犬礼讃 003

 よく「犬は知能的に○○できない」というような調子の記事を読む。もちろん犬が何でもできると言うつもりはないが、この手の記事を読むと素直に「馬鹿だなぁ」と思う。例えば「犬は“愛情”という感情を持つことはできない」という記事を見る。大抵は「犬は本能に従っているだけなのだ」というような内容が続く。そこで私はこう思う。

 あなたが“愛情”と感じているものは実は単なる思い込みで、ただの種族保存の本能なんじゃないんですか? と。

 「いや、愛情は確かにある。私は日々それを感じて生きている」ともしも続くならもう残念な話確定だ。

 あなたは自分の実感に基づいて「(人間には)愛情がある」と言う。それじゃ、なぜ犬の実感を持ったこともないのに「犬に愛情はない」と言えるのか。味も素っ気もない本能を、人間は日々“愛情”と感じているんじゃないのか。

 実感の話をするなら、犬は愛情に満ちている。愛情というものの全身に毛が生えて鼻が伸びて四つ脚になったもの、それが犬だ。犬の愛情と比べたら、人のそれなんて遥かに打算と妥協に濁っている。愛情を知りたければ犬を飼いたまえ。

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