読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その14

第2章 「顧客」と「イノベーション」
11 「顧客ロイヤルティのマネジメント」 フレデリック・F・ライクヘルド
 いきなり本題から外れるが、「ロイヤルティ」で引っかかった。「ロイヤリティ」じゃないの?
 調べてみると、英語では「Royalty」と「Loyalty」があって、前者は王位とか王権、また特許や著作権の使用料の意味。後者は忠誠・忠実の意味。ここでいう顧客ロイヤルティはLoyaltyの方。どっちもRとLが違うだけで、それ以外の発音記号は一緒なので、カタカナにすれば同じになるが、著作権使用料等をロイヤリティというのが定着していたので、それと区別するためにこちらはロイヤルティとしている模様。発音の面からは釈然としないものがあるが、まあ、仕方がない。
 本題に戻って、この本は、新規顧客の開拓よりも、既存のお客様との絆、すなわち「顧客ロイヤルティ」が重要であり、その顧客が長期的に企業にもたらす価値である「顧客生涯価値」を高めることが売上や利益アップに貢献すると説く本だ。
 顧客は、買う前は「見込客」、最初に買ったら「新規顧客」、そして繰り返し買ってくれたら「得意客」になる。
 見込客から新規顧客になってもらうには「顧客獲得コスト」がかかり、その段階では通常の売上による「基準利益」を得られるだけだが、得意客になれば「購入増加による利益」をもたらす他、手間がかからないので「営業コスト削減による利益」も得られ、更には他の人にも勧めてくれるので「クチコミ紹介による利益」、ちょっと高くても買ってくれる「価格プレミアムによる利益」も得られる。よって、顧客ロイヤルティの高い得意客を多く獲得し、維持していくことが重要になるのだ。その指標として基本となるのが、今の顧客のうち1年後も取引を続けてくれるお客様の割合である「顧客維持率(Customer Retention Rate :CRR)」である。
 こうした考え方から行われている施策がポイントカードやマイレージプログラム、コールセンターなどだが、顧客満足度(Customer Satisfaction:CS)を高めるためには「社員ロイヤルティ」も大事だという。やりがいを感じている満足度の高い社員でなければ、お客様を満足させるサービスは提供できないためだ。確かに疲弊しきって、やる気のない社員ばかりでは顧客ロイヤルティは獲得できないだろう。
 アマゾンやネットフリックスのような最先端のIT企業も顧客ロイヤルティを重視し、顧客維持率をチェックし、日々対策を打っているという。

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