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【MTG】コルヴォルド入りジャンド城塞でStandard Challengeを優勝した話。【スタンダード】

0.前書き

先日、MO内で毎週末に開催されているトーナメント、Standard Challenegeにおいてジャンド城塞(以下ジャンド)を使用し、優勝という成績を収めることができた。

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参加者62人という小規模のトーナメントながら、各国のグラインダーやPT権利持ちが多数参加する大会で予選6-0から全勝での優勝という経験はMTG人生で初めてで、素直に嬉しかった。
また同デッキタイプの構成としては少し珍しいものだったこともあってか、国内外からそこそこの反応を頂いた。

ということで、今回の記事では僕がジャンドを選ぶに至った経緯と、それまでの環境考察などを書いていければと思う。
自分のオリジナルデッキというわけでもないのでいつもよりボリュームは少なくなるかもしれないが、追記の有料部分ではボーナストラックとして現環境での各マッチアップのサイドボードやプランニングを解説していくつもりだ。記事を読んで少しでも興味を持った方は購入やサポートで応援していただけると嬉しい。(大部分は無料で読めるのでそうでない方も最後まで読んでくれると嬉しい)

現在のスタンダード環境は多岐に渡る。連日のオンライン大会の影響で一度解明されたと思われても次々と新しいデッキが登場し、1週間前までトップメタだったデッキや構成が今では時代遅れということも珍しくない。
ゆえに今回の記事も鮮度が短いものになってしまうかもしれないが、次のアリーナPTが現環境のスタンダードで行われるということで同大会に参加する方々や週末のオンライン大会に出る方の参考に少しでもなれば幸いだ。
(5/28追記。とか言っていたら、この記事を書いている途中でスタンダードの禁止改訂と相棒システムの変更を告知するアナウンスがあった。ウィザーズは最高の企業。とはいえ100%禁止や相棒システムの影響を受けないデッキタイプであることは間違いないので気にせず読み進めてほしい)

また、当記事は現在のスタンダード環境やジャンドというデッキタイプをある程度理解している方向けのものになってしまうことはご容赦頂きたい。
具体的には「何故エンド前にかまどで猫を戻してはいけないのか」とか「何故フェッチを安易に切ってはいけないのか」のような基本的なセオリーに関することは極力省略するつもりだ。
その辺りの小テクについては元々のデッキ製作者でもありジャンドというデッキ自体に造詣が深い市川ユウキ氏の配信やnoteが大いに参考になったので、そちらをサブスクなり購入してくれればと思う(ダイマ)
note記事の方のリストは前環境のものだが大枠はあまり変わらない(何せイコリアの新カードが一枚しか入っていない)ので、吸収できることは多いはずだ。


ということで前置きはこれくらいにして、本題に入ろう。

1.事の始まり

2020年3月、MOPTQで準優勝したことで、夢にまで見たPT権利を得たSWD。

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しかし当初5月に予定されていたPT#2は現在の情勢を顧み延期、また4月のミシック1200位以内に入れなかったことでMCQの権利も無しと当分スタンダードをプレイする理由はないように思っていた。
明確な目標を失うと途端にサボりだすのが人間という生き物の性だ。何かしらの発表があるまでは、そして発表があれば充分な練習期間は用意できるだろうと考え、安心しリミテッドやモダンを遊んでいた最中事態は急加速する。

突然の発表

そこには2020年開催のイベントを全てオンラインに移行させること、僕が権利を持っているPT#2もそれに従うこと、そして次回のテーブルトップイベントが未定なことから権利の繰り越しは認められないことなどが書かれていた。
PT#2の開催は6月。フォーマットはスタンダードのみ。あまりにも唐突な発表にいつものウィザーズだなあと呆れる暇もなく、突如としてスタンダードに着手しなければならなくなった自分は「相棒」となるデッキ探しを始めた。

2.「相棒」を求めて

その時点で経験のあったデッキは主に3つ。
ティムールクローバー、ボロス(ジェスカイ)サイクリング、そしてマルドゥナイトだ。

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サンプルデッキ

ティムールクローバーは軽いパーマネントが多いことで《エルズペス、死に打ち勝つ》や《裏切りの工作員》を苦にせず《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキに対し優位に立てるという触れ込みで再興したデッキだ。
前環境から慣れているデッキということで感触も良かったのだが、回数を重ねるにつれ有利とされている《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキにもそこまで勝率が伸ばせないことが分かってきた。

