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あなたは「刷新感」という言葉に不自然さを感じられるか?

いくら本音を隠しても、言葉の感覚が鋭敏な人にはすぐわかる。言葉の端々にその人の心のうちがにじみ出るから。
「刷新感」。この聞き慣れない言葉からは今の自民党の本音が透けて見えるようだ。


テキスト職人の流行語分析「刷新感」

先日の「コバホーク」に続いて今回も政治ジャンルから。

「刷新感」

自民党総裁選の盛り上がり?とともによく見かけるようになったこの言葉。「(新総裁で)刷新感を出したい」とか、「コバホークでは刷新感が足りない」のように使われる。

あなたは、この「刷新感」という言葉から、「不自然さ」を感じられるだろうか?「違和感」と言ってもいい。何のひっかかりもなく受け入れられる人は言葉に対して寛容、はっきり言えば鈍感だと思う。

「刷新」は辞書にも載っている、よく使われる言葉だ。意味内容も概ね固まっている。解釈の幅が狭い。小学館・デジタル大辞泉によれば、「刷新」とは「弊害を除き去って、全く新しいものにすること」、用例として「人事を刷新する」とある。まさにその通り。

この「刷新」という明確な言葉があるにもかかわらず、「刷新感」という別の言葉を使っているのは何某かの意図があるからだ。たった一文字付け加えただけでも、「刷新」と「刷新感」は違う。言葉が違えば意味も違う。これを敏感に感じ取れるかどうか?

「刷新感」。直訳するなら、刷新した感じ・刷新したイメージというところか。ともかく、「刷新」そのものではないということだ。

本気で党内を刷新・改革したいという熱意を持った人なら、「党内を刷新したい」、「コバホークでは党内を刷新するには力不足だ」と言うだろう。「刷新感を出したい」とか、「刷新感が足りない」なんて、変な言い回しはしないはずだ。

結局、本気で党を刷新したいわけではない。ただ、党が「刷新されたイメージ」を出したいだけだ。例えば、若手議員を総裁に据えるとか、自民党初の女性総裁を起用するとかして、「俺たちは変わったぞ」、「今までとは違うぞ」とアピールしたいだけなのだ。

「ネーミング」は「言葉の違和感」をプラスの効果として使う技術

ただ、この「言葉の違和感」は悪いことばかりではない。凡庸な言葉に違和感をプラスすることで印象深い言葉になったりする。覚えてもらえるようにもなる。

これこそが、僕の「テキスト職人」、「ネーミングプロデューサー」の仕事だ。
例えば、「もちもちの焼きそば」は極めて凡庸で、スっと忘れ去られてしまう言葉だ。だが、「焼きそばモッチッチ」とするとだいぶ印象が変わる。うまいネーミングだと思う。僕もそういう言葉の磨き上げをやっている。
言葉の違和感、言葉の引っかかりをプラスの方向に持って行く仕事だとも言える。

皆さんも自分の商品名、ブランド名、肩書きをイジり倒すといい。常に言葉に触れることでアイデアは無限に出てくるから。


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