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ドキュメンタリー「漁師と妻とピアノ」~「ラ・カンパネラ」を奏でるのり漁師~

ピアノ愛好者、先生の間で夙に知られている、タイトルのとおり、リストの「カンパネラ」を弾く佐賀市ののり漁師の徳永義昭さん(63歳)と奥様のドキュメンタリーが、先日10日、NHK・Eテレで放映されました。
ご覧になった方、いらっしゃるかと思いますが。

奥様がピアノの先生ということもあり、52歳の時、打ち込んでいたパチンコを止めて、ピアノを始め、フジ子ヘミングさんの「カンパネラ」を聴いたのをきっかけに、難曲の「カンパネラ」を弾きたいと10年間猛練習をし、コンクールに参加したり、演奏を依頼されたり、遂には、フジ子さんの前で弾いたり、フジ子さんのコンサートの“前座”を務めるようにまでなりました。

下と次がコンクールでの写真です
奥様と会場入り・予選を優秀で通過

「他の大曲を弾きたいけれど、『カンパネラ』を――ちょっと練習しないとダメになり、技量が落ちてゆくので――犠牲にしなければいけない」

公開レッスンで、「札幌コンセルヴァトワール」院長の宮澤功行さんが、しばらくぶりに徳永さんの「カンパネラ」を聴いて、
「音の一個一個の中が熟してきていて、整斉されてきている。音楽は愛なんです。あなたの一音一音には愛が籠もっている。途中で、お父様が亡くなりましたけれど、一音入魂で、お父様に聞こえていると思う。魂が音に転化している。素晴らしい。これからも音楽を愛してほしい」
と素晴らしいお言葉!
これを聞いた徳永さん、
「ピアノを始めて2年間、親父は炬燵で聴いてくれていました。3年目に親父が亡くなってからは、父が隣の部屋に天国から来ていると思って、父に会うためにピアノを練習していました。宮澤先生の言葉を聞いて、ここに父が来て、聴いてくれている気がしました」と、「この(公開レッスンの)後、(趣味の)手品で盛り上げようと思っていたけれど」と会場を笑わせながら、号泣していました。
会場の片隅で、この様子に温かく微笑んでいる奥様をカメラが写していて、ジーンときました。

フジ子・ヘミングさんのコンサートで、終了後、ステージ裏でフジ子さんと互いの演奏を称え合う。

番組のラストシーンは、奥様が弾くカッチーニの「アヴェ・マリア」に聴き入る徳永さん。

↓の朝日デジタルの記事にありますように、今秋、徳永さんをモデルにした映画が公開されるということで、地元で「支援する会」が発足し、経済界や農協関係者、徳永さんののり漁師仲間の漁協関係者ら100人以上が揃ったそうです。
映画の徳永さん役は1級船舶免許を持つ伊原剛志さん、音楽は広島大水産学科出身で、のり養殖の実習経験もあるというジャズサックス奏者の坂田明さんが担当するとのことです。

私も、ある“易しくはない”曲に取り組んでいまして、練習、レッスン時には、徳永さんの“頑張り”を思い、パワーをいただいています。

※「NHKプラス」で放送後1週間観れるということですので、17日(土)まで観れるようです。
また、「NHKオンデマンド」では、来年の2月10日まで観れます。

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