対ヨーリオンは《幸運のクローバー》《豆の木の巨人》の2枚コンボが決められるかどうかの一点に尽き、サブプランである出来事生物によるビートダウンは豊富な全体除去や《銅纏いののけ者、ルーカ》からの《裏切りの工作員》の前ではほぼ完遂しない。
また相棒によりゲーム開始時点でリソース差がついているのも見過ごせない。以前までは対コントロールは《エッジウォールの亭主》《僻境からの脱出》でアドバンテージ差をつけ相手の息切れを待てば良かったが《空を放浪するもの、ヨーリオン》による各種《お告げ》使い回しがそれも許さない。
結果的にティムールクローバーはマリガン基準が厳しい上、個々のカードパワーに欠ける《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキの下位互換という結論となった。このデッキは没だ。

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サンプルデッキその2

次に注目したのはボロス(ジェスカイ)サイクリングだ。
このデッキもまた、初速が早いアグロということで《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキに対して有利とされていたが1t目に《繁栄の狐》を出せるかにかなり依存し、やはりマリガン基準の厳しさが目立つ。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキは前述の通り全体除去があるため横並びでの勝利は見込みづらく、序盤からダメージを稼ぐことが重要だ。
全試合でオープンハンドから《繁栄の狐》をドロップできれば優勝できるポテンシャルはあるが、自分がそれをできるとは思わなかった。

青を足してジェスカイにすれば《型破りな協力》分キープ基準が増え、サイドにカウンターを取れることから全体除去への体制も上がるかと思ったが、今度は土地周りの不便さが目に付くようになった。
1マナでサイクリングを繰り返す都合上タップインは極力したくないため、複数回ショックランドでダメージを食らわなければいけないことも多々でアグロ同系を落としやすくなってしまう。
またこの頃には《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキの《サメ台風》や《太陽の神のお告げ》が標準搭載になっていたのも向かい風だ。
インスタントタイミングで登場するトークンはこちらの攻撃が通りづらくなり時間を稼がれてしまう上、そちらにカウンターを撃っていると今度は返しの全体除去が刺さってしまう。
《サメ台風》に至ってはそもそもカウンターできず、カウンターを構えたことによる裏目も大きかったりととにかく動きづらい。
しかし青を諦めると明確にサイドボード後が弱くなるのも事実でままならない。このデッキは没だ。

ここまで読んで気付いた読者もいるかもしれない。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》強すぎない……???

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スタンダード最強の相棒

ただ、個人的にはこの時点でジェスカイルーカやバントヨーリオン含む《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキを使用することは半ば諦めていた。
コントロールに不慣れなこともあり、長丁場のイベントで歴戦の猛者相手に同系戦のロングゲームを制することができる気がしなかったからだ。
プレイ経験の少なさからベストデッキを選択できないこと程勿体ないことは無いが、プレイヤーとして明確に格下であり練習時間も多く取れない自分がPTに参加するにあたって、周りと同じアプローチをしたところで経験やプランニングの差で勝てないことは自明の理だ。

特にジェスカイルーカは様々な配信を見ていてメインボードに《創案の火》を採用する以上カウンターが採りづらいことや、《裏切りの工作員》で土地を奪われる関係でミラーの先手後手を覆すのは厳しいと感じ早々に見切りをつけた。
その中でも同系戦を意識しカウンターを多めに積んだバントには可能性を感じたものの、こちらもプレイの選択肢の多さや80枚デッキ特有のムラの多さが好みでなく、結局手をつけず仕舞いだった。

そんな中、最後に触ったデッキはマルドゥナイトだ。

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サンプルデッキその3

1マナ域12枚、それも赤単よりパワフルな布陣で序盤からライフを削りにいけ《夢の巣のルールス》《一心同体》の分全体除去に体制がある。明確に《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキに対して有利と言える構成だった。
また《立派な騎士》による横並びと《黒槍の模範》により、雑多なアグロに対し高い勝率を維持していたことも評価できる。長丁場のトーナメントを想定するなら、所謂「地雷」デッキに対しての体制はあるに越したことはない。
最初はマナベースのヤバさから侮っていたが実質《手つかずの領土》な《試合場》が偉く、想像より不満なく回すことができた。生物以外のスペルが撃ちづらい問題はあったが、最初にコピーしたリストから赤いカードを減らし、白黒ベースの土地構成に変えたことである程度改善した。

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スタンに残されていた5色土地(?)

