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「夜にしがみついて朝で溶かして」ライナーノーツ、みたいなもの

ことばのおべんきょうをしよう。

1.料理
一人暮らしをするようになって、切り離せない生活の一部になった。自分のための料理。生きるための料理。いつからかスーパーの安売りの日も覚えてしまって結局いつも決まったものを買ってしまう。そう。わたしにとってはこれが料理。いつからだろう、誰かのためにご飯を作らなくなったのは。いつだろう、最後に誰かが私のために作ってくれたご飯をたべたのは。本当に貴方がそばにいてくれるだけで腹も心もふくれるんだよな〜〜「ごちそうさま、おいしかった」って誰に対してもちゃんと言葉にしようと思った。(わたしに対してもね。)

2.ポリコ
最近、正しいも倫理的にアウトなことも平等も差別も好きも嫌いも何もかも分からない。よごれを綺麗にして、はみだす人を釘打ってグラウンド整備するみたいに平らにならして、。正しさの先を曲がったってまたそこには曲がり角があるのに、また正しさを探して曲がり続けるわたしたち。昔から言葉は変化し続けているし、今よりもっと自由に表現できなかった時代もある。だけどふと疑問に思う。いま向かっている先はどこなのだろう。言葉はどこにたどりつくのだろうか。

3.二人の間
初めてこの曲を聞いたとき、音以上気持ち未満のちょうどよい相槌ってなんだ〜〜と思った記憶がある。ダイアンのお二人が話しているところをみて妙にこの表現に納得してしまった。わたしにもこんな風にテンポの合う友達が居て、第三者の友達曰く、私たちの会話は一生聞いていられるらしい。多分自分たちでは分からないけれど、確かに言葉にならないそんな感じの「間」があるのかもしれない。大切だ〜

4.四季
まず一言。年中無休で生きててえらいー!わたしたち!疲れるけどしょうがねー!なんてったって無休だもの。生きることってどこの会社よりもブラック気質だ。

「少しエロい」春
「いつでも優しい」夏
「それはダサい」秋
「あれは恥ずかしい」冬

人によって季節のイメージってバラバラだから、この枕詞も100人いたら100通りあるんじゃないかなっと勝手に思った。にしても、尾崎さんにとって夏がいつでも優しい思い出なのはとても性癖に刺さるなあ。(キモイ。)暑さや桜や花粉や雪と一緒に、いろんな感情を運んできてくれるそんな四季のある温暖湿潤気候ラヴいです。日本最高!

5.愛す
MVの癖たるや。天才にしか分からない世界なのだなと悟って曲に集中する。逆にもうブスとしか言えないくらい愛しい。こんっな不器用な愛情表現あるんだ、。いや逆ってなんやねん。ブス言うな。ツッコミ担当だったら確実にこう言うだろう。一周回ってもはや可愛いまであるけど、いやこれに関しては一周回るってなんだ。だけどわたしも恥ずかしくて好きな人にカッコいいとか好きだよとか伝えることが苦手だから、気持ちはちょっとだけわかる気がする。ちょっとだけ。ブスなんて思ってなくても言っちゃダメなんだから。

6.しょうもな
愛情の裏返しとか流行らないからもうやめてよって自分で言っちゃってるよ、おつかれ、愛す。。笑
「言葉」はただの砂場みたいで落ち葉のような遊びだって言う歌詞に反して、そんな言葉の遊び方を間違えるお前に世間に用があんだよってグサリと急所を少しずらして刺された気持ちになった。いろんな言葉が飛び交うのなら、せめて私から出ていく言葉だけでもしょうもなくないものでありたい、そう思って私は文章を書いている。

7.一生に一度愛してるよ
バンドには変化しないことを恋人には変化することを求める難しい女性心理が描かれているこの曲。尾崎さん実はじょ、、辞めておきます。ポリコなので。でもこんなに共感できる歌詞が書けるのは純粋にすごいです。わかる〜てなる。
変わらないものなんてないし自分だって変わっているのに、相手にはずっと同じでいて欲しいと思ってしまう。同じなら同じできっと変わって欲しいと思ってしまうんだろう。だけど結局いつも、初めてみたいにドキドキさせてほしいんだ。

8.ニガツノナミダ
CMで使われる開始30秒は真面目に生きたから余生は楽しみたいって、言ったそばからリズムで遊ぶのが本当に好き。明日朝が早いときほど寝なきゃ寝なきゃで眠れないとかそう言うこと?と思って聞いていた。(違うかも)しばられるなにしばられて、結局欲しいのは他人の評価でも、それはそれで悪くないからここはここ。と言ってくれて何人の人が救われただろうか。ひとりで生きている人はいないからみんな他人に褒められたいよー!それでもいいんだよー!すごく正直でイイ。

