テンションノートについて
テンションというのはコードにかける調味料のようなもの、と生徒にはいつも説明しています。
例えば「うどん」を食べる時には七味、ネギ、とかを入れますよね?
ネギ味のうどんではなく七味風味のうどんではないですよね?
寿司を食べる時に醤油をつけますよね?
でも醤油味の寿司ではないですよね?
でも寿司を食べたことのない外国の方に「Sushiはこれをかけて食べるんだ」とソースをかけてもおそらく食べたことない人は食べていまいます。
日本人は100%に近い確率で食べないと思いますが。
大切はことは「これにはこの調味料」というのを考えずに味として記憶すること、です。
テンションノートも同じで、その調味料に名前が付いているだけ、です。
どうして塩っていうんだ?とか胡椒ってどれだ?とか悩まないですよね?
M7やm7はそれ自体が味を持っています。
調味料無しでも食べられる。
でも調味料をかけても美味しい。
7thはそれ自体が味があまりない。
いわば大根のようなもの、と言えばわかりますか?
なので調理法や他のものと組み合わせて味を付ける。
他のものの味に染まりやすい。
なので「いろんなテンション」を使ったり「いろんなスケール」を使ったりすることで味が変わる。
やっとそれ自体が「なくてもならないもの」になれるんです。
例えばフランス料理のフルコースを食べてる時に醤油味の何かが出てきたらどう思いますか?
フランス料理に慣れてる人は、?と思うでしょうが慣れていない人はなんとも思わず食べると思います。
料亭にいって食べる時に(そういう時がある人のほうが少ないかもしれませんが)オリーブオイルを使った料理が出てきたら慣れた人は「なんじゃこりゃ」と思うけどそうでない人はただ「美味しいね」と思って食べてしまう。
これは料理人が上手いわけであって、気がつかないのはそれに慣れていない、ということだと思うんです。
普段みなさんの聴いてる音楽には多少の差はあれどテンションなりスケールという調味料がかかっています。
オーソドックスな調味料もあればややアヴァンギャルドな調味料もある。
それに気付くか気付かないか?はその人の味覚次第です。
今の若い人たちは「塩味」や「甘味」がどんなものなのか?すごく鈍感な気がします。
彼等は最初から「味を付けられたもの」に慣れてしまっている。
だから調味料がかかった味をその食材の味だと思ってしまう。
これは料理を作る側である「母親」の責任です。
ファーストフードばかり生まれた時から食べさせる母親に育てられた子は不幸です。
味覚的には。
他はどうかわかりませんが。
それでも幸せということがあってもいいですが、料理人にはなれないでしょう。
音楽でいうなら今のミュージシャンの責任なのかもしれません。がミュージシャンは「美味しい音楽を作る」のが仕事であってわかりやすいとかでは作らない。
そこには説明が必要なんですよ。
料理人の子どもは料理人になる、というのは「正しい味覚を育てられるから」です。
今の音楽はテンションが使われているのにそうあまり感じない。
それはそれに慣れてしまっているから、です。
昔の唱歌とJ-POPとの違いはそこにあります。
J-POPはメロディを「テンションありき」で作っているのです。
母親が唱歌を歌って育てられた人は今のPOPSにきちんと「何か違うもの」を感じとるでしょう。
でもそうでない人は...。
料理と同じです。
大人になってから、はものを食べる時に「何が含まれているか?」をみてから食べる。
これだけでずいぶん違います。
音楽なら「譜面を見ながら曲を聴く」ということ、です。
譜面は音楽の設計図です。
設計図がわからない建築士はいません。
わからなくていいのは普通の人です。
確かに音楽は譜面なんか関係ないかもしれません。
でもそれは聴くだけの人はそれでいい。
ここのラーメンは美味しい、それだけでいい。
でも同じラーメン屋になりたい人はそれではいけない。
「ここなラーメンはなぜ美味いのか?」さらには「なぜ自分のラーメンは不味いのか?」という理由を考えながら食べないといけません。
それがモノを作ること、だと思います。
もちろんそんなことは考えなくても美味いラーメンを作れる人もいる。
それはそれでいいじゃありませんか?
それが「天才」という人です。
今ソフトバンクの監督の工藤さんは小学生の頃すでにカーブが曲げられたと言います。
でも彼はそれをさらに完璧なぜものにするための努力を惜しまなかった。
だから彼は工藤公康になれた。
音楽も同じです。
持って生まれたもの×本人の努力=今の自分としたら、持って生まれたものがあまりないと思うなら努力をしなければいけない、ということです。
私の理論の授業では、それを「音で聴かせて」これはこういう風になっている、という説明をしています。
するとだいたいの生徒はわかってくれますが、そうではない場合はわかりづらいかもしれませんね。
何かを食べさせて「これはこういうものからできていて、調味料はこういうのがかかっている」と説明してはじめて理解してもらえるんですから。
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