駿河屋のかんたん買取で5000冊の同人誌を片付けた話
TL;DR
この記事に書いて【いない】こと
同人誌の梱包の基本
ゆうパックの集荷依頼方法や発送方法
駿河屋自身や「あんしん買取」サービスの紹介
駿河屋の買取サービスの共通的な説明や注意(振込先口座登録や身分証登録の方法、タバコ臭は減額・買取不可の可能性あり、など)
駿河屋以外(まんだらけなど)の買取サービスの紹介や比較
この記事に書いたこと
駿河屋の「かんたん買取」サービスで大量買取を事前相談する際のメール文面例
事前相談の際に必要十分な情報を記載するための、同人誌のピックアップと計数の方法
買取の注意事項などに記載されている荷物の要件を満たすための梱包資材
はじめに
背景
話は2023年3月後半にさかのぼる。諸事情あり、自宅のモノを減らして身軽になりたく、部屋の空間の多くを占めていた同人誌を片付けたいと考えた。旧クロネコボックス10(三辺合計100cm弱でB5サイズが2列で入るダンボール箱)換算でざっと30箱あり、少なくとも5000冊はあると思われた。同人誌に詳しい知人に相談したところ、提案いただいた処分方法の中に駿河屋での売却があり、私も今回はこの方法が理にかなっていると考えたが、その知人はこれだけの分量をまとめて売却した経験はないとのことだった。
この記事は、同様の事情に直面した方々向けに、私の売却の経験を踏まえたノウハウを書き残したものである。
今回の片付けの要件
少なくとも本が他人の手に渡る状態にしたい。同人誌は一期一会であり、ひとたび人の管理を離れたら世界から忘れられてしまうだろう。それは本にとって悲しいことだと思うし、私も心苦しい。
できるだけ楽に片付けたい。5000冊の里親を一冊ずつ探す時間はない。
高く換金できるに越したことはない。しかし前二つの項目よりも優先度は低い。
手元に残したい本がいくつか存在する。これらは処分したくない。
今回の片付けの方針
基本的には宅配買取を受け付けているショップに一括で売却する。楽だし、それなりに換金できるだろうし、値が付いた本はいつか他人の手に渡ってくれるかもしれない。
持込買取は店舗までの運搬が手間なので不採用とした。
オークションサイトやフリーマーケットサイトでの売却も不採用とした。私がこれらのサイトの利用に不慣れで時間と手間がかかりそうだったためである。
値が付きづらそうな本は個別にピックアップして知り合いに譲渡する。主に創作同人誌がこれに該当する。
手元に残したい本の選別がてら、売却する本と譲渡する本も整理整頓する。それくらいの時間なら確保できると見込んだ。
駿河屋の「かんたん買取」サービス
サービス概要
駿河屋の買取サービスには「あんしん買取」と「かんたん買取」の二種類がある。今回利用した「かんたん買取」は事前査定なしに申し込み、買取希望の商品をゆうパックで発送し(商品点数が30点以上なら着払い)、そのまま査定、買取してもらえるサービスである。実際には買取前に査定結果の承諾が必要だが、あらかじめオプションで「査定結果の自動承諾」も有効にしておけば、査定結果の通知後、買取、入金まで流れてくれる。駿河屋の査定品質を信頼する代わりに発送前後の手間を省けるサービスであり、今回の要件と方針に合致する選択肢だと思えた。
サービス利用時の注意
かんたん買取は一括売却にピッタリだが、次のようにいくつかの注意がある:
10箱以上または300冊以上の同人誌を買取希望する場合は発送前に事前相談する -- これはかんたん買取の注意事項に明記されている。今回は少なくとも300冊以上の条件に該当する。事前相談はサイトのフォームではなくメールで所定のアドレスに行う。
2箱以上の発送には100サイズ以上のダンボール箱を使用する -- 正確に言えば三辺の合計が100cm以上のダンボール箱であるが、100サイズ向けに100cmをギリギリ下回る箱もあるので、これくらいの緩さで考えてしまっていいと私は思う。少なくとも80サイズの箱は避けた方がいい。
1箱あたりの買取金額を1500円以上にする -- これも注意事項に「1箱あたり買取金額が1500円未満の場合、別途送料請求する場合がございます。」と明記されている。請求の手続きはきっと面倒だろうし、さらにもし買取金額が送料を下回ったら売り損になってしまうので、遵守すべきだろう。
