見出し画像

丹波ー京都を歩く旅-DAY2

丹波ー京都を歩く旅の二日目は丹波篠山市内のゲストハウスを朝の五時過ぎに出発します。

まだ真っ暗なゲストハウスのアプローチのライトアップが幻想的な時間帯です。


篠山の城下町を暗いうちに後にして

夜の明ける頃には農道と山並みの一面です。


今年の紅葉は遅いようで、ようやく色づき始めた山河の風景。


幹線道路に合流します。

道路脇のイチョウの黄色に目を奪われているうち

この幹線道路の右脇に村道が続くのを思い出しました。

思い出してみればそちらが歩行時代の街道に違いありません。



さっそく右手に見える村に向かって歩行時代の街道へ。





歩行時代の街道に出た途端に道標発見。(画像右端)

「右 大阪」


「左 西京」






まわりはとっぷり田舎なので甘味屋さんなど唐突な登場にびっくりしますが、考えてみれば歩行時代の街道沿いもお店が並んでいたかもしれません。




道祖神、石碑の類は一応記録撮影。


表情豊かな秋の空。




こちらはえっとなんの木でしょうか?

電線に阻まれなければ。。


幹線道路を横切って歩行街道を進みます。


村の公民館。

公民館っていろんなデザインに建てられていて各地の公民館を画像で並べてみたら面白いかもというほど個性的だったりします。


大豆が干してある。


真っ直ぐ延びるいかにも街道らしい村道。


由緒のありそうな佇まいの神社。


マップの「篠山街道」を参照しながら歩行街道を突き進む旅。


二日目の今日は雨の心配はなさそうです。


街道沿いに井戸。

現役?



これは小豆かな?



道標発見。

「右 やま道  すく 京いせ」(すく=まっすぐ)


石の文字が読めないなあと思っていたらそばの看板に描かれてました。



道標に従ってさらに街道をひた歩きます。

古墳のような丘。

もしかしたら本当に古墳の場合もあります。




休憩はバス停の小屋にて。



さらに進みます。


丹波といえば山の芋、黒豆、大納言、大栗、柿、松茸、猪肉、、おいしい食べ物がいっぱいです。


幹線道路とはまた別れて進みます。

瓦のオーナメントは波頭でしょうか?


こちらは菊も盛り。

父も生前栽培していました。

地域の特色でしょうか?

「史蹟 延喜式小野駅跡」
「丹波篠山五十三次 山陰道小野駅跡」


「篠山街道」が本当に歩行時代の要衝の街道だったかどうかは知りませんし、たとえそうでもそんな道を現代に追体験したいと思う人もあまりいないかもしれません。

今は代わりにシーニックドライブルート(観光ルート)として「デカンショ街道」という街道ができています。

しばらく合流。

「黒大豆枝豆」の幟(のぼり)

