見出し画像

たっぷり前振りおじさん

今日は婚活パーティーで出会った、とある男性について書きたいと思う。
思い返せば会費は7000円と高かった。食事やドリンク、景品付きのゲームもあったので仕方なかったのかもしれない。
男女合わせて60人ほどがレストランに集まり、パーティーは始まった。


フリータイムでお世話役のスタッフさんに、
「あの男性が話したがっているので話してあげてほしい」と呼ばれた。
なるほど、真面目で大人しそうな年上の彼は、とても自分からは話しかけられない様子だった。
今回と同じ企画会社の婚活パーティーの常連らしい。
スタッフ側としても、少しでもカップル成立の確率が上がる方が良いはずだ。
スタッフさんを挟み3人で少し話したが、会話は特に盛り上がらなかった。
しかし、スタッフさんのすすめもあり連絡先を教えた。
私はその日特に気に入った男性はおらず、カップル投票でも誰にも投票せず帰宅した。

翌日から連絡先を教えた彼からメッセージのやりとりが少しずつ始まった。
私は不慣れな場でとても疲れたことや、誰のこともあまり良いと思えず誰にも投票していないことなどを正直に伝えた。
メッセージのやりとりの頻度も少ないので特に気に留めていなかったが、パーティーから一か月くらい経った頃、ファミレスでお茶しようということになった。

彼の話で印象的だったのは、男性陣はパーティーが始まる前に早く集合させられて、「その日のパーティー上でのカップル成立や連絡先を交換できたくらいでは付き合えると決して勘違いしてはいけない」と企画スタッフに散々言い聞かせられるらしい。
彼はそこまで念押しされなくても分かっているのにと笑っていた。
私もそんな裏話があったのかと笑った。

事実、婚活の場で女性の方が話しかけられたり、連絡先を聞かれる機会は多いだろう。
男性が待ちの姿勢でモテるということはかなりレアなケースだと思う。
その分勘違いしてしまいやすいのではないだろうか。
それはパーティーに参加する女性にとって、とてもありがたい説明だと思った。
運営スタッフさんナイス!

他にも頑張って話してくれたこともあったのだが、彼のズボンの前後に付いた汚いシミが嫌すぎて適当に理由をつけて早めに帰宅した。
初めは前面だけに汚れを発見し、ただ、水で変色しているだけだと願ったが、後面もであった。
なぜそこまでの汚れに気付かない?
お友達だとしても嫌だと思った。

そこからなぜか急に怒涛の鬼LINEが始まった。
以前の、一日に1ラリーあるかないか、決して毎日ではないゆるいやりとりとはうって変わっての長文の塊が5通届く。何とか読んでもどれから答えて良いか分からず返信出来ないでいるとまた届く。
確かに清潔面が残念でもう会いたくないとは思ったが、LINEをいきなり無視するつもりはなかった。
呆気に取られ結果的に返信出来ないことが続き、私は軽くノイローゼのようになってしまった。LINE開きたくない…
ほぼ返信出来なかったが部分的には何とか返信したものもあった。
食事したいから予定を教えてくれと言われ、予定が詰まっているので行けないと答えると月初めには職場のシフトを提出してくれと言われた。

怖い…
これもう付き合ってることになってるの??
仮に私も好きな相手だとしてもシフト提出するの嫌だ。
しかも私の職場はシフト制じゃない。
彼が交代勤務だからこういう発想になるのか…

?で聞かれていて返せるものには返したが本当に恐怖でブロックしても仕方ないよなと思っていたある日、

「僕はえりあさんが好きなんですよね!付き合いたいんです!友達じゃ嫌なんです!でももういいです!さようなら」

というメッセージが来た。私は、良かった、勝手に付き合ってるとは思われていなかったんだと安心し、

「男性陣はパーティーが始まる前に早く集合させられて、『その日のパーティー上でのカップル成立や連絡先を交換できたくらいでは付き合えると決して勘違いしてはいけない』と企画スタッフに散々言い聞かせられる話」
を思い出していた。

二人でその話をしながら笑っていたのに。
それを言ってくるということは俺はわきまえてるよという意味じゃなかったんかい。
たっぷり前振りしてくれるやん、と思った。