読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その11

第1章 戦略
9「ダイナミック・ケイパビリティ戦略」 デビッド・J・ティース
 ケイパビリティ(Capability)とは、能力という意味。能力を表す英単語としては、より一般的な語として「Ability」があるが、Capabilityはそれに比べると専門的な分野での実務能力というニュアンスがあるらしい。経営学においては、バーニーの「企業戦略論」で述べられていた企業内部の経営資源、組織に基づく強み、能力を言うようだ。
 ダイナミック・ケイパビリティとは、そのケイパビリティを時代の変化に応じてダイナミックに変えていこうというもの。
 ティースは、ポーターの5つの力などのポジショニング派の考え、バーニーのRBVなどのケイパビリティ派(リソースベース派)の考え、それぞれについて、いずれも環境が安定していることが前提と指摘する。そして環境の変化が大きい時代にあっては、ポーター流に外部環境の変化を捉え、バーニー流に経営資源を認識して、それを大胆に組み替えていこうと提唱しているとのこと。
 ダイナミック・ケイパビリティは「感知」「捕捉」「変革」の3つの能力から構成される。
「感知」は環境の変化を察知する力、「捕捉」はそれを捉えて自らの経営資源を組み替える力、「変革」は組み替えた能力で競争優位を確立する力だ。
 環境が変わったからといって、今までの強みを全部捨てて一からやり直す必要はなく、既存の強みを組み替えていくことで新しい強みを獲得できる。こうしたやり方で常に新しい強みを作り出し、環境の変化に対応していこうという考え方だ。
 なんとなく、4のリタ・マグレイス「競争優位の終焉」と相通ずる考え方のように思える。

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