丹波ー京都を歩く旅-DAY3
歩行時代を追体験する旅の最終日。
今日は亀岡市街からの出発。行程19キロ。
今日も未明の出発で、昼頃には京都駅に到着する予定です。
月と金星と山陰道(国道9号線)
峠へ続く幹線道路沿いに進行です。
昨日の石碑にもありましたが
篠山ー亀岡ー京都のルートは「山陰道」というようです。
夜明けと共に交通量も増えて通勤ラッシュが始まります。
亀岡市街から数キロほどで峠道になってきました。
しばらく通勤ラッシュの自動車と共に進み
やがて脇道を見つけます。
旧街道でしょうか?
しばらく歩くと洛西の景色らしい竹林が見えてきます。
まだ峠を越えたようすはありませんが人家が出てきました。
「老ノ坂峠」の道を歩いているようです。
この辺りはまったく初めて来るので土地勘もありません。
マップのナビに沿って進みます。
「従是東山城國」
この先が東山城という国だということでしょうか。
確かに丹波と山城の境界に来たようです。
ナビの指し示す方向をなんとチェーンで阻まれています。
他に道もないので行ってみましょう。
道ともいえない道になってきました。
頭上に道らしい道が見えてきましたが。。
その道の先は行き止まりです。。
道を横切って歩けと「火の用心」の下に落ちたような木の道標も申します。
下方にやっぱりサインがある。
ここまでワイルドな歩行旅行は想定してませんでしたが、後になってよく考えると、歩かずにすっ飛ばした困難ルートの中にもこのような道はあったのかもしれません。
もしかしたら完全に通行不可能な道だってあるかもしれない。
ともかくようやく道らしい道に復活。
霊園の道に合流したようです。
峠の幹線道路。大きな橋桁をくぐります。
幹線道路に合流。
すぐにまた別れます。
富有柿(ふゆ柿)も丹波の名物の一つ。
峠近くの村をどんどん下ります。
「沓掛」
平安時代の貴族の靴=沓。みやびな地名が出てきたと思いスナップしましたが、この「沓掛」の意味↓
旅人などが、道中の無事を祈願して道祖神、庚申(こうしん)、山の神などに草鞋(わらじ)や馬沓の類を掛けて手向けること。 (コトバンク)
とのことで、なんだかこの旅にぴったりな”偶然の発見”です。
快晴の空と土手。その上は畑。
竹林。
「竹の子掘り」の看板も見かけます。
”洛西といえば竹”のイメージもあります。
こっちは栗畑。
”栗といえば丹波”かもしれません。
峠らしく、丹波と京が混在しています。
緑のゴミ。
9号線に合流。
亀岡と京都をつなぐ9号線。
いよいよあと約7キロ。
「桂川」
桂川を渡ればもう京都の市街地。
ゴールの京都駅も目前です。
「阪急京都線」の高架をくぐって
さらに歩くともう一度線路の下をくぐります。
この線路の駅が「丹波口駅」。
丹波の入り口=京への入り口
なんだか半ばゴールしたような気にもなります。
なぜならこの先、広い京のみやこのどこへ向かうかで方角も違ってきそうだからです。
ところで、歩行時代の旅人はどんな目的で歩いたのでしょう。
たとえば江戸時代、私が農民で丹波の農村から京へ向かうとしたら「何か農産物を持っていって売り、そのお金で何か買って帰る」みたいなイメージが浮かぶけれど
よく考えると米やら大概の農産物は土地土地で賄っているはずで、京都まで運ばれるとしたら希少な特産品だったかもしれません。そして特産品は藩などでまとめて運ばれるような気がします。
個人の旅と物流の往来を一緒に考えることはできません。
そう考えると、私の道中に見かけた道標たちに記された「京いせ」の道しるべから想像しても、”京都見物・お伊勢参り”の「物見遊山」だったのかもしれません。
「物見遊山」というと現代の観光と同列に考えてしまいますが、留学・遊学の要素も大きくはなかったでしょうか。
歩行時代は現代と比べて物流の規模が限りなく小さかったように、情報の流通も小さい。
現代より圧倒的に情報の少なかった歩行時代、旅人の土産話=最新トレンドは、旅に出て地元の人の多くが知らない世界を見ることは大きな知見になるはずです。
好奇心旺盛な旅人なら「京いせ」までの道中のあらゆる経験を地元に持ち帰り紹介したはずです。
そのように「文化」が京ー丹波の歩行街道を流通するイメージが湧いてきます。
そう考えると案外、丹波の山奥から来た江戸時代の旅人がどのようなルートで京に入るか、大体のコースがあるような気もしてきます。
ともかく今回は当初の予定通り、京都駅を目指します。
9号線をさらに進み「堀川五条」の交差点で南下すると
右手に西本願寺が見えてきて
歩行する観光客も見えてきて
京都タワーがビルの谷間に。
そして京都駅にゴールです。
日程に限界もあって早足、ショートカットもあった旅でしたが、本来の旧街道をそのうちすべて歩けたらと思いました。
歩行時代の街道のほんの少しを垣間見ただけかもしれませんが、ひとまず今回の旅の絵を最後に。
おしまい
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