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(Apple Books)Develop in Swift 探究 の特徴【追記1回目】

■ はじめに

授業内反転授業の記事を書き進めていたのだけど、「Develop in Swift」に大型アップデート…もとい日本語訳がなされたのでざっと目を通してみました。今後の展望のためにまとめておく必要があるのかなーと。というか、書いておかないと自分が忘れそうだから備忘録としてまとめておこう。そして、ここ3日間のインプットに備えておこう。

教師用ガイドもしっかり読んでおく必要はありますね。大変だ。

あ、日本語版最新 Develop in Swift はここから。そして追記予定ありです…。

■ 概要

・旧ブックについて

「Develop in Swift探究 Xcode11」(これから新ブックと呼びます)はXcode10に対応したブック「Swiftによるアプリケーション開発:入門編 Xcode10」(これから旧ブックと呼びます)の後継として出たブック…かと思われます。英語版をちょっと読んだ時、前の記事でも少し触れましたが、まずは180時間かかるというボリュームに驚きです。

旧ブックはSwiftのコーディング…特に文法に関する情報が詰まっているものです。文法とその理解を促す演習が中心となって構成されています。プログラミング言語として、「なぜそうするのか」ということにも触れています。これはこれで非常に完成度が高く、自分でどんどん理解できるという点で、生徒に好評でした。弱点は演習問題が何を問うてるのか分かりにくいことや、自学自習が苦手な子には厳しいと言った具合。

・新ブックのボリューム

まずはこの、必要時間が180時間というところから紐解いていきます。

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教師用ガイド23Pです。この探究には180時間が必要と明確に書かれております。そして、ブックはこの他に「Fundamentals」「Data Collections」がありますので、もし高校3年間で行うのであれば(受験勉強を無視して)1年に1冊のペースとなります。

高校における年間授業数は、1単位(週1回の授業)で年間35回。一回あたり50分です。180時間 = 180コマと考えるのが日本では妥当な気がするので、週5回の授業で年間175コマになります。すなわち180時間の質を確保したいなら週5〜6コマが必要ですね。ちなみに、数学Ⅲの標準単位数は5です。

…_:(´ཀ`」 ∠): おかしいぞこのボリューム。なんで?

・新ブックの特徴その1 : コードの概念の素地づくり

 ・長所

教師用ガイドの一部を紹介します。

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旧ブックにも少しはあった生徒への指示や探究が非常に多くあります。値を学ぶ…計算式やコメントアウトを学ぶ前段階さえ、いわばXcodeのPlaygroundを触ってSwift言語を学ぶ前に多くの時間を費やしブレインストーミングを行い、コードを学ぶ視点を掴んだり、文法の必要性の素地を涵養したり、社会との関わりや課題を探究したり…とにかく事前準備に非常に時間をかけている印象です。文法が理解できなくても、コミュニケーションと創造性は養えるようになっている…?ブレインストーミングとか社会との繋がりとか批判的思考とか色々さ。そりゃこのボリュームですね。凄いよこれは。

これ何とかして高校のカリキュラムに組み込も?

 ・短所

率直に言うと、上手く授業するためにはファシリテーター(教員)がプログラミングに関して造詣が深くないといけないのではないかということです。実務経験さえ必要な気がします。(一人でやる必要もないですが…)誰でもできると言うのが旧ブックの売りではありました(と勝手に思っている)が、今回はそうはいきそうにない。

例えば二つ上の画像…教師用ガイドP29の「プログラミングとは」に関して、入力・出力デバイスのブレインストーミングは専門学校ではやると思います。P30の探究課題に対して、ファシリテーターがどのように場のコントロールをするのか。何も知らない教員はこの探究のねらい、生徒につけたい力、持って欲しい気付き、どこまでいけばゴールなのか、ねらいは何なのかと言う観点とファシリとしての自信を持つことが難しいのではないでしょうか。場をしっかりとコントロールし、1年間の展望を持ち続けること…少なくとも私には創造できません。

あと言うまでもないですが、180時間は多いね!

 ・ コードの概念の素地づくりまとめ

こんなこと書いて短所デカい…こんな教材使えない…と言う主張をしている訳ではありません。個人的にはまずはやってみたいと言う気持ちが大きいです。具体的な指示は出ているのですから。誰でもまずはやることができるわけです。教員だってチャレンジしてナンボですよ。上手く教員サイドで料理しましょ。

あと、ワクワクするオモチャを与えられた子どもが、試さないわけないでしょう。


・新ブックの特徴その2 : コーディングは手段である。

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新ブックは4つのユニットで構成され、1ユニットは4つのセクションに別れています。以下の通りです。

セクション1:学ぶ

セクション2:練習する(XcodeでPlaygroundを利用する。コードの知識・技能の取得)

セクション3:作る(XcodeでStorybordを利用する。アプリの作り方を学ぶ。)

セクション4:デザインする

と言った具合です。詳しいことは教師用ブックの「はじめに」を読めば良いので、あえてここには書きませんが、旧ブックはこのセクション2と3に該当します。実際にXcodeのPlaygroundを利用して、文法や用語といったSwiftでのコーディングを習得していくのがセクション2。アプリの作り方はセクション3です。利用するPlaygroundやProjectファイルは、旧ブックで利用していたファイルに特徴1のような新要素を追加したものになります。

すなわち、コーディングの習得はあるものの一部なのです。

言い換えると、旧ブックが言語の文法や習得に重点を置いており、そのメッセージは「Swiftを使ってコーディングを学ぼうね」だったのに対して、新ブックは

自己表現や問題解決の方法をより深く理解しよう。その手段の一つこそ、コーディングである。

というメッセージを感じるのです。

かつてiPhoneが発売された時の衝撃を思い出しました。通話は数あるアプリケーションの一つとして実装された機器でした。いわゆるガラケーは「通話機器に、メールやカメラがついている」というものでした。

そこから携帯電話市場を様変わりさせたiPhoneは、まさに破壊的テクノロジーの一つです。コーディングも、数あるイノベーションツールの一つとして捉えていく意識が、これから求められるのではないでしょうか。


・新ブックの特徴その3:

ついき よてい です

■ Swift文法カリキュラムのまとめ

追記予定ですが、最優的な主張は

「コードだけでも習得させたい!したい!のであれば、教材をダウンロードし、セクション2をひたすら進めるだけでよし!」

ということで、「ブックの一部だけやるのは煩雑になりそうだから旧ブック使おう…」が愚策だということです。それほど、今回のブックに可能性感じてます。演習問題のゴールが簡単に理解できないことが直れば完璧です。


■ まとめ

いつもこうなんだけど、Appleから

「学びのツールは作りました。あとは先生方のクリエイティビティで最高の学びの場を提供してあげて下さい。」

と言われている気がしてならない。いい意味でとんでもないブックを作ってきたと思います。我々がこのDevelop in Swift をどう料理するかが腕の見せ所ですね。

個人的には、swift言語習得したいのであればセクション2。ストーリーボードも使いたいのであればセクション3も合わせてやれば良いだけだと思います。多いけど!



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