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暴走車両はもうすぐ生まれる

ものすごいスピードで走ってきて、危ない! と感じる車に時々出会う。

先日は<片側一車線の山道>で、僕の運転する車を(右でも危ないのに)「左」から抜かそうとする車に出くわしてしまった。

驚いてかわし左側にいるその車を見ると、なぜか運転席の男性が怒りに満ちた表情でこちらを睨みつけながら、何事かを叫んでいる。


同乗していた僕のパートナーも怒る。Fuck you!

当然だ。かなり危険だった。昔の僕ならばやはり激怒していたと思う。

が、近年そのような暴走車両に出くわすたび心がけていることがある。



「ああ、めっちゃウンコがしたくってたまらないんだな。もうギリギリなんだな。だから止むに止まれずあんな危ない運転をしてるんだな」



こう思い込むようにしてからは、むしろそれ以外に暴走する理由が見当たらず、ほとんどそうとしか見えないようになって「可哀そう……間に合いますように……がんばれ!」とむしろ伴走者のように応援できるようになった。

僕はその昔、毎日のようにお腹を壊し、頻繁に「もう生まれる!」くらいのギリギリのところで運転していたので共感力は非常に高い。


あの運転手は怒っていたのではない。

人生の最も厳しい局面に意図せず直面し、ともかく必死だったのだ。「助けてくれ!」と咆哮していたのだ。

彼は間に合っただろうか。だいじょうぶ。街中よりもきっと山の方がなんとかなりやすい。

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