実際に上記のリストで勝率8割近くを維持し、停滞していたアリーナのランクも早い段階でミシックに上げることに成功。

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このまま環境が変わらなければ概ね同デッキを使う予定だったが、同時期に開催された大型大会、Redbull Untappdの結果を受け事態は急変する。

3.相棒不要論

参加費無料にも関わらず上位に賞金アリ、優勝には同大会のFinalsの権利アリと何とも大盤振る舞いな今大会は二日制のハードスケジュールながら参加者2300人越え。さながらオンラインGPかのようなハイレベルな大会で、自分も結果を興味深く観察していた。
優勝こそ青白コントロールに譲ったものの、TOP8の中で一際異彩を放っていたのが日本のトッププロの一人、市川ユウキ氏謹製のジャンド城塞だ。

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Redbull Untapped TOP4
jund citadel

《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》+《パンくずの道標》という前環境から存在する強力なシナジーに《ボーラスの城塞》という一枚で勝てる必殺技を加えた上記のリストは、相棒不在によるハンデを感じさせない動きを見せ見事Top4へ。一躍、非相棒デッキの最右翼として躍り出た。
ティムールクローバーの項でも述べたように《エルズペス、死に打ち勝つ》が当たりづらく《裏切りの工作員》で奪われても問題ないパーマネントで固められた構成はそれだけで《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキに対しアドバンテージがある。更には《波乱の悪魔》によるアグロ体制あり、《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》や《金のガチョウ》+《パンくずの道標》など複数のブン回りパターンありとトップメタの条件を全て満たしているように感じた。

1枚積みの《移動経路》など細部の調整も光る同リストに心を奪われた私は、一転ジャンドの調整に時間を費やすことに決めた。マルドゥを使用していて、このデッキに勝てる気がしなかったというのも理由の一つだ。

4.デッキの課題点

早速上記のリストを75枚コピーし、ArenaとMOで合計15マッチほどジャンドをプレイした。
幸い前環境からの経験である程度ジャンドに対する知識があったことからキープ基準やコンボの際の挙動などスタートダッシュで躓くことは無かったものの、大型大会で結果を残した直後ということもあり所謂「分からん殺し」ができることは少なく徐々に勝率が収束していった。
調整の途中感じたデッキの課題点は主に3つだ。

1.相手視点でメインサイドを通して非クリーチャー呪文に対するカウンターを入れることに裏目が無いこと。
2.城塞に頼り切ったゲームプランはライフに依存すること。
3.《初子さらい》《波乱の悪魔》で触りづらい生物の対処。

1は青白コンやティムール再生などの青いデッキとのマッチで感じたことだ。
元々生物が入っていた枠が《ボーラスの城塞》という重い非クリーチャー呪文に変わっていること、そしてこちらのエンジンが《魔女のかまど》《パンくずの道標》に依存していることから、相手から見て本来死に札になりやすいはずの《否認》《ドビンの拒否権》のようなカードが有効に働いてしまうのだ。
勿論《ボーラスの城塞》以外の2枚はその軽さから対処されづらいものの、後手番や後引きする展開では上記がクリティカルに刺さってしまい、全体除去と合わせてリソースを枯らされる展開が負け筋となる。

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一貫性

そして2に関して。これは対アグロに限らず、青白コンの構成の変化でも感じたことだ。
Redbull Untapped以降、青白コンは同系を意識した結果《エルズペス、死に打ち勝つ》などの重めのアクションを減らし軽いカウンターや《厚かましい借り手》《サメ台風》を増やしたクロックパーミッション色が強いリストが一般的になっていた。

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MCQ10勝のkumazemi氏のリスト

少しでも隙を見せると2種の瞬速持ち飛行がライフを削ってくるため、《ボーラスの城塞》を通せたところでライフが足りないこともしばしば。1と合わせ、青白というデッキタイプに対しての優位性は依然と比べ減っているように感じた。


そして最後に3について。
これはMCQやRedbull Untappedを経て、グルールウモーリや白単オーラなどの新デッキが登場し感じたことだ。

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Redbull Untapped Top4 グルールウモーリ

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MO Challenge Top8 白単オーラ

特にグルールウモーリは《探索する獣》を筆頭にタフネス4の回避能力持ちが多数入っているため《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》で時間稼ぎすることもままならない。またサイドボードの《焦熱の竜火》《虐殺少女》も面ではなく点で攻めてくるこれらのデッキに対して有効とは言えず、生物ベースのデッキながら体感ではかなり不利に思えた。



