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白鳥静香先生の言葉より 113 ギリシャ神殿

白鳥静香先生の言葉を紹介します。

白鳥静香先生の言葉より 113 ギリシャ神殿

ギリシャ神殿は、

世界の建築物のなかでも非常に美しいもののひとつで
あるでしょう。

西洋の古典主義建築の規範とされ、
大理石の柱がとても優美です。

その柱はまるで、雲の間から射してくる光の柱のようにも
見えます。

しかし、もともとのギリシャ神殿は、

もっとずっと素朴で、建材も大理石ではなく、
日干しレンガと木でつくられていたといいます。

その初期の模型を見たことがあるのですが、

私には、それは古い素朴な時代の日本の神社と
とても似ているように思えたのです。

同じ人間の考えることですから、
もともとのアイディアはそう変わらないものであったのでしょう。

もともとはそう変わらなかったはずの
アイディアが、

日本に落ちれば日本建築の神社となり、

ギリシャに落ればギリシャ建築の神殿というように
姿を変えていったのです。

あたかも、同じ太陽の光が、

やわらかい草の葉に降りそそぐと若草色となり、
地中海の乾いた岩の上に降りそそぐと白く輝くように。

おそらく、人々は、

日本の自然のなかでは、
木造の建築が周りの自然と調和すると考えて
木造建築の技術を発達させてゆき、

ギリシャの自然のなかでは、
大理石が周りの自然と調和すると考えて
石造りの建築技術を発達させていったのでしょう。

両者はまったくちがう方向に発達しましたが
そのどちらもが美しいのです。

美は太陽のようなものなのかもしれません。

それ自体はひとつの光であるのに、

なにに降りそそぐかによって、
限りなくたくさんの色彩と
限りなくたくさんの姿とを見せてくれるのです。

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