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SWAYな人がつくる「ゆらぎ」のある居心地のよい空間

はじめまして。フォトグラファーの三浦えりです。『SWAY Magazine』のインタビュー第2弾を担当することになりました。

今回はブランドマネージャーの梯航生(かけはしこうき)さんをお迎えして、SWAYのお店作りや空間の話、SWAYに関わる梯さん自身のお話を聞いていきます。

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梯航生 / SWAYブランドマネージャー
コンセプトデザイナー。ITベンチャー企業の新規事業開発室にてPdM,UXデザインなどに従事後、独立、フリーランスとして活動。分解と構築が趣味。
Instagram:https://www.instagram.com/k_k_koki/
三浦えり / フォトグラファー
雑誌、Webメディアを中心にフォトグラファーとして活動中。旅や地域を中心に執筆&撮影もしています。また、個人の活動として社会課題へ写真で向き合うことに挑戦しています。2020年には表参道ヒルズROCKETにて写真展を開催。将棋とアートが好き。
Twitter:https://twitter.com/eripope
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SWAYに関わるきっかけと、「ゆらぎ」をバックボーンにもつ梯さんのはなし

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-- まずはブランドマネージャーの梯さんがSWAYと関わることになったきっかけを教えてください。

梯:もともと大学の哲学科にいて就職活動するにあたって就活Webサイトでインターンをしていました。そのあとにWebマーケティングの会社に就職して、新規事業室でずっとUXデザインや、プロダクトマネージャーなどを中心に仕事をしていました。そんななかで「社会なんか嫌だなぁ」ってなって。

-- それって働いていて思ったんですか?

梯:そうです。その会社が特別嫌とかではなく、社会のルールとかシステムに自分が向いてないなと、思ってしまったんです。

学生時代は周りに変わったやつばっかりの環境だったんで気づかなかったんですよね。それこそある意味多様性の塊だった。多様であることを受け入れるのが当たり前というか、それこそありのままな状態。

でも、改めて学生時代の友達に聞くと「梯は昔から変だったよ」って言われるんですけどね(笑)僕は周りが変人で自分は比較的普通だと思っていました(笑)

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梯:それで会社を辞めて、絵を書くのが好きだったので美大の院を受験したんですけどダメで。どうしようかなぁと思っていたら、会社のときに縁があった人たちに声をかけてもらって、今やってることとは全然違うんですけどシステムの構築と運用などをやってました。

あとは幼児向けオンライン教室のサービスで、UXデザインとかコンセプトとかを作っていました。具体的にはどういう風にその人の生活を変化させるのか理想像を作って、それをサービスに落とし込むといったことですね。キャッチコピーを書く機会もあったのでコピーライトの講座とかも通ってましたね。

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梯:そんなことをやっていたときに代表の藤巻さんにSWAYのコンセプトを考えて欲しいと声をかけてもらったんです。そこで一緒にディスカッションしながらいろいろ考えていったのが始まりですね。そこから内装やることになり、小物選んだり、経営とかいろいろと関わることになった。

100%はできてないんですけど、お客さんから見えるところは、なるべく自分が入って意思決定してます。なのでどんな小物でも全部僕がジャッジするようにしてます。

-- なんで藤巻さんが声をかけてくれたと思いますか?

梯:藤巻さんは出会った時、内心なんでこんな社会不適合なやつが会社で働いているんだろうって思ったらしいです。そんな時、会社を辞めたという話を聞いて、抽象的なことを任せられるんじゃないか?と思ったみたいです。

同じテンポでディスカッションできる存在としても力になれているかなと思います。

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--話を聞いていると、梯さんの人柄やバックボーンがSWAYのコンセプト「ゆらぎ」「あいまい」にリンクしてるなって思いました。もしかしたら藤巻さんはSWAYのお店づくりを考えたときに梯さんという人間がお店に合ってると思ったのかなと感じました。

梯:それもあるかもしれないですね。嬉しいことに右脳と左脳とバランスが良いって言っていただける機会が多くて。ロジカルな感じではあるけど、なにがいいかとか感受性の部分もあるよって。

藤巻さんはエンジニアでもあるのでロジカルなコミュニケーションをしてくれるんです。藤巻さんがビジュアルやイメージに関してこうしたいという要件をロジカルに伝えてくれて、そのオーダーをコンセプトや空間に落とし込めると期待はしてくれていると思ってます。

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Web業界からリアルなものを作るはじめての挑戦とお店に落とし込んだ梯さんの思い

-- いままでコンセプト作りなどの仕事をしてきたとのことですが、シーシャ業界自体に入るのは新しい挑戦だと思うんです。SWAYを始めることになって初めてシーシャ屋にも行ったと聞きました。

梯さんにとってどういう思いで挑戦したんですか?また、今までの経験をどのようなところを活かしました?