特産の黒枝豆の直売がシーズンを終えて店仕舞いの頃合いです。


やがてお店の色のトーンを少し抑えたコンビニが見えてきます。



コンビニのすぐそばにランドマーク的にそびえる大杉。

この大杉のある交差点に来ると、ここは”重要伝統的建造物群保存地区”である福住の入り口です。


ここでコンビニがようやく登場。

丹波篠山市にはコンビニが少ない気がします。


こちらでようやく朝食を補給。


そして福住へ。


すぐに祭りの山車の倉庫が目に入ります。

去年、一昨年と見逃した夏の終わりの祭り、今年は行きたいと思っているのですが楽しみです。


この左手の白い民家は一軒家ではなく共同住宅です。

詳しい造りはわかりませんが古い民家的デザインの現代的な建築のようです。

数棟が敷地内に立っているのは現代の住宅地の典型通り。

これも保存活動の一環から生まれたようです。

画像がありませんが、奥には東家のようなものが建つ公園もあります。

景観に沿った現代的な暮らしの一例みたいです。



その向かいにはゲストハウスもあります。


「丹波篠山の旅路のブルワリー」






こちらはややお高めの外国人対応らしいホテル。



今日は営業されないようですが実はここは自転車屋さんです。

軒にパーツが掛かってます。




こちらはおいしいピザ屋さん。

こちらは今も五右衛門風呂とおくどさん(釜戸の時代の台所)が現役だそうです。




こちらのパンもおいしいです。

建物と内装も特別感のある魅力的な店内です。




「伊能忠敬笹山領測量の道」



こちらもお休みですが古着屋さん。

週末に開かれるお店が多めかもしれません。

こちらの古着屋さんは古い診療所を改装されています。

以前にこのお店に偶然立ち寄ったところオリジナリティある内装。オーナーと共に手がけた方が私の旧知の方だったというサプライズ以来、何度かお邪魔していますが今日はお休み、通過します。


コーヒースタンドもあります。

コーヒースタンドの脇の石碑
「史跡 ○○佳一里塚」

「昭和五十三年架」
は側にある橋のことでしょうか。



↑コーヒースタンドの裏手にオープンテラスがあります。

バイカー、旅人にもありがたいお店と言えるかもしれません。

お店も人も増えればかつての宿場町であった福住らしい、けれど新しい佇まいが見られるのかもしれませんね。




新しい内装工事も始まっています。



山車倉庫ふたたび。




小さくてわかりにくいですが女子高生二人が畑に。

すぐ向かいの高校の生徒のようです。

農業コースがあるようす。



その高校が企画する日本酒プロジェクトの看板と、その奥には住吉神社。

先ほどから登場する山車の祭りの開催地。

田植えシーズンにこちらに訪れたときには、高校のプロジェクト農地で田植えがあったようでたくさんの家族づれが総出で田植えの後のお弁当をこの境内で食べていました。

部外者からするとそれはとても夢のような幻のような光景に見えたのですが、そういった失われつつある農村風景を見かけられるのが丹波篠山らしい気がします。


消火ホースの格納庫にも気配り。


三たび山車倉庫。


福住で二つ目のゲストハウス。


茅葺き屋根のこちらも何かのお店なようす。



こちらは個人宅なのですが、いつ見ても心地よい暮らしぶりを空想させてくれる風情があります。


この山の向こうには農業用水用のダム湖があります。


軒先の風物たち。




ばんば(馬場)という村の板金屋さん。


「茶屋ばんば」


こちらが茶屋だそうです。


栗のイガがきれいに掃き集められています。

こうしてイガは集めて燃やすそうで、それが来年も豊作にするため必要な作業だそうです。


稲架(せか=刈った稲を天日干しする架)。

コンバインが導入されるまでの手刈りの後の天日干し風景も篠山には残っています。



プロジェクトでバス停を竹製にしているとのこと。



さて、福住地区を歩ききり、幹線道路へ合流。 

緩やかな峠道に続きます。

「天引トンネル」

このトンネルも歩行時代にはなかったのですからやっぱり当時の旅は簡単ではなかったことかと。健脚ぶりが違うでしょうけれど。


トンネルを越えるとそこは京都府。


ふたたび脇道へ歩行街道。


11月というのに夏のような強い日差しです。


水路がきれい。

「中イネの水路」

2015年の調査でオオサンショウウオの生息も確認されたとあります。


水中にバイカモ(藻の一種)が見えます。

バイカモ(梅花藻)はかつては我が家の裏手の小川でも生息していました。

今ではすっかり希少となった清水に生息する農村らしい風物です。

今は緑の藻なだけですが、五月ごろになるときれいなかわいい花を咲かせます。





このあたりの案山子(カカシ)のクオリティがお高め。



11月とは思えない夏日の気温となっています。

秋が秋らしくなれないようすは心配なものの絶好の好天に風景も輝いて見えます。



また幹線道路へ。

緩やかな峠をまた越えて

国道372号線 京都40km 亀岡18km」


「南丹市 園部町 南八田」国道372


歩行街道に入り直します。

「國賓?普濟寺観音堂道」


街道沿いに大岩。

けれど看板の「水岩」はこれよりずっと大きく、ここから山に登ったところにあるそうです。



大岩への供物?街道脇に並んでいます。



唐突だけどグラフィティ(ではないのだけど)作品に出くわしたので。

有名なパン屋さんのトラックが倉庫代わりになていて、そのパン屋さんのグラフィックが消されているのだけど消せきれずに解像度が8ビットくらいの”パン屋のヤマザキ”であり続けているのが面白いです青い空白い雲。



