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第76回 正倉院展

奈良国立博物館で、毎年恒例の人気展覧会である正倉院展が開催されています。10月26日から11月11日までの期間中、休みの日はなく毎日開いています。今日は昼過ぎくらいから雨の予報でしたが、大雨ではなさそうでしたので見に行きました。

正倉院展とは正倉院に収められた宝物を年に1度一般に向けて公開する展覧会で、正倉院とは奈良時代に即位されていた聖武天皇の遺愛の品を保管している蔵のようなもので、聖武天皇が亡くなった後に光明皇后が東大寺の大仏に献納したもの、東大寺の法要で使われた道具類、東大寺の造営に関わった機関の文書類などで構成されています。

実際に聖武天皇が愛用していた道具や寝具類などが出陳されることも多く、今年は肘おきとして使われていたものが出ていました。

紫地鳳形錦御軾

上の紫地鳳形錦御軾はクッションのようなものだそうで、多分、うつぶせに横になった時に両腕をもたれかけて使ったのではないかと思います。こちらのものは模造も出ていて、X線でスキャンをして構造を調査し、中味に使われている材料を揃え、また表地の錦地を制作して重量が本物と50gしか違わないものだそうです。模造を作る過程は別室で動画を見ることができました。どういった構造なのかも詳しい解説があり、なかなか面白かったです。

黄金瑠璃鈿背十二稜鏡

上の宝物は七宝を用いた鏡で、唐の時代に流行した想像上の植物宝相華を表現しているそうです。七宝を用いた鏡は、正倉院宝物の中では唯一のものだとか。

深緑瑠璃魚形

ガラスでできた魚は色違いで4種類出ていて、深緑、碧、浅緑、黄の4色ありました。これらは紐を通して腰から下げて、アクセサリーのようにしていたのではないかと言われています。こちらも模造されたものがありました。魚の型に入れて作るのではなくて、直方体の型にガラスを流して固めて、それを削って形にしていたようです。

碧瑠璃小尺・黄瑠璃小尺

今年の私のお気に入りは上の2つの小さな「ものさし」です。こちらもガラスでできていて、お魚と同じように腰に下げていたようです。目盛りがついた「ものさし」ですから、アクセサリーでもあり実用でもあり、だったのかもしれません。

緑地彩絵箱

そしてこの緑の絵箱の可愛らしさです。奈良時代の文様って、本当に可愛らしくセンスが良いと思います。緑の色も良いです。
その他、伎楽面や文書類、光明皇后の発願の写経などをたっぷり見ることができました。

正倉院展を見た後は仏像館へ移動して仏像をたくさん眺めたり、今年は特別陳列として「東大寺伝来の伎楽面」と「聖武天皇の大嘗祭木簡」が行われているので、そちらも見ました。

伽藍神立像

大好きな走り大黒さんがいて嬉しかったです。
伎楽面は、正倉院展に関連した内容で、東大寺に伝わった伎楽面の中から近年あらたに確認された伎楽面の作者春日人万呂の面が3面、大仏開眼会の面を制作したと思われる基永師の面も展示されていました。
聖武天皇の大嘗会木簡は撮影可能でしたが、文字が見えるように撮影するのは難しいですね…。

「大嘗分」と書かれた木簡

これらの木簡は奈良文化財研究所の発掘調査で出土したもので、奈文研の平城宮跡史料館で開催されている「聖武天皇が即位したとき。」という特別展とのコラボ企画だそうです。木簡には「大嘗分」「大嘗賛」などと書かれたものがあることと、「神亀元年」と年紀の書かれたものもあり、聖武天皇の大嘗祭に関わるものであることが分かったそうです。
奈文研の方の特別展は12月8日までなので、後日あらためて行ってみたいと思いました。

正倉院展は日時予約制となっていますので、見に行こうと思っている方は予約を忘れずにして下さいね。

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綾小路
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