梯:いままでずっとWeb業界で働いていたので、今回がはじめてリアルなものをつくる仕事だったんです。大学のときに絵を描き始めてから気づいたんですけど、もともと僕は手触り感があるものが好きで、なにか自分でものをつくる素晴らしさとか楽しさをすごく感じつつはあって。だから、店舗設計に関われるのはめっちゃ嬉しかったです。

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梯:すごく偏見が強かったんですけど、シーシャってアングラなイメージだったんです。SWAYに関わるってことになって始めてシーシャ屋に行ったんですけど、やっぱりアングラな感じだったんですよね、想像通り。そのときにもうちょっとすっきりとした清潔感のある空間がいいなぁと。だからSWAYはそっちに寄せたんです。

-- なんですっきりに寄せたんですか?自分の暮らしの延長線にあったんですか?

梯:そうですね。それは絶対にありますね。というのもここのお店のペルソナは僕を元に広げて作ったものなんですよ。まあ僕はペルソナの中では極端な例ではあるのですが。グラス一つとっても「これいいな」って思うような人に来て欲しくて、そういう人たちに受ける空間にしたかった。そういう人たちにファンになって欲しかったんです。

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-- そういうところは梯さんが提案した?

梯:そうですね。SWAYをシーシャラウンジって呼んでるんですけど、それは用途を限定したくない意図があって。この店主はこれがめちゃ好きなんだなっていうのとか、それって説明的になってしまうというか、それに限定されてしまうじゃないですか。

こだわりがある人はすごく好きなんですけど。でもお客さんが多様であり続ける、いろんな用途で使ってもらうためにはある程度は空間はすっきりさせておきたいなと。

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梯:暗い色を使わなかったのはアングラ感やマニアック感を打破したくて。初心者にも優しい店でもありたいんです。実際に初心者の人も来てくれて、リピーターにもなってるのは嬉しいですね。

結局、シーシャを文化として広めていくって、いままで触れてきてこなかった人たちが内装とか雰囲気が良さそうだから行ってみようかとなって、「シーシャって美味しんだ」って体験してファンになって、枝葉を広げてくのが大事だと思っています。

いつも同じメンバーがいる空間よりはうちはどっちかというと開かれた形にしたいんです。まさに店舗の窓とかもそういう象徴なんですけど、とにかく「閉」じゃなくて「開」なんです。

--お店が完成して、実際に藤巻さん含めスタッフさんの感想ってどうですか。

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スタッフ:私はお客さんとして最初に来たんですけど、他のシーシャ屋さんと違って落ち着いた空間だなって。人との会話をしっかり残せるイメージがすごく強かったです。普通のシーシャ屋に行くとBGMも音量大きく流れてて「何話したっけ?」ってなちゃうんですけど、SWAYに始めてきたときに、自分の友達と話した内容がすごく濃かったなっていうのがこの空間から得られたと思ってます。

-- 感想をいただいてどうですか。

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梯:めっちゃ嬉しいですね。うちって「Chill」って言葉を使ってないんですよ。現実逃避じゃなくてここで何かしらの前進をして欲しいという思いがあって。だから商談や仕事に使ってもらっても良いし、友達や恋人との会話でも良いし、そこを通じてなにか前進して欲しい。あとは会話を残せる理由の一つとして、SWAYは席をすごく広く取ってるんですよね。採算考えたら正直あんまやっちゃいけないんですよ。だからやっていないシーシャ屋さんは多いんですよね。

-- たしかに、ソファにぎゅうぎゅうに座っているイメージですよね。

梯:ワイワイするし話が回って楽しいところは好きだけど、ああいう風にしなかった理由はあくまでもそこでの会話に集中して欲しいから。

うちが求める体験って「フロー状態」のようなものだと思っているんです。フロー状態って緊張と脱力、集中とリラックスなんですよ。集中もリラックスもするには違和感がない状態、つまり嫌なノイズがない状態じゃなきゃいけない。

だから大音量や場にそぐわないBGMが鳴ってるのはダメだし、シーシャの味が美味しくなくてもそれがノイズになるじゃないですか。グラスがなんでこんなダサいんだろうとかもダメだし。すべてがコンセプトからシームレスに繋がった状態がそれを生み出すと思っています。

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-- これからアップデートしていきたいとかあるんですか?これはこれで完成なんですか?

