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SWAY(ゆらぎ)の空間にあるからこそ意味があるこだわりのアイテム

こんにちは。フォトグラファーの三浦えりです。

今回はSWAYブランドマネージャー梯航生(かけはしこうき)さんからお話を伺う後編。前編では梯さん自身のSWAYに関わったきっかけや、梯さん自身の思想からどうSWAYの店舗が生まれたのかを伺いました。今回は具体的に店内のこだわりの部分やスタッフさんからの声をお届けします。

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梯航生 / SWAYブランドマネージャー
コンセプトデザイナー。ITベンチャー企業の新規事業開発室にてPdM,UXデザインなどに従事後、独立、フリーランスとして活動。分解と構築が趣味。
Instagram:https://www.instagram.com/k_k_koki/
三浦えり / フォトグラファー
雑誌、Webメディアを中心にフォトグラファーとして活動中。旅や地域を中心に執筆&撮影もしています。また、個人の活動として社会課題へ写真で向き合うことに挑戦しています。2020年には表参道ヒルズROCKETにて写真展を開催。将棋とアートが好き。
Twitter:https://twitter.com/eripope
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「あいまいさ」を感じてもらうために細部にまでこだわったSWAYの空間

-- お店作りにあたって内装の全てに理由があると聞きました。あいまいがテーマの「SWAY」とは逆の意味合いになると思うんですけど、なぜそうしたのですか?

梯:混沌と静寂のバランスなんです。たとえば小説を読む時に自然と「行間を読む」という行為をしていますよね。僕らもあらすじがちゃんとある小説のように設計された空間を作ってるんですけど、そこに行間を残してるんですよ。

行間までも全部書いてあるのは本当の意味であいまいさがない。カラーが付き過ぎているんです。

逆に細部まで決めていなかった場合に今度は行間すらないんですよ。小説でいうと文章が成り立ってない状態。グチャグチャの状態だと思っています。それではお客さんがどう受け取っていいか分からなくなってしまうんです。

あくまでも「あいまいさ」というのは余白の部分で感じると思っていて、余白のあるデザインっていうのは、解釈を残してあげる状態ということだと思ってます。

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-- そういうところをお店に落とし込んだんですね。

梯:SWAYの空間はミニマルでシンプルな印象があります。でも、お店って人がいない状態で営業はされない。人ってかなり複雑で情報量が多いので、お店に人が入って結果的にニュートラルな、シンプルと複雑の間の良い塩梅の所に落ち着くと思っています。

空間は無駄なノイズもないし、つまらな過ぎもしない。そこに人が入ってシーシャや煙があって情報量が多いものが合わさったときに初めて良いバランスに着地するんです。SWAYの空間にお客さんとシーシャが合わさったときに、ニュートラルな状態になる。

逆に他のシーシャ屋は模様のあるラグがあったり、いろんな本があったり、複雑な状態にすでになっていて、そこにお客さんが来て、シーシャがあって、より複雑なんですよね。それはそれで良いんですけど、あえてかなりばっさり切って、情報を削ぎ落としてるんです。

ある程度かっちりしてその遊びの部分で「あいまいさ」を感じてもらいたい。集中とリラックスを感じてもらう、ノイズのない状態をつくってそこにノイズが入る状態をつくる。それでいい塩梅なんです。

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--「あいまいさ」を感じてもらうためにしっかり設計してるってことですね。

梯:この内装にあいまいさがないからこそ、自身のなかや相手との関係性のなかであいまいさが際立つのかもしれませんね。

-- あえて対極にしている。

梯:そうです。目立つじゃないですか。人間がこの空間にいると。生活感のなさとかね。生活感があると人間臭さに人間が埋もれちゃうんで。自分のあいまいさが際立たない。


SWAYを訪れたら見つけて欲しい、こだわりのポイント

-- 照明、グリーン、小物など気になるところはたくさんあるんですけど、ここがポイントっていうところを教えてください。

梯:例えば照明で言うと、店内の中心にある照明の電球、フィラメントの形が可愛いですよね。暖色の光でリラックスできる。照明が一つで隅々まで均等に照らすのではなく、光源を散らして明るさに強弱が生まれるようにしてます。

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-- 店内はグリーンが基調ですよね。

梯:お店を作るときに「自然の状態になる、リラックスできる状態」にしたいと話していて。壁紙にはウィリアムモリスのグリーンを使って、日本的にならないようにしています。ウィリアモリスって植物の柄とか花柄が有名なんですけど、そういった意味でも自然の意味合いを入れてます。

-- 日本的じゃない色を取り入れた理由ってなぜですか?

梯:緑って日本的な色が多くて、例えばお抹茶の色とか日本ぽくなっちゃうんですよね。日本人だからってのあると思うんですけど、「和だね〜」って感じとられすぎちゃうと困る。コンセプトやトーンからずれるし、やっぱり空間はニュートラルにしたくて。

-- どこがコンセプトと違うんですか?和とマッチしない?

