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遠隔地へお金を送る方法~定額小為替~

遠隔地へお金を送る方法として、思い浮かぶのは銀行振り込みではないでしょうか?
銀行振り込みについては、後日、別の記事にするとして、今回は郵便局の定額小為替について記事にしたいと思います。

郵便局でお金を送る方法としては、定額小為替以外にも現金書留があり、こちらのほうが安価ですね。
本当に定額小為替って何のためにあるのでしょうね?

定額小為替の「為替」とは?

定額小為替の説明の前に、予備知識として為替についてご説明します。
よく聞く為替ですが、為替とはいったいどういった意味なのでしょうか?
例えば、外国為替や、為替相場、為替差損などが有名かと思います。あまり聞きなれないところでは、内国為替なんてものもあります。

「為替」とは「顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行すること」を意味している。民間金融機関では、全国銀行データ通信システム(全銀システム)のことを「内国為替制度」と称し、サービスを行っている。この制度は、預金口座を使うため、お金を受け取る側はもちろんのこと、場合によってはお金を送る側も預金口座を保有する必要がある。一方で「郵便為替」は公社が為替証書を発行したり電文により送金をすることから、お金を送る側・受け取る側一方または双方が郵便貯金・郵便振替口座や民間金融機関預金口座を保有していなくても送金をすることが可能であるが、公社のみが取り扱うことができる事業のため、必ず郵便局貯金窓口で手続きをしなければならない。

Wikipedia 郵便為替

為替とは、輸送をせずに資金を移動する仕組みのことを言っているのですね。外国為替であれば海外への送金のことで、為替相場は異なる通貨間の交換比率の相場のことなのですね。

定額小為替とは?

それでは定額小為替についてみてみたいと思います。
定額小為替は郵便為替の一種です。郵便為替は前項で触れたとおり、公社が発行する為替証書です。

現在は額面50円から500円までの50円刻みで10種類と、750円と1000円の計12種類が用意されています。
また、定額小為替1枚発行ごとに200円の手数料(郵便局では料金と呼ぶ)がかかります。
例えば800円必要な場合は、500円+300円+(200円×2枚分)=1000円が必要となります。

為替証書の利用方法は、以下にWikipediaを引用します。

1.差出人(お金を送る者)が、郵便局貯金窓口に出向き、定額小為替振出請求書、為替金(送金したい金額)及び料金(振出手数料)を納める。
2.郵便局貯金窓口から差出人に振出日附印が押印された定額小為替証書が交付される。
3.差出人は定額小為替証書の「指定受取人欄」に受取人(お金を受け取る者)の氏名を記入し、受取人に定額小為替証書を郵送・交付する。
4.受取人は定額小為替証書を受け取り、受領欄に住所・氏名を記入・捺印の上、郵便局貯金窓口へ持参し為替金払渡請求を行い、受取人に為替金が払渡される。

Wikipedia 郵便為替

定額小為替を使うメリットは?

ここまで定額小為替について記しましたが、これだけのことであれば銀行振り込みで事足ります。わざわざ定額小為替なんてシステムを利用する必要はないように感じられます。では、なぜわざわざ定額小為替を利用するのでしょうか?その理由は、役所へ郵送するとわかります。

まず、郵便為替最大のメリットでもありますが、送金側と受取人側双方で口座開設の必要がないことが挙げられます。
役所によっては振込で入金を受け付けているところもありますが、入金の付け合わせの手間を嫌がり(筆者私見)窓口で現金納付のみ対応可能とするところが多いです。
この窓口現金のみ(銀行振り込みはお断り)の役所であっても、定額小為替を受領してくれる(郵送対応可能)ところは案外あります。
この窓口現金納付の代わりとして使えるところにメリットがあります。

また、郵便法で現金の郵送は禁止されていますが、定額小為替であれば現金ではありませんので送金が可能です。
もちろん現金も現金書留で送る方法がありますが、現金書留は封筒の制約から、申請書と一緒に送るのが難しく、やはり別送となってしまいます。
すると結局、役所で入金の付け合わせの手間が発生してしまい、お断りされてしまうのです。

定額小為替のデメリットは?

次に、定額小為替を使うことのデメリットを見ていきましょう。
定額小為替最大のデメリットは、有効期限があることです。発行日から数えて半年たつと換金ができなくなります。半年経過した場合は、郵便局の窓口で再発行手続きを行う必要があり、そのままでは換金できないようになってしまいます。
また、5年経過することで債権としての消滅時効を迎えてしまいますので、再発行すらできなくなってしまいます。

その他、定額小為替を取り巻く環境

最近、多くの債券が電子化されています。手形なんかはほとんど電子に置き換えられてしまったのではないでしょうか?
そんな中で、定額小為替はどのようになっていくのか、2019年に全銀協が調査報告書を公表していましたので引用します。

その他証券の多くは定額小為替証書と配当金領収証が占めていることから、関係者にこれらの概況を確認したうえで、電子化に向けた対応について意見交換を行った。 その結果、以下のとおり、定額小為替証書、配当金領収証のいずれも一定のニーズがあり、現時点では電子化に向けた有効な代替手段や取り組みはないことから、引き続き、関係者と議論を行っていくこととする。

全国銀行協会 手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書

今のところ、配当金領収書と同様に電子化する予定はないようですね。
ただし、配当金の支給方法が配当金領収書方式からほふりを使った証券口座振り込み方式に変わりつつありますので、定額小為替も今後どうなるかわかりませんね。

結局みんな使い勝手を求める

仲の良い郵便局員(正式にはゆうちょ銀行の行員)の方から教えてもらったのですが、定額小為替の換金まで半年の有効期限は形骸化しているとのことです。
もちろん正しく行っている郵便局もあるのでしょうけど、再発行をしたところで手間が増えるだけで全く利便性がないからとのこと。

確かにいちいち再発行をさせられていたら定額小為替なんて選択肢からなくなってしまいますよね。
また、再発行したところですぐに換金されるわけですし・・・。

ただし、受け取る市町村役場が有効期限切れとして受け取りを拒むことはあるそうです。
郵便局で換金できるかどうかではなく、正しく有効期限内のものしか受け付けないという役所の内部ルールだそうです。
これも役所によって対応が異なるようですので、利用予定のある方は事前に確認をしてみてください。

さて、今回は郵送で住民票を取得するために購入した、1年前の定額小為替が引き出しから出てきたことで、思わず調べてしまいました。
その時も、なぜ銀行振り込みでないのかと憤りを感じましたが、定額小為替には定額小為替なりのメリットがあったのですね。

本日は換金して戻ってきたお金で、夕食が1品豪華になりました!

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