梯:ちょっとずつ変わっていくと思いますよ。それはスタッフがお客さんと密にコミュニケーション取ってより良いサービスを模索しているからです。

例えば荷物入れのカゴはもともとなかったけど、やっぱあったほうが良いって話になって置き始めました。これから冬場になるんで、膝掛けを入れたりもします。


お店が完成して5ヶ月、SWAYと梯さんの現在地

-- いったん完成ではありつつ、お客さんとコミュニケーションを取りながらアップデートしていきたいなという感じですね。

梯:そうですね。ちょっとずつ変わっていくと思う。

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--SWAYのコンセプトとして「豊かになるように」とありますが、SWAYの仕事を初めて梯さん自身がそう感じられたときはありましたか?

梯:ひねくれてて申し訳ないんですが(笑)、豊かになるように、と意識しすぎないようにしていて。ちゃんと全力で好きなことをやれば自ずとそうなるって思ってるので。でも、お店に来てくれた人が「これ可愛いね」とか「オシャレだね」「良い雰囲気だね」って言ってくれるとすごく嬉しいです。あと、お店の現場に立ってる人たちがここをすごく守ろうとしてくれているんです。コンセプトや空間とかに共感して自分事として捉えてくれて、ミーティングのときも意見を言ってくれて、どんどんみんなの視座や発言内容が濃くなっていくのを見てると、もちろん僕だけの力じゃないんですけど、つくれたのは本当によかったなって思います。

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-- 梯さんは社会嫌いって言ってるけど、SWAYを通して社会と繋がったのかな?って私は感じたんですけど。

梯:社会と繋がらなくていいと思っているんです。正直社会が好きじゃないんで馴染みたいとも思ってなくて。でも、もっとみんないろんなことをちゃんと考える機会を持ったほうがいいと思ってるので。だから考える機会をここで提供できてるってのはいいなって思うんです。

-- そんな場所をつくれたかなと思いますか?

梯:コンセプトには「みんなもっとあいまいでいいのに」というのが入ってるんです。日本の「あいまい」って「どちらでもない」なんです。どっちつかずで“not”がつくんですよ。

でも、本当の「あいまい」って「どちらでもある」だと思うんですよ。それって逆にめちゃくちゃ大変なんです。どちらも知らないといけないから。

SWAYでそういうのを少しでも感じ取ったりとか、深い話をしてディープなフロー状態を感じてもらいたい。表面的な所じゃなくて深くダイブできる場所になってると思ってるんです。

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梯さんからお話を聞いて、梯さん自身が「SWAY(ゆらぎ)」のある人なんだなと感じました。いままで生きてきた人生で多様性を受け入れる環境にいたからなのかもしれないですが、会話をしているなかで、自分とは違う考えの人やものに対しても「それもすごく好きでいいと思うんですよ」というのを何度も口にしていたのが印象的でした。

そういう梯さんが関わったからこそ、ゆらぎやあいまいさを感じられる空間になったことは間違いないです。実はこのインタビュー以外にも彼のバックボーンや普段からどんなことを考えているかなど、たくさんお話を聞いたのですが、文字数のせいで泣く泣くカットしてしまったエピソードがたくさんあります。彼のことが気になったかたは、SWAYで梯さんを見掛けたら話しかけてみると面白い会話が生まれるかもしれないです。

次回後編はそんな梯さんからSWAYの店内について、さらに深掘りしてお話を伺いました。今回のインタビューで答えていた内容をどうお店に具体的に反映されているかを読めると思います。ぜひ、楽しみしていてください。

All photos by Eri Miura

「SWAY」
“Sway between _____s.”
あいまいを味わえる場所

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