読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その23 19 「リーン・スタートアップ」 エリック・リース

リーン(Lean)は動詞として「傾く、もたれ掛かる」という意味があり、形容詞で「痩せた、引き締まった」という意味がある。
「リーン・スタートアップ」のリーンは形容詞の方。最近話題になったフェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグの著書「リーン・イン」のリーンは動詞の方で、「前のめりになる」とか「一歩踏み出す」という意味らしい。
著者のエリック・リースは、前節「アントレプレナーの教科書」の著書、ブランクの一番弟子で、スタートアップ企業IMVU の最高技術責任者を務め、現在はコンサルタントとして活躍しているという経歴の持ち主。
リーン・スタートアップは、顧客にメリットを提供しない活動は全てムダと考え、それを徹底的に省いた(リーン=痩せた)形で新規事業を立ち上げるというもの。
まず、実用上最小限の機能を持った製品、MVP(Minimum Viable Product)を早くつくり、検証することが大切だという。MVPを構築し、顧客の反応などのデータを計測し、学びを重ねる。このフィードバックループを何回も繰り返す。ここでは完璧にやろうとするよりもループを早く、数多くまわすことが大切だ。
次に重要な概念が「ピボット」だ。日本語に訳すと「旋回軸」。ここでは顧客からのフィードバックループによる学びを基に、細かい修正、戦略の方向展開をしていくことをいう。
新規事業で大事なのは、すごいアイディアや戦略ではない。それらは全体の5%程度に過ぎず、残りの95%は、ピボットによる地道な修正作業の積み重ねなのだ。
このプロセスはトヨタ生産方式で有名な「カイゼン」と同じだ。実はリーン・スタートアップという考え方自体が、トヨタ生産方式をアメリカの学者が解明した「リーン生産方式」をベースにしたものだという。
未知の領域に挑む最先端のビジネスでこそ、顧客視点での愚直なカイゼンが力を発揮する。日本発の「カイゼン」を顧客視点で見直すことが必要とされている。

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