1箱の重量を25kg以下にする -- これは駿河屋サイトでの明記は見つけられなかったが、事前相談の中で、重量ゆうパック(1箱あたり25kg超30kg以下)は送料無料の対象外になる旨をいただいている。全ての箱を平均して25kg以下というのはNGであり、各箱を25kg以下にする必要がある。
梱包ノウハウ
1. クロネコボックス10相当のダンボール箱を使う
これは重量ゆうパック(1箱あたり25kg超30kg以下)を回避するためである。クロネコボックス10なら、新サイズでも旧サイズでも、B5サイズの同人誌を2列の平積みでぎっしり詰め込んでもせいぜい20kg強に収まる。旧サイズは三辺の合計が100cmをギリギリ下回るが、今回の私の場合は特に問題なく受け入れてもらえた。純正品はヤマト運輸のサイト(電話注文可能)を、互換品はシモジマなどの包装用品店や近くのホームセンターを探すといいだろう。ヤマト純正のクロネコボックスでも郵便局はちゃんと集荷してくれるのでご安心を。
クロネコボックス12相当(三辺合計120cm)以上の使用はオススメしない。同人誌を大量に詰め込むと25kgを超えて重量ゆうパックになるおそれがあるためである。
2. 値が付く同人誌をピックアップしておく
これは1箱あたりの買取金額を1500円以上にするためである。また、後述するように、事前相談する際にも担当者とのやりとりがスムーズになる。重量ゆうパックの考え方とは異なり、全ての箱を平均して1500円/箱以上になればOKである。
駿河屋サイトの「あんしん買取検索」を使えば同人誌をはじめとしたアイテムをタイトル、サークル名、作家名などで検索でき、ある程度の値が付いているものなら買取価格も分かる。推測になるが、どうやら買取150円以上のアイテムについて明記されているようだ。この価格がかんたん買取でもそのまま通用するかは分からないが、参考にはなるだろう。
今回の私の場合は少々の安全率を掛け算して1箱あたり2000円~2500円を目指してピックアップした。その他の同人誌まで含めれば、よほどマイナーなジャンルやサークルでない限りは値が全く付かないなんてことはないだろうから、この程度で十分である。
売りたい同人誌のジャンルがある程度限定されているなら、この検索機能を使って高価買取リストを調べておくとピックアップが楽になる。これはジャンル名で検索して価格の高い順に並べ替えればいい。例えば「けものフレンズ」同人誌の高価買取リストはこのリンク先のように調べられる。
3. 計数、重複確認、分類、整頓して梱包する
買取申し込み時のフォームには商品数を入力する必要があるため、同人誌の計数と重複確認をしておくこと。同人CDや同人グッズもあるなら「同人関連」にまとめて計数すればいい。同人関連でない商品も同じ発送で一緒に売却したい場合は上図の種別ごとに計数すること(私の場合は市販の書籍が十数冊あった)。重複確認は後述する事前相談で必要になるので、ダブっている同人誌が見つかったらタイトルとサークル名をメモっておくこと。
また、この段落の内容は必須ではないが、同人誌の分類と整頓をしておくのがベターだと考える。ジャンルもサークルもバラバラに箱詰めされた同人誌の査定は駿河屋の担当者も手間なはずで、時間はかかるし値段も付きにくいことが想像できる。余裕があるならやっておこう。
今回の私はある程度ジャンル別に同人誌を保管しており、また知人に譲渡する本のピックアップもしたかったため、梱包までの一連の作業を次のように行った。
3回の申し込みに分けて段階的に売却するつもりで梱包を進めた。これは部屋の空間を早期に少しでも広げたかったため、また大量売却のノウハウを段階的に積みたかったためである。当初見積の30箱を、1回あたり10箱発送すれば、3回で済むだろう、というざっくり計算である。
同じジャンルの本は同じ箱に固め、箱内ではまずサイズごとに固め、次いでサークルごとに固めた。1箱に複数ジャンルが同居することは許容し、1ジャンルが1箱に収まらない場合は複数箱に分けた。複数ジャンルをまたいで活動するサークルの本は当該サークルのメインと思われるジャンルの箱に寄せた。
前節でピックアップした値が付く同人誌について、特別のケアはしなかった。いま思えば、箱の上部に入れるなど、目立つように梱包すればさらに良かった。
