読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その25 21 「アダプト思考」 ティム・ハーフォード

ティム・ハーフォードはイギリスの経済学者、ジャーナリスト。
アダプト(adapt)とは、適合する、順応するという意味。英語での副題は「Why Success Always Starts with Failure」(なぜ成功はいつも失敗からはじまるのか)。
生物の進化をヒントに、「適合」という視点から、新しいビジネスを生み出すための考え方を提唱した本。
生物は、突然変異により生まれた沢山の新しいタイプの中から、環境に適合したものだけが生残り、他は淘汰される、というプロセスを積み重ねて進化してきた。
ビジネスにおいても、新しいアイデアが色々試みられ、その中で環境に合致したものが選択され、残りは失敗例となるという形で、新事業や新商品が生み出される。
だから、新しいことをやろうとするなら、完璧な計画を立ててから取り組むというのではなく、まず、新しいことを試してみて、失敗したら(大抵は失敗する)、そこから学んで次に進むという試行錯誤が大切だ。
しかし、経験のない新しいことをして失敗するというのは、誰しも怖いことだし、失敗を認めて方向性を変えるというのも多くの人にとって心理的抵抗は強いだろう。
そこでハーフォードは基本原則として次の3つのステップを挙げている。
(1)新しいことを試す。但し、挑戦には失敗がつきものと覚悟しておく
(2)失敗しても大きな問題にならないようにしておく。大きなギャンブルは避け、ステップを細かく刻んだり、失敗したときの対応をあらかじめ考えておく、など
(3)失敗を失敗として素直に認めて、そこから学ぶ
リスクを恐れ、新しいことに挑戦しないと、変化に適合できず、衰退する
しかし、会社生命を賭けるような一か八かのギャンブルも避けるべきだ。3ステップの基本原則で、新しいことに挑戦し、失敗から学び続けることで、変化の激しい時代にも生き残ることができるのだ。
ところで、この節でダーウィンの言ったとして紹介されている「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。生き残って進化できるのは、環境に適合し変わることができる者なのだ」という言葉、実際にはダーウィンの「種の機嫌」にはこんなことは書かれていないらしい。

まあ、ここでの議論には直接、影響するものではないだろうが。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?