梯:内装はシンプルにしているので。ソファやライトなど、西洋的なアイテムが多い中で、そこだけ「和っぽいね」と感じられてしまうと...。コンセプトとという話よりは、集中とリラックスをするときにノイズになりうる要素かなって。それと黒板色や芝生とかも怖かったです。とにかく連想されちゃうのが嫌でしたね。実際に黒板調なところってあるじゃないですか、だから緑はすごく難しかったです。他の色よりも想起するものが多くて。

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-- 店内に置いてある観葉植物と馴染むくらいって思ってたんですか?

梯:違和感はないとは思っていました。トレンド的なところでもくすみ色も流行ってるので。僕自身がペールトーンが好きというのもありますけど。ビビットみたいな原色に近いとあいまいじゃないですよね。ワード繋げましたけど(笑)

-- シーシャ屋だと小物もたくさん置いてあると思いますが、こちらもこだわりを教えてください。

梯:キャンドルホルダーっていろんなところが販売してるじゃないですか。IKEAや100均とかでもある。でもうちのキャンドルホルダーは一つ3000円くらいするんです。火が入ったときの光の散開の仕方や色味が綺麗なんですよ。

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チープなものを使わないってのは一貫してあって。このグラスはKINTOのグラスなんですけど、すごくシンプルだけど手に馴染むんですよ、コップのふちのアールの取り方も手に馴染むような形でいいですよね。

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-- ここにも梯さんの思想が入ってる。

梯:そうですね。詰め込み過ぎないようにしてます。個性的にちゃんとデザインされているものもかっこいいですけど、それを店内に入れちゃうと存在感が強くなり過ぎちゃうじゃないですか。だから店舗という小物が多い空間で無駄に装飾がされてないのを選んでる。それは空間をミニマルにしている理由と一緒ですね。

-- 統一されてるんですね。

梯:そう。でもつまらなさはないんです。グラス一つとってもなんでこんなシンプルな形なのにこんなに良い形なんだろうというグラスはありますしね。

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-- それって、好みだと思うんですけど、梯さんの好みですよね。

梯:絶対にあります!

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-- こういうのも?(パイプ置き)

梯:そうです!これね、もともとシーシャ用のパイプ置きではないんですけど、なんだと思います?

-- え、なんか違うんじゃないかなって思ったんですよ。なんだろう。

梯:違うんですよ。これは歯ブラシを置くやつです。

-- あーーー!なるほど!

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梯:お客さんにバレたこともあります!(笑)これを決めるのはめっちゃ悩みましたね。ネットとかでいろいろ探しました。


「ゆったりしてるから会話しやすいね」SWAYを訪れるお客さんたちの声

-- ちなみに、お客さんが喜んでいる小物とかありますか?

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スタッフ:トイレのお花が生花なの喜んでくれます。ソファの座りごこちが良いのも言われます。シーシャ屋さんって硬い椅子なことが多いけど、うちのソファは座りやすいって。シーシャ屋さんって隣のお客さんとの席が近いから、聞かれたくない会話も聞かれることがあるけど、SWAYは席がゆったりしてるから会話しやすいねって。

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スタッフ:あとは窓際ですかね。窓がああやって広い分、開放感的でカフェっぽいから本当にゆったりできるとたくさんの人が言ってくれます。窓際のテーブルはパソコン作業をするのに机の高さが丁度良いし、コンセントが近くて使いやすいと褒めていただけてますね。

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-- 梯さんはスタッフさんに伝えてることってありますか?

梯:清潔感はありますね、絶対に。掃除はめっちゃしてもらってます。シーシャ屋ってやっぱり、汚れが目立ちやすいので頑張ってもらってる。

あとはシーシャ屋ってかなりフレンドリーなところが多いんですけど、SWAYはある程度フレンドリーで親しみやすくはありつつ、落ち着いたトーンにしてもらってます。制服もできましたしね。前職で他のシーシャ屋で働いている人にもそうやってインストールしてもらってます。

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-- 梯さんが自分自身が内装に関われて良かったなと思うことはありますか?

梯:内装デザイナーの人に内装を頼むと良いものはできるけど、その後にその雰囲気やトーンをキープする人がいないんですよね。よくあるのが、お店はかっこいいのにめちゃダサいチラシがトイレに貼ってあるとか。それが起こるのはお店のトーンを理解してキープする人が内部にいないからなんですよね。

SWAYは僕という一人格がいて一貫性を持ってコンセプト、内装、小物がある。ある意味人格という隠しきれないトンマナが明確にあって、そこに紐づいた形で統一されると思うので、この小規模なタイミングではこれでキープできてるのはすごく良いかなって思いますね。好みって悪くないなって思います。

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渋谷の駅を出ると現れるスクランブル交差点。信号が青になって前に進むと、人で溢れかえり、自分とは同じ人間なんていない、みんな違うひとたちなんだと思える瞬間がよくあって、それがとても居心地の良い瞬間がたまにあります。

信号が赤になれば、交差点からはまるで煙のように人が消えていく光景。あんな場所は私が知っている限り、渋谷のスクランブル交差点以外ないです。

なんとなくそんな光景がSWAYのシーシャの煙のような感じがして、来た人を誰でも受け入れてくれる場所が渋谷の奥深く松濤に生まれたんだなと感じました。

All photos by Eri Miura

「SWAY」
“Sway between _____s.”
あいまいを味わえる場所

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Twitter:https://twitter.com/sway_shisha


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