自動車時代の遺跡のようなトラックのグラフィックアートを発見しつつも、道中は依然として歩行時代の街道をひた歩き。

そしてその旧街道は小さな小さな村道であることがほとんどです。


こちらお勝手口と山茶花(サザンカ)の風情なんですが、残念ながら現場は空き家。。

当時の暮らしと風情は心の中で追体験。




右手に大きな石碑を発見。

「愛宕山」  


「愛宕山」と文字の刻まれた石碑や石灯籠は各地の村々でたくさん見ることが出来ます。

これはこの「愛宕山」という言葉が”防火の神”を表しており、その言葉を護符にした村がたくさんある、あったということのようです。


ちなみに愛宕山という山は、京都で二番目に高い山、東京でも23区内で唯一の丘として有名ですね。他にもたくさんの愛宕山が全国にあるようですし、山がなくても「愛宕山」の言葉はたくさん見られるんですね。


「愛宕山」がなぜ防火(火伏)の神とされるのかは詳しく知りませんが、防火のぼの字もないこの言葉の護符が抽象化・記号化して各地の街・村の要所に石碑として彫り込まれてあると思うと、その石碑を孕んだ風景に人の暮らしの民間宗教的な文脈を追うような気がしてきます。


「愛宕山」の向かいには庄屋然とした造りの家。






「山陰道 野口駅 跡」

背景には晴れた秋の空を映す池。

農村地帯ではよく用水池を見かけます。




「左あたご?」



亀岡市に入りました。


「東本梅村道路元標」


石灯籠の上に石がたくさん乗ってます。

願掛けかなと思うんですが、旅の記念に私も乗せとく。






コンビニやお店がまったく現れなくて飲み物も買えません。

ようやく自販機発見!と思ったらこちらなんと販売中止中。。


こちらもこう見えて買えません。立て続けに続きます。。



レコードを外壁に飾る気持ちの全ては理解できないかもしれませんが「ルート66」のサインになんとなく共感。

ここはもちろんルート66ではありませんが、名もなきヒストリックルートを追走する身には感慨深くあります。








村道から緩やかな峠になった幹線道路に合流しつつ進むと、温泉郷に辿り着きました。

その温泉郷をさらに深く進みながら山越えの様相です。


温泉郷の山道を越えるとまた集落が現れました。

そして広い平地へ。

農道のようにまっすぐ延びる歩行街道を進みます。


これは遺跡か何かの発掘をしているのでしょうか?




ようやくこの旅で二つ目のグラフィティ。

いわゆるグラフィティの体をなしているはじめての遭遇です。

80年代前夜にNYの裏街で生まれたグラフィティは今では全世界で見られますが、その変遷を追うのも歩行街道の変遷を追うのと同様興味はありますが今回はほとんど確認できず残念。



陽も傾き始めて、今日の宿泊地である亀岡市街に入ります。

こちら亀岡の道の駅です。
何度か来たことがありますが大きいです。



夏日だったらしい今日の太陽も暮れました。


そして宿泊地のビジネスホテルに到着。



ホテルの5階の部屋から空を見ると雲がひとつ。

今日も無事歩ききったシンプルな心地よさを写したような空に思いました。


今日はマップ上では距離37キロ歩きました。

明日はいよいよ最終日。

行程は19キロです。

ここから先は

0字
ご購読いただくと、その購入額をポイントに換算し、等価の発表作品と交換していただけます。 たとえば一年間の購読で、定価6,000円の作品が手に入ります。

THE SKYSCRAPER

¥500 / 月 初月無料

”火事の家”をモチーフにしたシリーズ作品とその制作ノートを発表します。 作品画像は一日一点、ノートは週一度のペースを想定していますが、不定…

よろしければご支援よろしくお願いいたします。 購入金はポイントとして換算させていただき、作品と交換していただけます。