[An Autumn Sky]

川沿いの遊歩道に出る。

今朝は風が涼しい。

しばらくそこから川を眺めていると、ダイサギが草の陰から見えてきた。

下流を見遣りながらダイサギは、川上に移動している。

多分、人の視界に入ったからだろう。

ダイサギは川上に向かって飛んでいく。

その川上では、二羽のセキレイが追いかけあって、川の草葉に消えていく。

ダイサギの軌跡を追って、さらに川上に目をやる。

川は彼方の山へ続くので、その軌跡を頭の中で辿っていく。

源流は近い山並みの景色。

川上の途中、高速道路が川の上を横断する。

道路は山間に隠れながら、川下の流れに沿うように、南北に伸びている。

道と川の流れに沿って、視界を北の川上側から、南の川下側へと戻していく。

遊歩道ももちろん川の流れに沿って続いている。

さっきの二羽のセキレイは川を渡り、遊歩道に植わっている桜の木の向こうへ飛んでいった。

桜の木は鬱蒼と緑で、河原は葦とススキとその他の雑草に覆われて同じく鬱蒼。

今は夏か、と風景を解釈してみるが、

空を見上げると、大きな薄い筋雲が空を縞模様にしている。

秋の雲だ。

縞模様の空が山の向こうの川の源流の方まで、広く大きく広がっている。

[An Autumn Sky_秋の空]
333x333_oil on canvas_enikki1003#155_2022