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Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅

神戸市立博物館「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅」を見に行きました。

神戸市立博物館入口右側の看板

手彩色写真とは、幕末から明治時代に撮影された白黒写真に手作業で色をつけて、訪日外国人向けに販売していたものだそうです。写真の内容は、外国人向けだけあって日本情緒のある名所や、和服の女性、武士の格好をした男性など。撮影自体も外国人向けの演出をしていたようです。

1階ホールの大きな看板

なぜ写真に彩色を施していたかというと、当時はまだカラー写真が実用化されていなかったというのが大きな理由ですが、彩色は現物の色を再現したというよりは日本土産として「映える」ような、目を引くような色をつけていたようです。同じネガを使った写真でも、印象の違った色をつけていることもあったそうです。

「GENERAL」 日下部金兵衛(絵ハガキより)

上の写真はGENERAL→将軍という意味のタイトルで、将軍などもう居なくなった明治の時代に撮影されたものですから、サムライとかショーグンとか、こうした格好が外国人のウケも良かったのだろうと想像できますね。
彩色は本当に細かくて、甲冑部分の縅や紐の一本一本に丁寧に色を施しています。袴の金地の部分なども美しく色が着けられていて、彩色をしている職人の写真の展示もあって日本画の掛け軸を背景にしていたりすることから、元々は絵師だったのかなと思いました。

「WRITING LETTER」 日下部金兵衛(絵ハガキより)

巻紙に筆で文字を書く女性です。こういうのも多分、外国人にウケるような題材だったのだろうと思います。
女性を撮影した写真はとても多くて、中には入浴を演出した写真もあって(3人の女性が風呂桶の中と横にいる)あー、こういうのは時代を問わず需要があるよねー…などと思いました。和服での入浴演出は特に、珍しさもありますしウケたのでしょうね。

「大夫」(制作者不明 フライヤーより)

こうした写真はアルバムに貼り込まれ、豪華な蒔絵表紙などの装幀にして高額な値段で販売されていたそうです。
明治時代の現実の日本という感じではなくて、外国人の夢見る日本みたいな「お土産もの」のアルバムは、時代が進んで国同士の行き来が自由になったり、コロタイプ印刷が登場したりして廃れていったとのことです。

特集展示「神戸の仏教絵画―旧居留地×異世界巡り」入口

館内では、3階で特集展示「神戸の仏教絵画―旧居留地×異世界巡り」があり、2階のコレクションルームも見られるチケットを別に買って見られるようになっています。
私はミュージアムカードを持っているので特別展もコレクションも両方見られますが、チケットを購入して見る方は注意が必要です。去年くらいまでは、特別展のチケットを持っていればコレクション展もセットで見られたように記憶しているのですけど、今年くらいから変わったのでしょうかね。

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