読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その17 第2章 「顧客」と「イノベーション」 14 「イノベーションのジレンマ」 クレイトン・クリステンセン

ここから3冊、クレイトン・クリステンセンの本が並ぶ。クリステンセンは、ハーバード・ビジネス・スクールの教授でイノベーション研究の第一人者とのことだが、残念ながら今年(2020年)1月、白血病のため逝去。

この「イノベーションのジレンマ」は、クリステンセン の代表作で、「業界をリードする優秀な企業が、顧客の声に耳を傾け、新技術の開発に投資し、製品の機能改善を進めていても(と言うか、そうしているからこそ)イノベーションを起こせず、新興企業に敗れていく」というジレンマを「破壊的技術」という概念をキーに解き明かした本だ。

「破壊的技術」と対比されるのが「持続的技術」で、これは既存の技術、製品をその延長線上で性能を高めたり、新機能を付加したりするもの。

一方、「破壊的技術」は、性能は下がっても、低価格化・小型化などを実現し、今までにない新しい使われ方をすることによって新しい顧客を獲得し、新しい市場を切り開くものだ。

カメラで言えば、既存のフィルムカメラの性能を高めていくのが持続的技術で、新しいデジカメを作ったのが破壊的技術。

デジカメは最初はオモチャのようなものだったが、フィルムカメラにない使われ方(現像が要らず、何枚でも撮れ、そのままデジタルデータとして取り扱える等)で新しい市場を切り開き、解像度や電池の持ちなどの課題もクリアし、いつに間にかフィルムカメラを超えていった。

しかし、そのデジカメ(コンパクトデジカメ)も、これもはじめはオマケのようだった携帯(スマホ)のカメラに抜かれて、市場から駆逐された。

既存製品で大きなシェアを持つリーダー企業は、持続的技術でその製品の性能を向上させようとする。しかしそれでは破壊的技術で新しい製品を作り出してきたイノベーターには太刀打ちできず、市場から追い出されてしまうのだ。

では、リーダー企業が、既存製品を持続的技術で発展させるのではなく、破壊的技術で新しい製品を創り出すにはどうすればよいか。

それには、
1.プロジェクトを小さな組織に任せる
2.早めに失敗させて小さな犠牲に留める
3.既存の価値観や仕組みは使わない
4.全く新しい市場を開拓させる
のが良いという。IBMのPC参入がその好例。

なお破壊的技術(Disruptive Tecnology)は、本来「撹乱的技術」と訳すのが正確とのこと。破壊ではなく、既存の市場秩序を乱す技術という意味合い。

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