計数は念のためサークルごと、および箱ごとに行い、箱内の誤差を5冊以内に収めるくらいの注意深さで行った。しかし、いま思えばこれはやりすぎだった。箱ごとの冊数が分かれば十分である。
事前相談ノウハウ
1. メールで大量買取の事前相談を開始する
1回の発送分について梱包完了の目途が立ったあたりで事前相談を開始する。かんたん買取ページの注意事項に記載のメールアドレスに、大量買取相談の旨のメールを次のような文面で送ればOK。
そのうちに駿河屋の担当者から返信メールが来る。内容は案内や注意事項や各種確認であり、買取希望の商品については少なくとも次の項目を確認されるはずである。
発送の箱数
商品の具体的な内訳 -- 最重要。詳細は次節を参照。返信メールには内訳のサンプル様式が付いているかもしれないが、これに従う必要はない。
同一商品の有無 -- 転売屋拒否のための確認と思われる。メモしておいたダブり本を申告する。5冊も10冊も同一商品があるのはNGだろうが、うっかりダブって2冊買ってしまった本なら正直に申告して問題ない。
2. 要点をおさえて商品の具体的な内訳を送る
3回に分けて申し込み、内訳の書き方を試行錯誤していった経験を踏まえて、次の二点をおさえていれば問題なさそうだという感触を得た:
1箱あたりの買取金額が1500円以上になりそうだ、と駿河屋の担当者にもわかること -- これを示すために、内訳の前半に、ピックアップしておいた値が付く同人誌の一覧を記すといい。各同人誌の情報はタイトル、サークル名、およびあんしん買取検索の個別ページへのリンクがあれば十分である。
箱ごとやジャンル(元ネタ作品)ごとの規模感が分かること -- サークルごとの冊数は細かすぎるので不要である。
3回目の事前相談時のメール文面における内訳の記載は次のような感じになった。
3. 受入可能の旨の連絡が来たら申込と発送を行う
事前相談の内容が問題なければ受入可能の旨の連絡が来るはずである。ここまで来てようやくかんたん買取フォームから申し込み、着払いゆうパックで発送できる。計数しておいた買取希望商品数はこのフォームで入力することになる。あとは通常のかんたん買取と同様だが、各箱には個口番号を 1/10, 2/10, …, 10/10 のように書くのを忘れないこと。
実際の売却
3回に発送を分けた売却の合計は26箱、5043点だった。内訳と日数は次のとおり:
1回目 -- 8箱、1612点、事前相談開始から発送まで22日(うち2週間は私の応答が滞った期間)、到着から送金完了まで10日
2回目 -- 10箱、1973点、事前相談開始から発送まで9日、到着から送金完了まで13日
3回目 -- 8箱、1458点、事前相談開始から発送まで7日、到着から送金完了まで10日
買取金額の記載は避けたが、各回とも1500円/箱の基準は余裕で満たしていた。日数はあくまでも今回のものであり、種々の条件(こちら側の応答速度や内容、買取希望の分量、繁忙期などの時期、etc)によって異なってくると思われるので、参考程度に見ていただきたい。少なくとも、駿河屋側の応答は十分に迅速だったと私は感じている。また、1回目の事前相談では内訳の記載をどのようにすれば受入可能と判断いただけるか分からず、私からの応答が滞ってしまった期間がある。
手元に残したのは4箱で、知り合いに譲ったのは十数冊だった。
所感
最初に処分を相談した際に、知人からは、同人誌は買うのは簡単だが処分するのは大変との旨をいただいており、それを実感する経験になった。駿河屋との事前相談や申込・発送に手間がかかるのはもちろんだが、その前段階の整理整頓と梱包にも時間がかかり、床に同人誌を積んで毎日夜遅くまで作業することになった。元々ある程度のジャンル分けをしていたからまだ良かったものの、もし全く整頓されていなかったら大変なことになっていただろう。
整理整頓中に痛感したのは、読まない本は持っていてもしょうがないということである。一度読んだきり何年も箱に入りっぱなしだった本の多いことといったらなかった。手元に残しておく本のは本当に思い入れのあるものだけに絞り、そうでないものはまた読みたくなったら探して買うくらいのつもりで処分するのがちょうどいいように感じた。
自宅は今回の売却でかなり片付いたが、実家にもかなりの量の同人誌があるので、いつかその処分をする時にも今回の経験を活用できればと思う。