THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦
美術館「えき」KYOTOで7月30日まで開催されている「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」を見に行きました。「えき」KYOTOは、JR京都駅に隣接する伊勢丹の7階にある美術館です。今日のように暑い日には、熱気にあたることなく涼しい室内を歩くだけの場所にある美術館はありがたいですね。
新版画とは、明治以降の画家による新しい木版画の取り組みで、江戸時代にあった浮世絵版画の技法を受け継ぎつつ、より芸術性を高めたものと言われています。浮世絵版画には、浮世絵師という版下絵を専門に描く人がいましたが、新版画は版元の渡邊庄三郎が水彩画などを描く画家の作品を見て「これなら版画として作品になりそうだ」と判断すれば画家に声をかけたりもしていたそうです。
また、江戸時代の浮世絵は絵をそのまま家の柱にピンでとめて飾ったり、いらなくなった浮世絵を包み紙に使ったりもしていたようですが、新版画は基本的には額装して、美術品として鑑賞するものとして制作されたものだそうです。
美術館内は撮影禁止でしたので、購入してきた絵ハガキから作品を紹介します。これは浮世絵版画には絶対になかった題材で、しかもイギリス人画家の作品です。バートレットは日本に立ち寄った時に自分の絵画を版元に持ち込み、木版画を学んで20点ほどの新版画を発表したそうです。《ホノルル波乗り》は海の色がとても印象的で、波乗りをする人物は逆光で陰になっていて、色の対比が鮮烈で素敵だと思いました。
バートレットの他にも外国人の画家の新版画はたくさん展示されていました。
浮世絵の流れを汲む美人画では伊東深水、役者絵は山村耕花や名取春仙、そして川瀬巴水や笠松紫浪の風景画。伊東深水は版下絵を一回り大きく描いてくるので、いつも印刷所で縮小して使っていたとか興味深いエピソードもキャプションに書かれていて、ゆっくり読みながら鑑賞しました。とてもボリュームのある展示でしたので頭と目が疲れました。
そして、せっかくJR京都まで来たのだし…と思い歩いて西本願寺の向かいにある龍谷ミュージアムへ。シリーズ展「仏教の思想と文化 インドから日本へ」をやっており、釈迦の生涯を描いた浮彫などをたくさん見ました。
京都駅から歩いて10分くらいでしょうか。今日はとても暑かったので、歩きながらちょっと後悔したりして…でも、龍谷ミュージアムの今回の展示もとても面白くて(特にガンダーラの仏像は好きです)見に行ってよかったです。そして今回もベゼクリク石窟大回廊復元展示を見て、圧倒されました。いつ来てもこれは面白いです。シリーズ展との繋がりもありました。
しかし、今年の夏も暑いですね…。駅から距離のある美術館へ行くには覚悟が必要かもしれません。
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