングスローも、ジャンピングスローも、どれも立派な基本技術です。別に格好つけているわけではありません。

 繰り返しますが、とにもかくにもアウトにすることが目的です。そのために、引き出しの数は増やしておいた方が良いということですね。くれぐれも誤解のなきよう。

 最後に、これもアメリカの民間アカデミーでおこなわれているフィールディングドリルの一例です。こんなに小さいお子さんが取り組んでいることに驚かされると共に、だからアメリカの選手たちはフィールディングが上手なのだなと改めて痛感します。一つでも二つでも導入できることは導入してみて下さい!


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