周りのリストが日々進化していく中、入賞時と同じ構成でデッキを回し続けることに限界を感じていたところであるカードの存在を思い出す。

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通称:オリカドラゴン

それこそが《フェイに呪われた王、コルヴォルド》だ。前環境でジャンドを使い使われた経験から、このカードの強さは嫌というほど知っている。
このカードを複数採ってサブプランとすることで《否認》系のカウンターに裏目を作ることができるし、ソーサリーのアクションで対処された返しに《ボーラスの城塞》を通すようなゲーム展開も想像できる。またそのスタッツの高さから相手の飛行持ちやデカブツを止める壁役としての役割もある程度期待できる上《ボーラスの城塞》を減らしたいマッチでのフィニッシャーとしても優秀だ。
環境に《エルズペス、死に打ち勝つ》《霊気の疾風》などの苦手なカードが減りつつあることも追い風。足りないピースがハマった感覚があった。

5.現在のリスト

そして上記のフィードバックを受け、細部を調整したのが現在のリストだ。

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このリストでMOリーグ5-0、Challengeを9-0優勝している他、翌日開催されたStandard Challengeでも別のプレイヤーが75枚同じリスト(おそらく自分の完コピ)で予選6-1から優勝している。
参考:(https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/standard-challenge-2020-05-25)

あくまで2大会だけの結果ではあるものの、少なくとも今週末の勝ち組であったことは疑いようもないだろう。
大枠の部分は元となったリストと変わらないため、特筆すべき点のみ挙げていく。

・メインボード

メインはマナベースやスペルの比率含め元のリストの完成度が非常に高いため、仮想敵となる《空を放浪するもの、ヨーリオン》にイマイチな《初子さらい》を1枚サイドに移しただけで59枚同じだ。
《忘れられた神々の僧侶》はトークンが横並びする相手やそもそも相手から生物を展開してこないマッチで弱くサイドアウト率の高いカードだが、カウンターやアーティファクト破壊が少ないメイン戦においてはマナ加速からの《ボーラスの城塞》設置が一貫性の高い勝ちパターンとなるため4枚から動かそうと思ったことはない。

・サイドボード

反面、サイドボードには大幅な変更を加えた。
主に増えてきた同系や明確な不利マッチであるティムール再生を意識した構成だ。それぞれ採用理由を書いていく。

《エンバレスの盾割り》×2→《燃えがら蔦》×2
同系の《魔女のかまど》や青白系の《ガラスの棺》を1マナで割れることは評価できるが、2/1のボディに殆ど価値がないため所詮はカード1枚分の働きしかしない。
現環境には《荒野の再生》筆頭に放置できない置物が多く存在するため取りこぼさない意味でも《燃えがら蔦》は4枚採用することにした。

《虐殺少女》×2→《フェイに呪われた王、コルヴォルド》×2
単純に横並びに対しては《波乱の悪魔》で事足りている上、現環境のアグロは面より点で攻めてくる構成が多い(ルールスオーラ、変容など)ため《虐殺少女》は特に必要性を感じなかった。
攻防両方のゲームプランで活躍し、相手のカウンターやディッチャをかわしやすくなる《フェイに呪われた王、コルヴォルド》はこのデッキのサブプランとして最高だ。

《焦熱の竜火》×3→《初子さらい》×1《溶岩コイル》×2

課題点で上げた、タフネス4以上に触りづらい問題から追加の除去枠は《溶岩コイル》に変更。《エンバレスの宝剣》無き今、除去が必ずしもインスタントである必要はない。
《焦熱の竜火》が優れているのは同系の《大釜の使い魔》を追放できる可能性があることだが、上手いプレイヤーはちゃんとケアしてくるしそもそも同系は結局《波乱の悪魔》が残るかどうかの勝負なのでそこを除去できるカードなら何でもいい。

6.大会レポート

赤単オボシュ先手〇〇
ミラー後手×〇〇
ミラー後手〇×〇
ジェスカイルーカ先手×〇〇
ミラー先手×〇〇
セレズニアオーラ後手〇〇
SE
ミラー先手×〇〇
ボロスサイクリング〇〇
ティムール再生×〇〇
で優勝。