9.ナイトオンザプラネット
わたしは本当にこの曲に溶けてしまった。新しいクリープハイプのようなずっとかわらないような。分からないけど、全部をひっくるめて好きだなあと思った。新しいことをやるっていうのは恥かしいことなので。という言葉はあまり分からなかった。わたしは変化を求めずずっとおんなじ方が恥ずかしい気がする。照れ隠しだと思うけど。その前に恥ずかしいのも大事だなと思ったというコメントもあったので結局これからも恥ずかしいこと(新しいこと)をたくさんしてくれるんだろうな〜これからのクリープハイプもずっととても楽しみです。

10.しらす
実家で飼っている猫がつぶらな瞳ですごくアピールしてくる。にゃー。(エサくれー。)っと。僕らも猫もお腹はすくね。人間に生まれてよかったな〜と思う瞬間はやっぱり「いただきます」と「ごちそうさまでした」をちゃんと言えること。美味しいご飯とあったかいお風呂と安心して眠れる布団があるだけで私たちは充分幸せだ。隣に猫と好きな人がいたらなおさらね。

11.なんか出てきちゃってる
なんか出てきちゃってる、ネジが。なんか出てきちゃってる、思ってることが。なんか出てきちゃってる、言葉が。友達とかに相談されて、わたしならこうするって言うことも、いざ自分がするってなるともう一回考え直すことってある気がするな〜と思った。友達にならネジなんてぬいちゃえよって言えるのに変なの。やっぱりみんな自分が一番可愛いや。知らんけど。

12.キケンナアソビ
イントロと題名でもう怪しい。わたしはこれまで20年そこらしか生きていないけれど、これだけはわかる。身体だけの関係ってどちらかの気持ちがないと成り立たないということ。色んな理由で付き合わないという選択をして、それでも都合の良い関係を続ける理由はもうそれしかないでしょ。それは男も女もおんなじで、みんなカッコつけて自分に嘘をついて都合の良い男や女を演じるのが上手くなる。素直になるのってこんなに難しかったっけ。大人になると好きってたった2文字も言えなくなるみたいだ。

13.モノマネ
愛はなんだという映画で、私はマモちゃんになりたい。と主人公のテルちゃんが言っていたのを思い出した。おんなじシャンプーを使っておんなじテレビを見て笑っておんなじキーホルダーをつけていても、気持ちまでおんなじとは限らない。恋人との間の埋まらないものがたくさんあることに気付かされる。あなたのモノマネばっかりしていても全然似ていないし、あなたの心や思いには気づけていなかったんだなあ。ちゃんと見てないのはひょっとしたら私だったのかも。

14.幽霊失格
歌詞解説を読んでしまった。深いという言葉で片付けるのはもったいないくらい切なく、儚く、そして未練がましい歌だった。恋人じゃなくなって、頭の片隅にもいなくなってしまうよりは、恨まれても嫌われてもいいからあなたのなかに生き続けたいと願うわたしは人間失格だ。ちなみにそう言わせるあなたも幽霊失格だよ。だからわたしはいつまでも前に進めないんだ。もしこの幽霊が比喩表現じゃないのならとてつもなく切ない。この秀逸な歌詞がとても優しいコード進行に乗って私たちの心にす〜っと入ってくる感覚がとても心地よかった。未練がましいというと悪く聞こえるけど、誰かを思うって本当に素敵なことですよね。

15.こんなに悲しいのに腹が減る
右向け右と言われたら右を向くし、はみ出さないように列を乱さないようにみんなに合わせるし、目に見えない恐怖に襲われて、もはや何を恐れているのかもわからないし。そんな世知辛い世の中だけど、どんなときでもお腹はすく、情けないくらいに。結局わたしたちはそんな世の中でも生きていたいと思っている。人間ってそういうもんだよね。まあご飯でも食べようか。と出来立ての料理を目の前に出してもらった気持ちになった。そしてわたしはまたこのアルバムを一曲目から聴きなおしてしまったのだった。

クリープハイプの
「夜にしがみついて朝で溶かして」という
アルバムのライナーノーツを書いてみた。
実はこの企画を知ったときから、ずっと記事は書いていて何度も下書きを行き来していた。正直公開するか悩んだ。私なんかが、、という気持ちと恥ずかしい気持ちがぐるぐるしていて。だけどわたしも、恥ずかしい気持ちを大事にしていきたいと思って公開することを決めた。少しでもこの記事がたくさんの人に届いてくれると嬉しい。

最後に一言だけ。
クリープハイプ最高だ〜〜!ありがとうございます。

それではまた。

mar.

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