「読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その7

第1章 戦略
「良い戦略、悪い戦略」 リチャード・P・ルメルト
 「良い戦略」とは何か、悪い戦略とは何か、両者の違いを説明してくれる本。
 「悪い戦略」には4つの特徴がある。
 (1)中身がない
  当たり前のことをもっともらしく語ってるだけ。
 (2)重大な問題を無視
  一番の課題とその解決策に触れずに体裁だけまとめても役に立たない。
 (3)目標と戦略の取り違え
  例えば「地域ナンバー1の店になる」というのは戦略ではなく、目標だ。 
  「それを達成するためにどうするか」こそが戦略であるはずなのに、そこが
 欠けている
 (4)単なる寄せ集め
  みんなからアイディアを募って、それをまとめただけ。それでは一貫性のある戦略にはならない。

 これに対して、「良い戦略」はシンプルで明確、具体的だ。十分な根拠に基づく「核」を一貫性のある行動につなげている。
 この「核」を構成する3要素が「診断」「基本方針」「行動」である。状況を把握し、課題を見極める「診断」の上で、「基本方針」を明確に定め、これに基づき具体的な「行動」の指針を示すことが必要だ。
 こうして定めた戦略も、あくまで仮説であり、実践のなかで検証し、アップデートしていく必要がある。そのときに役立つテクニックが、
(1)核になる診断・基本方針・行動の3要素に常に立ち返ること
(2)問題点を見極め、行動を問題解決に役立つかという観点から捉えること
(3)最初の案は叩き台であり、破壊すること
の3つだ。この辺りは、ミンツバーグ「戦略サファリ」の創発戦略に通ずるものがあると思う。
 これらの内容は明確で具体的であり、巷にあふれる「方針」とか「戦略」とか称するものが、具体的には役に立たない「お題目」に過ぎないものが多い状況を批判する視座に立っていると思われ、個人的には割としっくりくる考え方だ。
 ただ、このルメルト氏、調べてみると、二輪で成功したホンダが自動車に参入するときに、失敗するだろうと予言し、見事に外した、とのこと。まあ、若い頃の話ではあるようだが、やはり理論と実践とは違うということか。

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