見出し画像

第75回 正倉院展

今年も正倉院展の季節がやってきました。今回で75回目の正倉院展です。毎年、この時期を楽しみにしている人は多いことでしょう。
正倉院宝物は、聖武天皇が亡くなってから奥さんの光明皇后が天皇の遺愛の品を東大寺の大仏に献納したことに始まっています。それらの献納品は「国家珍宝帳」記載されていて、正倉院宝物の中核に位置付けられています。「遺愛の品」というだけあって、聖武天皇が使われていた枕だったりスリッパのような履物などが出陳されていることもあります。

入館のための列から見る景色

コロナ禍に入ってからは、正倉院展を見るためには日時予約をしなければ入館できなくなりました。今日は連休の初日だけあってどの時間帯も上限いっぱいの入館者だったようです。私が奈良国立博物館に到着した時には、入館者の行列ができていました。コロナ禍の前を思い出させられるような行列でした。

碧地金銀絵箱

今回の私のお気に入りは、上の写真「碧地金銀絵箱」です。色合いと模様が可愛らしくて、箱の底面が地面につかないような床脚が付けられています。縁は蘇芳色で、金の小花文が付けられています。この時代の小花模様って本当に愛らしくて大好きなんですよ…。

楓蘇芳染螺鈿槽琵琶

今年の目玉の一つ(だと思う)の琵琶です。背面の螺鈿も素晴らしいものでしたが、絃のある面には細密な絵画が描かれています。舞踏する胡人だそうです。拡大された写真を見ないとはっきりと見えないくらいに細かい描写でした。

平螺鈿背円鏡

恐らくこれも目玉かなと思われる、大型の鏡です。ヤコウガイや琥珀、細かく砕いたトルコ石などを用いて花の文様を作っています。
これらの宝物たちは千年以上も前のものとは思えないくらい美しく、当時の人たちもきっと美しい作りの宝物を目の前にして感動したんじゃないかな、などと思わされました。
また、私の大好きな正倉院文書も面白かったです。春に受講した「正倉院文書を読む」でも何度も名前が出てきた雄足(おたり)さんの名前が出てきた文書があり、「知ってる人が出てきた!」と少し嬉しくなりました。

薬膳弁当

一通り見終えたら、地下回廊のカフェでランチです。今年も薬膳弁当をいただきました。正倉院展の時には、これを食べると決めています。
そして、今日は仏像館を見ずに「奈良県立美術館」へ向かいました。

入口付近のフォトスポット

こちらの美術館では開館50周年記念特別展として「仮面芸能の系譜」をやっており、楽しみにしていました。正倉院展でも伎楽面が出陳されることがあり、古くから仮面を用いた舞が盛んだったことが分かります。復元された伎楽の装束や、平安時代になってからの雅楽・舞楽、各地の社寺に遺されたいろいろな面を見ました。

好きな面をつけて写真の撮れるフォトコーナー

秀吉と能楽の金春家の繋がりについての展示もありました。秀吉は能が好きで、自分でも舞っていたようで「太閤」の名前の入った番組もありました。

今年は2回正倉院展を見に行こうと思っており(会員なので4回まで特別展を見に行けるんですが、今年は春に特別展がなかったため欄が余ってるんですよね…せっかくだから大好きな正倉院展を2度見ようかと)、次は平日に行くことになるかと思います。今日はかなりの混雑でしたが、コロナ禍前はこんな風だったなと思い出したりもして賑やかな奈良博が戻ってきたという感じで悪くなかったですよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?