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発見された日本の風景

大阪高島屋 7階グランドホールで開催されている「高野光正コレクション 発見された日本の風景」を見に行きました。

日本が開国した明治の時代には、西洋諸国からさまざまな文物や人々がやってきて、日本の文化も大きく変わりました。日本を訪れた外国人画家たちは、日本の地方を歩いて回り、日本の独特な文化や風景をたくさん描きました。そういった外国人画家たちから日本の画家たちも影響を受けたり教えを受けたりし、西洋の技術を取り入れた画法で日本の風景や人の暮らしを描きました。それらの絵の多くは日本を訪れた外国人たちのお土産として買われて、日本の外に流れていきました。

フライヤー

コレクターの高野光正氏は、クリスティーズで鹿子木孟郎の「上野不忍池」を落札したことをきっかけに、現地の知人から情報を入手しつつ日本人作家の作品を蒐集、さらに英国でも蒐集を続け、700点にもなるコレクションを日本へと里帰りさせたのだそうです。

このフライヤーの右下にあるアルフレッド・パーソンズの「富士山」ですが、画面の右手前に描かれている樹木が南国の樹木(ソテツ)であることが気になり、もしかしたら本当は松だったのに良く分からなくて知ってる樹を描いたのかな?と勝手に想像しました。自宅に帰ってきてから調べてみると、これについての記事を見つけました。

パーソンズ氏は植物画家でもあったそうで、日本の寺院にソテツやサボテンがあることに驚いて、それらを描いたのではないかということです。(静岡市の龍華寺には江戸時代に中国から移植したソテツとサボテンが植えてあるそうです)

ウォルター・ティンデル 《ユダの木と清水寺》
絵ハガキより

「ユダの木」って何?と思い、これもまた調べて見たら「ハナズオウ」というものらしいですね。裏切り者のユダからきている名前だそうですが、その木が清水寺に生えているのかどうかは分かりませんでした。

笠木治郎吉 《提灯屋の店先》
絵ハガキより

この笠木治郎吉という画家は、日本では殆ど知られることのなかった画家ですが、こちらのコレクションが公開になり、その技術や個性が話題になったそうです。今回、笠木治郎吉の作品は11点も展示されていて、「漁網を編む男性」などは漁網の網目をきっちりと描いた技術は素晴らしくて感心しました。
そのほか、五姓田義松や五姓田芳柳の作品も何枚か並んでいて、5月に見に行った愛知県美術館の「近代日本の視覚開化」とかなり重なる内容だったと気付きました。

全部を見終えてショップを覗きましたが図録は完売していて買えませんでした。そして、ついでに髙島屋史料館も見るかと思い、猛暑の中歩いて向かい史料館の建物にあるフードコートでざる蕎麦を食べて、さてエレベーターで上がろうと思ったら休館日でした。とても残念です。

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