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二人だけの秘境

カヤックをそっと岸辺に寄せ、ウサギとカメは手を取り合って、亜熱帯の森の奥深くへ歩き始めた。木々の間から漏れる柔らかな日差しが二人の道を照らし、根が絡まる小道を進むと、まるで大自然に導かれるようだった。森の中は静かで、時折小鳥のさえずりや遠くの川のせせらぎが聞こえていた。

突然、視界が開け、息をのむような荘厳な滝が現れた。轟音と共に降り注ぐ水しぶきが二人に降りかかる中、ウサギはその美しさに一瞬言葉を失いながら、「ここはまるで夢の世界のようね」と囁いた。カメは優しく彼女の肩に手を置き、「ウサギさんがいるから、僕にはさらに輝いて見えるよ」と微笑んだ。

都会の喧騒から離れたこの島では、時間がゆっくりと流れる。すべてが純粋な輝きを放ち、心を透明に澄ませる。二人は夢の中のような、物語に紛れ込んだかのような感覚を覚えていた。この場所を離れることができずに、二人はただ静かに息を潜めていた。
そして、夕日が森をオレンジ色に染めると、二人はその美しさにただただ魅了され、言葉もなく手を繋いでいた。

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