読書記録 MBA必読書50冊を1冊にまとめてみた その16

第2章 「顧客」と「イノベーション」
13 「キャズム Ver.2」 ジェフリー・ムーア
 新商品を普及させる方法を、テクノロジー・ライフサイクル(新商品の普及段階)における「キャズム」(大きな谷)という概念からまとめた本。
 今までにない画期的な新しい商品が世に出ると、まず、イノベーター(革新者)が飛びつき、次いでアーリー・アダプター(先駆者)が続き、その後でアーリー・マジョリティ(現実主義者)が購入して、それからレイト・マジョリティ(追従者)にまで普及、ラガード(頑固者)はそれでも、まだ買わない、という具合に普及が進んでいく。比率も決まっていてイノベーターは2.5%、アーリー・アダプターは13.5%、アーリー・マジョリティが34%の割合で、ここまでで半数。レイト・マジョリティが34%、ラガードが16%だという。
 これら各グループの間には隙間があり、特に大きな隙間がアーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの間にある。これがキャズムだ。
 キャズムを越えられないと、16%の人にしか普及せず、これを越えてしまえば半数の人にまで買ってもらえる。
 なぜキャズムがあるのか。それは、アーリー・アダプターは、リスクを厭わず多少不便でも新しいものを好み、他の人が使っていなくて差をつけられるということに価値を見出すのに対して、アーリー・マジョリティは、リスクを嫌い、他の人も使っていて便利で安心、ということを好む、というように考え方や行動が正反対だからだ。
 よって、新商品を普及させるには、このキャズムを越えていかなければならないが、それには2つの要素が必要だという。
 一つは「ホールプロダクト」、すなわち、商品単体でなく、必要な備品や関連するサービスもセットして、全てがまとめた形パッケージで提供するということだ。
 もう一つが「他のアーリー・マジョリティの事例」、つまり自分と同じタイプの人が先に使っているのを見て安心して使うようになるということだ。しかし、それには「最初にアーリー・マジョリティになる人」が必要になるが、そんな人をどうやって見つければいいのか。良い方法は、その商品を本当に必要とするような「痛み」を抱えた顧客に絞り込でアプローチすることだという。そこを突破口に実績を作り、他に市場を広げるのが有用だ。
 良い技術、優れた商品を持っていてもそれだけではダメで、それを普及させるにはキャズムを超える戦略が必要となる。アーリー・アダプターまで浸透したあと、アーリー・マジョリティを攻略するには、そこまでと違う攻め方が求められるということだろう。

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