9回戦を通して4回もミラーと当たったがその全てで競り勝てたのは《フェイに呪われた王、コルヴォルド》の存在が大きかった。《フェイに呪われた王、コルヴォルド》はその他にも赤単やボロスサイクリングのようなアグロは勿論、ティムール再生のようなゲームを長引かせたくないマッチでも有効でサイドイン率、ゲームへの貢献度が共に高かった。久しぶりにデッキ勝ちできたなという感想だ。

大会中、いくつか印象的だった場面を抜粋する。

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2回戦のミラーマッチの3本目。相手は先手7枚キープ、こちらは後手1マリガン後のハンド。最低限の除去と色マナはあるものの足りないパーツが多く、ここから勝てる未来は見えない。躊躇なくダブマリ。

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ダブマリ後、緑マナこそないものの《魔女のかまど》が引ければ回りそうなハンド。最悪土地さえ引ければ《悲哀の徘徊者》の占術で探しに行けるため、5枚の中ではマシな方だろう。重いパーマネント2枚をボトムに送りキープした結果、相手が2マナでストップしているうちに緑マナと《魔女のかまど》を引き、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》でリソース差を回復し勝利できた。
デッキの性質上《パンくずの道標》のシステムさえ完成すればマリガン分のリソースはすぐに回復できる上、ロンドンマリガンのおかげで特定のパーツを揃えやすい。勝ち筋が見えないぼんやりしたハンドは極力マリガンした方が良い。


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3回戦のミラーマッチの2本目。お互い手札差はイーブンだが相手の場には《波乱の悪魔》が2体、こちらには1体と不利な状況。

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だがここで相手がメインで《忘れられた神々の僧侶》の能力を起動したことで状況が変わる。

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詳細は省くが相手のスタックに対して後出しジャンケンをし続けた結果、お互いの場が崩壊。両者に《波乱の悪魔》が並んでいる状態ではアクティブプレイヤーからスタックが乗るため、先に非アクティブプレイヤーからダメージを解決させることができる。《波乱の悪魔》ミラーでは、間違っても自分のターンに動いてはいけない。(なおこのゲームは普通に城塞が間に合わず負け)

決勝戦、ティムール再生とのメイン戦。
《荒野の再生》×2からX9のサメトークンを出され《ヴァントレス城》の占術は上と絶望的な状況。
しかしトップデッキは《波乱の悪魔》。

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この場面、《悲哀の徘徊者》で殴ってライフ5→《魔女のかまど》で《金のガチョウ》をサクって4→《金のガチョウ》で食物からマナを生み3→《魔女のかまど》で《金のガチョウ》サクって2→2マナから食物をサクって1→《悲哀の徘徊者》で《波乱の悪魔》をサクるという流れなら実はピッタリ削り切れていたのだが、どういうわけかリーサルを見逃しターンを返してしまう。当然返しに《発展/発破》で負け。
特にアリーナの場合は1tにかけられる時間が少ないため、リーサル計算の練習が必要という教訓。猛省。

7.終わりに

今回はいつもと趣向を変え、自分がデッキ選択をするにあたっての思考やアプローチを中心に記事を書いてきた。
直前にデッキを回し始めプレイが伴っていなかったにも関わらず、結果を残すことができたのはデッキ選択が良かったということに他ならない。一つのデッキに固執しプレイングを極めようとしていた以前までの自分ではできなかったことだし、成長と言えるだろう。

自分は仕事の休みの都合もあり、6/13~14のどちらかの回に出場する予定なので気が付けばアリーナPTまで2週間ほどしかないことになる。
初めてのPTがオンラインでの参加になってしまうことは複雑だが、今回のようにフラットな目線で立ち位置の良いデッキを選択できるよう万全を期して臨みたいと思う。

記事に書いていないことで、何か個別で質問があればこの記事のコメントか、私のTwitterアカウント(@BWD_shine)にリプライを飛ばしてくれれば可能な限り対応する。また最近は仕事の都合で中々時間が取れていないが、稀にTwitch(twitch.tv/azatoyellow)で配信もしているのでそこでのコメントや質問も大歓迎だ。
また重ね重ねになってしまうが、追記には上記のリストでのサイドボーディング&マッチアップガイドを書いた。デッキに興味を持ってくれた方、記事を楽しんでくれた方は購入やサポートで応援してくれると非常に励みになる。

というわけで、ここまで読んでくれた方はありがとう。
この記事がスタンダードをプレイする貴方の助けになっていれば幸いだ。

8.ボーナストラック~サイドボーディング&マッチアップガイド~

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